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米国金融産業のメルトダウン - 日経はドメスティックに回帰せよ
米国金融産業のメルトダウン - 日経はドメスティックに回帰せよ_b0090336_1154745.jpgNY株が昨日(9/17)、また大きく値を下げた。米当局によるAIGに対する救済措置が発表され、一日だけ安堵感が漂ったが、すぐに信用不安が再燃してパニック的な株の投げ売りとなった。ワコピアとモルガン・スタンレーが合併するという情報も流れている。日経の9面記事では、証券大手のUBS(スイス)に不安説が出ている。英国ではロイズがHBOSの吸収合併を発表し、米国のサブプライム問題に端を発した信用不安の波が欧州に押し寄せて金融再編を加速させている。まさに、日本を除く世界金融で、日本から10年遅れのビッグバンが起きている。ワコビアは証券ではなく銀行大手で、9/15にバンカメがメリルを吸収合併した形と同じように、証券のモルガン・スタンレーを吸収合併するように見える。だが、日経の3面記事(ネット未出)を読むと、実はワコビア自身がサブプライム関連住宅ローン事業で巨額の損失を抱えていて、最新四半期で87億ドルもの赤字を計上、今年3月に較べて55%も株価が下落、次の破綻先として注目されている事実が報じられている。この2社の合併は果たしてうまく運ぶだろうか。相当にリスクが高い。



米国金融産業のメルトダウン - 日経はドメスティックに回帰せよ_b0090336_11616.jpg9/17のNYSEでは、モルガン・スタンレーの株価が一時43%下落、ゴールドマン・サックスも27%下落している。これは大きい。早晩、「流血の日曜日」に続く第二幕があるだろう。サブプライム関連で昨年末から損失報道が続いている銀行のシティも第二幕の登場人物の一人になるだろう。米国と欧州の金融地図は様変わりする。NY株の1万ドル割れも目前で、年末に向けて米国の実体経済の冷え込みにさらに拍車がかかるだろう。基本的に、米国の住宅価格の下落が止まらないかぎり、レバレッジがリバースに作用して信用収縮の圧力は収まらず、金融機関が抱える証券化商品事業の赤字計上は減って行かない。自己資本が毀損され、自己資本比率が下がって格付が下げられ、取引上の条件が悪くなり、リスクが増え、株式が売り込まれ、逆へ逆へスパイラルして破綻に追い込まれる。昨日の株暴落に大きな影響を与えたと思われる8月の米住宅着工件数は、前月比6.2%の減少と17年ぶりの低水準を示し、住宅価格の下落は歯止めがかかる様子がない。今月号の「世界」の金子勝論文でも、米国の中古住宅市場の膨張と飽和の問題が紹介されている。

米国金融産業のメルトダウン - 日経はドメスティックに回帰せよ_b0090336_116153.jpg現在売れ残っている新興住宅の在庫の過剰だけではなく、サブプライム問題で差し押さえられて中古住宅市場に回ってくる物件の数が夥しく、それがまた住宅価格下落の圧力になっているのである(「世界」10月号 P.131)。それに加えて、オルトAと呼ばれるサブプライムとプライムの中間の信用力の顧客向けの住宅ローンの金利変更が2009年4月にあり、これによってまた住宅差押件数が増大するものと予想されている。中古住宅市場への供給圧力は止まらず、住宅価格は下落し続ける。グリーンスパンは、「来年上半期に住宅価格の底打ちが始まる」などと安心理論を言っているが、米住宅業界の内実はその楽観論に合理的な根拠を全く与えない。金子勝論文では、個人住宅に加えて商業用不動産の価格が急速に下落しはじめた点に注目している。商業用不動産にもサブプライムと同じように不動産担保証券の金融ビジネスがあり、総額90兆円の規模の市場が回っている。ここでまた債務不履行が起き、取扱金融機関に巨額損失が出るだろうと予想されている。サブプライム問題はサブプライム問題に終わらず、レバレッジ金融の破綻と信用収縮を周辺に拡大させ、実体経済を傷めつけている。

米国金融産業のメルトダウン - 日経はドメスティックに回帰せよ_b0090336_12375727.jpgバブルが崩壊した92年から日本の土地価格はずっと下落が続いたが、感覚的には10年くらい続いた印象がある。NHKのニュースで毎年1回土地公示価格の報道があり、東京上空から下を撮影した映像が出て、「今年の下げ幅は、」と大都市と地方都市の下落率が表示されていた。上昇に転じたのは4年前か5年前くらいだろうか。小泉改革で外資が入ってきて、東京の都心で不動産バブルが発生した。その勢いは昨年まで続いていたが、サブプライム問題の余波で頓挫、外資が後押しした東京の開発バブルもこれで終止符が打たれるだろう。92年にバブルが崩壊したとき、まさかこれほど長く延々と土地の下落が続くとは思わなかった。その経験から考えれば、米国の不動産価格の下落もまだまだ底なしに続いても不思議ではない。サブプライムからオルトA、商業不動産からクレジットカード、債務担保証券金融のクラッシュと不良債権化は止まるところなく広がり、次々とニュースになり、今度はこれと飛び火しながら、数年間かけて米国の金融産業をメルトダウンさせる。ゴールドマン・サックスも生き残れるとは思えない。FRBそのものが果たして生き残れるのか。これからどれほど公的資金で救済処理をしなければならないのか。

