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定額減税(給付金)の政策的本質と政治言語としての「バラマキ」
b0090336_129583.jpgいわゆる定額減税の問題について。今回は減税ではなく給付金の方式での支給だが、マスコミも野党もブログ左翼も揃って「効果がない」と言い、「無駄なバラマキ政策」だと非難している。定額減税を評価する声は一つもなく、これに反対するのが国民的正論になり、批判しない人間が異常だという常識ができている。民主党は、自分たちの子育て支援策(4.8兆円)がバラマキだと批判されると反論するが、似たような定額減税(2兆円)に対しては「究極の選挙対策のバラマキ」だと批判する。正直に言って、貧乏人が多いはずのブログ左翼が、民主党やマスコミに口を合わせて定額減税(給付金)に猛反対している光景が滑稽で仕方がない。民主党に踊らされ、マスコミに洗脳されているだけではないか。今日(10/30)の日経の5面に「給付金」に関する囲み記事があり、ニッセイ基礎研究所のコメントが載っていて、「分析では資産が少ない人ほど振興券給付によって消費を増やしている」とある。消費刺激の波及効果は限定的だが、低所得層は現実にそれを消費に回している事実が報告されている。 



b0090336_1293795.jpg「働く貧困層」と呼ばれる年収200万円以下の人々にとって、たとえ僅少な金額(一世帯平均38000円)の「給付金」でも、生活する上での大事な収入になるはずで、おそらくは貯蓄ではなく支出に回ることだろう。貯蓄に回すほどの余裕もない世帯や生活者は多いはずだ。貯蓄に回したくても回せないほど生活に苦しんでいる人が無数にいるはずだ。貯蓄に回す余裕のある人は貯蓄に回せばよいのであって、それは将来の生活の安心に繋がり、将来の消費に繋がる。これは国家からの一時金であり、国民への生活支援金であり、その本質的意味を一言で言うなら、消費税の戻し減税である。所得に関係なく一律に同額を支給するということは、一律に徴収している消費税を国民に還付しているということだ。消費税を戻す。実質的な消費税減税。これは立派に社会民主主義的な性格の経済政策であり、左翼がそれを憤然と非難する図は明らかに本末転倒している。左翼の側が、「定額減税は消費に回らず景気対策にならない」と言って反対しているのは理解に苦しむ。与党の政策だから何でも反対すればいいという態度は誤りだ。

b0090336_1295130.jpg現在は国内需要を喚起する政策が必要で、そのためには労働者に所得が移転配分されなければならない。本来は、経団連が音頭を取って労組と一緒に賃上げを促進すべきだが、今の経団連は新自由主義の伏魔殿であり、賃下げしか念頭になく、どれほど良識のある企業の経営者でも、一社だけでは従業員の賃金を上げる決定は難しい。そういう状況下では、市民は、政府が所得移転を推進する役割を担うよう求めるのが当然で、すなわち大型減税や恒久減税を求め、課税最低限の引き上げや昔の累進課税制度への税制復帰を求めるのが当然の政策立場であるはずだ。そうした立場からすれば、今度の「給付金」は、規模は些少で微弱ではあるが、考え方としては妥当なものである。もっと大規模にやるべきで、これまで15年間続いた収奪でカラカラに干上がっている労働者の家計事情を考えれば、極論ではあるが、政府が世帯当たり380万円の支給(200兆円)を奮発してもよいのである。それだけ支給すれば、貧困層は貯金ができるだろうし、中間層は全額貯金に回さず消費に回すことができるだろう。労働者の家計という観点からすれば、貯蓄も消費も実は意味は同じなのである。

b0090336_1210773.jpg誰でも消費はしたいし将来のための貯蓄もしたい。したいけれども収入が無いからできないのだ。生きるためには家賃を払い、電気ガス水道料金を払って、最低限の食料品と日用品を買い求めざるを得ず、店で商品を購入する支出を消費と呼ぶ。したがって貯蓄はやめることができても消費をやめることはできない。余裕のある者だけが貯蓄ができる。年収200万円で貯蓄をせよと言うのは無理だ。それが真実であるのに、ブログ左翼はマスコミや民主党と口を揃えて「定額減税は経済効果がない」などと評論家が言うようなことを言っている。定額減税をバラマキだとして反対するキャンペーンを張っているのはマスコミで、マスコミに記事を書かせているのは官僚である。新自由主義化した日本の官僚は、とにかく一般国民向けの支出は削減したいのであり、社会保障も削減し、教育も削減し、公共サービス全般を徹底的に減らす「小さな政府」路線を邁進して、それを正当化する言説と観念をマスコミに撒布させ、国民自身が高負担低給付の行政を納得するように世論工作に余念がない。その世論工作の戦略兵器が「バラマキ」という政治言語である。その言葉に騙され操られている。官僚とマスコミの情報工作は成功している。

