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本と映画と政治の批評
by thessalonike5


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住宅と車を売るための「追加経済対策」 - 消費税増税で脅迫需要
住宅と車を売るための「追加経済対策」 - 消費税増税で脅迫需要_b0090336_15371243.jpg「追加経済対策」発表の席で3年後の消費税増税を明言したのは意外だったが、これには理由がある。消費税増税は景気刺激策にはならず、むしろ逆効果の景気悪化策でしかない。誰もが唖然とさせられたが、裏を考えれば、その意味は簡単に分かる。高額商品の住宅と車を国民に買わせるためだ。麻生首相の発表した案では、増税は2011年から始まる。マスコミは「3年後」と書いているが、今年は残り2か月しかないので、実際には2年半後、2011年4月に消費税の税率引き上げが実施となる。つまり、2年半後には消費税が上がるから、住宅と車を買うなら今のうちだと消費者を急き立てているのであり、消費税の脅しで購入促進を図っているのである。住宅ローン減税600万円というのも凄まじい。すなわち、昨日(10/30)の「追加経済対策」は、国民の生活にとっての経済対策ではなく、住宅不動産業界と自動車業界にとっての景気対策だったのであり、不動産屋とトヨタから激しい要求があったのだろうし、見返りに応分の献金が自民党に入るに違いない。



住宅と車を売るための「追加経済対策」 - 消費税増税で脅迫需要_b0090336_11442382.jpg麻生首相が今度の「追加経済対策」で要求を聞いて採り入れたのは、住宅建設業界と自動車業界だけでなく、新聞社もある。あれだけ大嫌いな朝日新聞の要望を受け入れ、朝日新聞の言うとおりに消費税増税の決断を発表した。「朝日もオレを見直すだろう」と得意満面に違いない。傲慢な麻生首相にしては、不動産屋の要求を真摯に聞き、トヨタの指示には無条件に頷き、朝日新聞の諫言に素直に従い、各方面からの声をよく聞いて、官僚に「対策」を項目化させたのである。昨夜の報道の中で、北側一雄が、「消費税増税なんて言っているのか」と慌てた素振りを見せていたが、あれが演技であれば北側一雄も相当な役者だ。事前に公明党との間で意思統一できていたかが気になる。解散を来年に先送りされ、消費税増税を明言され、公明党が組み立てていた総選挙戦略は完全にぶち壊されてしまった感がある。2009年の春か夏の選挙となれば、消費税増税引き上げの2年前だ。公明党は選挙で有権者にどう説明するのだろう。民主党の対応如何で消費税は選挙の争点になる。

住宅と車を売るための「追加経済対策」 - 消費税増税で脅迫需要_b0090336_11401361.jpg本音では消費税増税賛成だが、選挙を睨んだ政策財源の捻出作業の中で巨額の埋蔵金を発見した民主党は、消費税増税をしなくても年間20兆円を特別会計から回せることを知っている。民主党が消費税増税に反対だと言えば、消費税が選挙の争点になる。麻生首相の戦略の一つは、消費税を選挙の争点にして民主党に勝つことで、民主党の中に増税派と反対派の対立がある弱点を衝けるし、さらに朝日・読売・日経と日本の大新聞が全て味方につく有利を計算に入れている。消費税を争点に据えられれば、議席を減らしても過半数を制する戦いは可能だと判断しているのである。麻生首相の立場に立って考えれば、他に争点は組みようがなく、憲法や教育や安保などイデオロギーに関わる問題を争点にできないのであれば、消費税を争点にするしか手段がないのである。だが、毎日の今日の記事にあるように、自民党の他の議員たちは麻生首相ほど強気にはなれない。記事には、党税調会長の津島雄二が「選挙への危機感がない」と声を荒げたとある。党税調会長の津島雄二は大蔵官僚OBで、消費税増税派の筆頭格の人間だ。

住宅と車を売るための「追加経済対策」 - 消費税増税で脅迫需要_b0090336_11435666.jpgその津島雄二が消費税増税に反対の声を上げている。前に紹介した週刊文春の宮川隆義による選挙予測でも、派閥会長の大物でありながら、津島雄二は青森1区で落選となっていた。地方の有権者の空気が読めているのである。地方の経済苦は深刻で、小泉改革の交付金削減と補助金削減と公共事業削減で地域経済が破壊された影響が年々悪化し、さらにその上に今度の金融危機による不況の打撃が押し寄せ、絶望の呻き声も出ないほど惨憺たる状況になっている。麻生首相の消費税争点の「賭け」は論理的には成立するが、それは新聞記者や評論家の間での「論理」の世界であり、地方に暮らす多くの人間の生活実感とはほど遠い。解散風が吹き始めて、自民党議員も選挙区に張りつくようになり、町や村を回って有権者の声を聞く機会が多くなっただろう。朝日新聞の政界面記事や、田原総一朗やビートたけしや太田光の政治番組の「政治ショー」が、どれだけ庶民の感覚とズレた虚構の「中央の政治」であったかに気づき始めた議員も少なくないはずだ。麻生首相の「賭け」を疑問視する地方議員は多いだろう。昨日の報道でも首相の求心力の低下が言われていた。