米国金融産業のメルトダウン - 日経はドメスティックに回帰せよ_b0090336_12363897.jpg日経の1面には「米金融危機」と題したNY発の連載記事があり、その中でFRBの財務内容が悪化している状況が指摘されている。中央銀行であるFRBは政府機関ではない。情報が公開されている9000億ドルの資産のうち、これまで度重なる証券会社の救済措置のために米国債と交換で住宅ローン担保債券を抱え込み、安全資産である国債の保有比率が1年前より4割も少ない4800億ドルに減少した。つまり1年間で3200億ドルの米国債を手放して、悪性資産である市場の住宅ローン担保証券を引き取って手元に保有しているのである。これはまさにFRBの不良債権に他ならない。それだけでなく、米国内の銀行を破綻から救うために貸し出した1500億ドルの融資残高があり、その担保がやはりリスクの高い金融商品らしいのである。2700億ドル(減価補正後)と1500億ドルで現在4200億ドル、記事を素直に読めば、FRBは9000億ドルの資産のうち、47%の4200億ドルを紙屑に等しい不動産担保証券で抱えていることになる。極論すれば、資産の半分が不良債権。加えて今回850億ドルのAIG救済の緊急融資。FRBはドル札を刷れば資本を増強できるのだろうが、この数字はやはり異常であり、果たして今後の国内金融機関の破綻回避に対処できる能力があるのかどうか疑わしい。

米国金融産業のメルトダウン - 日経はドメスティックに回帰せよ_b0090336_13383584.jpg日経の記者は、「サブプライムローン問題をめぐり、政府の対応は常に後手に回った。場当たり的に見える対応ぶりが、市場の不信感を増幅してきた」「証券会社の円滑な破綻処理策がなかったことも混乱を招いた」「いまFRBには、一連の対応が遅れたツケが回ってきている」と書き、米政府とFRBを厳しく批判している。2か月前の日経の記事は、メリルが大幅赤字を出しても大丈夫と言い、JPモルガンの純利益が全年同期比で半減しても予想を上回る好業績だと言い、竹中平蔵と木村剛の安心理論をバックアップしていた。新自由主義者のスクラムに乱れは生じるのだろうか。NYで現場を見ている記者には、さすがに「米政府の対応は日本と違って迅速だ」だとか、「米経済は堅調でサブプライム問題も年内で収拾の目処が立つ」などとは言わないようだ。日経新聞も、本当にわが国の国民経済の繁栄と国民生活の安寧を願う立場に立つのなら、新自由主義のイデオロギーを放棄すべきときである。ケインズ主義の原点に戻り、真に日経らしいエコノミクスのジャーナリズムを追求提供するべきである。外資と絶縁し、電通を斬奸し、経団連から新自由主義を一掃すべく動け。ドメスティックとナショナリズムの立場に立て。

米国金融産業のメルトダウン - 日経はドメスティックに回帰せよ_b0090336_13102312.jpg報道の中で気になるのは、米欧の金融機関のサブプライム担保債券を含むレバレッジ型金融事業の損失について、正確な数字が公表されないこともあるが、そこで不良債権という言葉が一切使われていないことである。特に今年に入ってから、米国金融関連の報道で「不良債権」という言葉は全く言われなくなった。そして、金融機関の四半期の業績は発表されるが、アナリストの想定範囲だったとか、産油国の政府系ファンドから資本補填を受けるだとか、投資銀行に都合のいい話題ばかりが振り撒かれ、それらの情報がテレビに出る新自由主義者の安心理論の根拠になっていた。破綻は常に突然に起き、3月のベア・スターンズもそうだし、今度のリーマンもそうだが、表で囁かれていた候補とは違うところがNYで噂が漏れ、株が売られて瞬時に破綻する。投資銀行が四半期報告を偽装していた可能性があり、報道機関も結託して安心理論を流布していた、あるいは自己欺瞞していた疑いが強い。米国の情報操作に較べれば、それなりに(真相は最後まで隠したが)都銀の不良債権額を纏めて公表していた当時の大蔵省はまだ可愛いと言ってやるべきだろう。日経新聞は日本の報道機関を代表して、米欧の金融当局と金融機関に「不良債権額を公表せよ」と言ってみろ。

BACK TO THE DOMESTIC !

米国金融産業のメルトダウン - 日経はドメスティックに回帰せよ_b0090336_15354339.jpg
米国金融産業のメルトダウン - 日経はドメスティックに回帰せよ_b0090336_11441097.jpg


by thessalonike5 | 2008-09-18 23:30 | 世界金融危機
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