b0090336_1210212.jpgバラマキとは何なのか。本来、国民は自分たちの生活のために国家に税金を納めているのであり、税金が医療や年金や福祉の行政サービスとなるのは当然なのであり、そうでない方がおかしい。バラマキとは、言葉の正確な意味は、国民の福利とは無縁な支出であり、国民の税金を浪費し散財する行政経費のことであろう。すなわち官僚の居酒屋タクシーが浪費であり、イージス艦やミサイル防衛の装備費こそが散財である。ところが、朝日新聞を筆頭とするマスコミが世論として捏造に成功した最近の「常識」では、米軍思いやり予算や米軍再編の巨費は散財とは言われず、官僚が天下りの渡り歩きで分捕る大金は浪費とは言われない。国民生活に支給される定額減税や子育て支援や農家最低保証だけがバラマキと言われる。それは政策として無駄で誤りだと新聞は言う。それはバラマキで経済効果は無いと言う。そして、医療や年金や福祉の社会保障費は、財政赤字だから国民自身が自己負担すべきで、消費税増税こそが正しい政策選択だと言う。防衛装備費や天下り特会は、財政赤字でも削減する必要はなく、社会保障費の維持のためには増税なのである。これは官僚の主張をマスコミが「国論」にしているもので、官僚の論理以外の何ものでもない。

b0090336_12103493.jpgバラマキという言葉をマスコミと同じ意味で安易に使ってはならない。その情報操作の政治的本質を見抜く必要がある。マスコミの言う「バラマキ」にはトリックがあり、その言説は官僚の利害の代弁であり、彼らの利害を国民の利害のように幻惑させる観念操作のための政治言語なのだ。「バラマキ」のレッテルを貼ることで、その政策対象を無価値だと貶め卑しめ、不当性の一般表象を社会的に醸成することが目的であり、本当は国民の利益になる政策を、国民自身が不利益であるかのように錯覚する観念倒錯を誘発するイデオロギー操作が行われているのである。われわれは、「バラマキ」の言語のイデオロギー性を正確に認識する必要がある。これは「改革」と同じ類の新自由主義による騙し目的の詐術言語だ。マスコミと官僚は、この定額減税策が公明党から出された点に狡猾に目をつけ、国民の中にある創価学会アレルギーを動員し、公明党の異端性への要注意を政策の評価に塗し、国民の創価学会への拒絶感を定額減税政策への不当視に投影させている。頭の悪い民主党信者のブログ左翼は、官僚とマスコミの世論工作に絡め取られ、公明党批判のヒステリズムを無自覚なまま定額減税政策の上に被せてしまっている。動機がイデオロギッシュで、政策を客観的に正視していない。

b0090336_1405292.jpg200兆円の定額減税(給付金)など荒唐無稽だと言われそうだが、保有米国債を売却すれば56兆円を財源に充当することができる。さらに、菅直人が調べたところでは、外国為替特別会計に100兆円超の埋蔵金が積み上がっていて、強引だが、これを合算すれば、150兆円の資金を回すことができる。それを全額「給付金」にするのがいいとは言わないが、200兆円の財政出動が日本の政策として論理的に不可能ではない点を言っておかなければならない。「埋蔵金はない」とか、「特会は財政支出に回せない」などという議論は官僚の詭弁であり、根拠のないマスコミ工作の主張である。左翼が定額減税(給付金)を公明党の政策だからという動機で否定するのを見ていると、まさに同じ事の裏返しで、共産党が提唱している経済政策が「共産党の政策だから」という理由で頭から保守層に拒絶され、議論の土俵に上げられない政治的不幸の現実と二重写しになる。イデオロギーのために日本国民はずいぶん政策でロスをしていて、民主主義や市民社会の発展を阻害させている。ブログ左翼の公明党批判は、政策論ではなくて生理的拒絶反応の噴出であり、その動機の根底には非合理的な差別や偏見がある。非合理的な差別や偏見を正当化できるのは、民主党支持の自分たちが公明党支持者よりも多数だという立場上の安心感からだろう。

b0090336_1211959.jpg昨夜(10/29)のTBSの『水曜ノンフィクション』に出演した荻原博子は、番組の中で金融危機の今後の影響を説明する件で、「公的年金が減る」という驚くべき発言をした。荻原博子は、一般大衆の生活指南役といった「庶民の味方」の表象を周到に演出しているが、実際には裏で官僚と繋がっていて、官僚の推進する世論工作の政治に積極的に加担している。昨夜の発言は、財務省と厚労省が年金支給切り下げを実行する助走路を敷いてやったもので、年金生活者に支給額引き下げを予告し、それを事前に受け入れさせる世論を固めるためのものである。官僚は、こういう機会を捉えて、中立を偽装した評論家を動かして政策を方向づけ、テレビを使って巧妙に世論環境を整備する。公的年金の支給額というのは、当然、法律や予算の伴う国家行政の領域であり、国会で審議の対象になるもので、政府が一方的に決定して押し付けられるものではない。仮に株式運用で年金基金に損失が出ていたとしても、国は赤字国債を発行してでも支給額水準を保守すべきもので、安直に支給額減額など認められるものではない。官僚が自分の口で言い出せば、世論は官僚の責任を追及して大騒ぎになる。ところが、中立の評論家を偽装した荻原博子がテレビ言えば、すんなりと通って一般世論に収まってしまうのだ。「仕方がない」という空気が醸成されるのである。

官僚が国会で言えば「冗談じゃない」と反発するが、荻原博子がテレビで言えば「仕方がない」という空気に収まる。だから官僚は評論家を飼う。これが政治であり、これが支配である。支配とはこういう現実だ。

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by thessalonike5 | 2008-10-30 23:30 | 政局
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