住宅と車を売るための「追加経済対策」 - 消費税増税で脅迫需要_b0090336_15383776.jpg2次補正予算を国会に提出して審議する旨を言わず、曖昧にした点も問題で、昨夜の報道ステーションで田崎史郎は、「民主党と協議して中身を詰めた上で出すつもりだ」と麻生首相を代弁する解説をしていたが、要するに、解散権を常にちらつかせ、解散風を吹かせ、吹かせ続けて11月を乗り切り、12月の本予算編成に持ち込み、2次補正が国会攻防で潰れたら、それはそれで民主党の所為に責任転嫁する魂胆なのである。新聞は「首相が補正を提出せずに民主党と駆け引きするのは解散の腹があるからだ」と毎日のように記事を書く。すると官邸の記者はぶら下がり会見で毎日聞く。「総理、補正予算を出さないのは解散ですか」。すると麻生首相は毎度の答えを返す。「だから何度も言ってるでしょ。政局より政策。解散の時期は私が判断する」。同じ台詞の繰り返しだ。新聞は「解散の時期」を騒ぎ、首相は「政局より政策」とかわす。その芝居を毎日繰り返して、一日一日の時間が過ぎる。麻生首相の真の狙いは、一日一日の時間をやり過ごすことであり、解散風を吹かせ、同時に「政策だ政策だ」と言い、権力を維持することである。実際には何もしない。

住宅と車を売るための「追加経済対策」 - 消費税増税で脅迫需要_b0090336_11433327.jpg今度の「追加経済対策」も実際に具体化する保証はない。本年度の歳入不足が5兆円と予想される財政環境の中で、官僚はこの「対策」に必要とされる埋蔵金4兆円を出したくなく、民主党との国会駆け引きの中で空中分解する可能性が十分にある。昨日の「追加経済対策」の意味は、結局、消費税増税の明言で、国民に対して住宅と車を早く買えというメッセージを出し、民主党に消費税争点で選挙するぞと脅しをかけたということである。高速道路料金を急に下げると言い出して、従来は民主党の高速道路無料化策をバラマキだと批判していたのを一転させたのも、背後にあるのは自動車業界(トヨタ様)のご指示だろう。トラックの料金は除外して普通乗用車に限定した点も噴飯で、新車の販売促進を支援する意図が丸見えだ。トヨタ様の意向は全て日本政府の政策になる。問題は、今後の国会審議と、マスコミの世論調査結果である。支持率が下がると党内の麻生離れが甚だしくなる。11月は国会とは別に党内で来年度予算をめぐる攻防が活発化する。社会保障費2200億円削減も争点になる。新聞は、消費税増税を決断した麻生首相の功を労い、批判の舌鋒を緩和してやるだろう。それが支持率に影響するかどうか。

住宅と車を売るための「追加経済対策」 - 消費税増税で脅迫需要_b0090336_1273925.jpg麻生首相の10/30の「追加経済対策」のまとめ。①公明党の言うことを聞いてやって、2兆円の定額給付金をくれてやった。②建設不動産業界と銀行の言うことを聞いてやって、住宅ローン減税の大盤振舞いをしてやった。③トヨタ様の仰せを畏く承って、高速道路料金の値下げをさせていただいた。④銀行と建設業界とトヨタ様のために、高額商品の住宅と自動車の駆け込み需要を作るべく、2年後には消費税増税で決まりだぞと国民を脅しつけてやった。⑤官僚の言うことを聞いてやって、赤字国債発行はしないと言い切り、補正予算の国会提出も曖昧にした。⑥朝日新聞の言うことを聞いてやって、消費税増税の決断をきちんと宣言してやった。素晴らしい「景気対策」だ。9/23に書いた「選挙戦前に起きた四つの政策の変化」の中で、私は、消費税論議が遠のいた点を二つ目に挙げ、昨年末からマスコミ報道を総動員して支配者側が盛り上げていた消費税増税論が、福田政権の終末以降急速に衰え、それに代わって、民主党主導の埋蔵金発掘論が前面に出て、国民に強く支持され、国民から収奪しようとした官僚が逆に収奪される情勢になっていたことを指摘していた。それがまた、巻き返された。官僚はしぶとい。簡単に諦めない。金融危機を利用して、消費税増税の工程化に成功した。

カネが無ければ官僚も干上がる。贅沢を続けたい官僚は、国民から収奪することをやめられない。

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by thessalonike5 | 2008-10-31 23:30 | 政局
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