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本と映画と政治の批評
by thessalonike5


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星浩(朝日新聞)の争点設定 - 選挙の争点は「政権交代の是非」
星浩(朝日新聞)の争点設定 - 選挙の争点は「政権交代の是非」_b0090336_17374448.jpg今日(9/7)の「サンデープロジェクト」は総裁選候補の討論企画だったが、本命の麻生太郎と対抗馬の与謝野馨が欠席して現れず、中入前の十両の相撲を見させられている拍子抜けの感じだった。石原伸晃と小池百合子は外からの映像参加、スタジオに顔を揃えたのは幕下の3人で、内容もとても政策論争と呼べる代物ではなかった。特に棚橋泰文と山本一太の売名屋の自己宣伝が見苦しく、若い二人の厚かましさと図々しさが際立って、不快で憂鬱な気分にさせられた。これでは自民党にとってどう考えても逆効果にしかならない。棚橋泰文は総裁選候補としてはこれで見納めだろうが、この出し抜きと目立ちを利用して、今後の民放の政治番組のレギュラータレントに居座る可能性がある。棚橋泰文が改革原理主義者ぶりをアピールして売り込んだのは、カメラの向こうの視聴者国民ではなく、テレビ局のプロデューサーと電通なのだ。傲岸不遜な二世の新自由主義者の若僧が、またぞろ新しくテレビ政治の役者になる。 



星浩(朝日新聞)の争点設定 - 選挙の争点は「政権交代の是非」_b0090336_1738271.jpg小池百合子は熱海から中継に出ていたが、少し様子がおかしく、番組で喋る話の中身を全く準備していなかった気配があり、一瞥して、ほとんど総裁選から降りている印象に近かった。一昨日も札幌に日帰りで講演に出かけていて、多数派工作の正念場の最も大事な時期に東京を離れている。「20人集まったか」と聞く報道陣の質問に対して、返事する表情から徐々に余裕が消えている。美貌の小池百合子の活躍で総裁選の盛り上がりを期待した自民党関係者と支持者にとっては、少なからず失望させられた今日の映像だったに違いない。解説席に座っていた星浩は自民党若手改革派の暴走と混乱を鼻でせせら笑い、田原総一朗もこれでは持ち上げようがないという困惑の表情を隠せないまま往生していた。今日の討論はまさに小者の前座興行。麻生太郎と与謝野馨が出て来ないと何も始まらないという、先の本番を演出するための芝居である。小者がいるから真打が引き立つ。麻生太郎を大物役者に演出することができる。

星浩(朝日新聞)の争点設定 - 選挙の争点は「政権交代の是非」_b0090336_17381421.jpg結局、改革派が纏まって大勢力になるためには、小泉純一郎が表に立って号令で束ねるしかない。そのシナリオとして、例えば、総裁選を通じて麻生太郎の人気が思うように上がらず、政権発足時の支持率が60%未満だった場合、総選挙での自民党の大幅議席減が確実となり、改革派若手議員の全員落選が必至の情勢となる。おそらくそのとき、小泉純一郎が重い腰を上げて改革新党の旗上げへ動くだろう。小池百合子の顔にはそう書いてあるように見えた。小池百合子は今度の総裁選を見限っていて、小泉純一郎と中川秀直が新党で自分を担いでくれることを期待している。小池百合子は、小泉純一郎という太陽の光を受けて暗い宇宙に輝く月であり、自身にカリスマはない。今日の番組では、改革新党結成(自民党分裂)の可能性、すなわち、それを情勢的に媒介する自民党の選挙敗北の必至性を予感させられる二つの出来事があった。その一つは、公明党の太田昭宏の意味深な発言である。公明党はすでに自公政権を事実上終わらせている。

星浩(朝日新聞)の争点設定 - 選挙の争点は「政権交代の是非」_b0090336_17382566.jpg田原総一朗が太田昭宏に、「選挙で自民党が負ければ民主党と連立を組むのか」と直裁に聞いたとき、太田昭宏は、「私は現場のプレイヤーだから(その質問には答えられない)」と狼狽しつつ珍妙な応答を返した。それを決めるのは池田名誉会長だと言いたかったように聞こえ、田原総一朗も(視聴者の私も)苦笑したが、学会内では民主党との連立模索が既定方針で、要するに総選挙の結果次第だという立場が明確にメッセージされたと言える。つまり、自民党という一塁ベースから三歩四歩離れて、ハーフウェイで腰を屈めた姿勢で情勢を睨んでいるのである。政治情勢の変化に応じて、どのようにでも対応できるように両面作戦で身構えている。それは公明党にとって当然のことで、その表面だけ見れば特に重要な問題ではないように見える。しかし実はそうではない。きわめて重要だ。何故なら、選挙区の集票マシンである創価学会がハーフウェイで腰を屈めたということは、これまで自民党候補に入っていた大量の票が入らなくなるということを意味するからである。

星浩(朝日新聞)の争点設定 - 選挙の争点は「政権交代の是非」_b0090336_1739162.jpgこれが一つ。もう一点はもっと重要で、総選挙の争点に関わる問題である。本日の番組のハイライトは、星浩が言い放った総選挙の争点に絡む問題発言だった。「えー、このままでは選挙の争点は政権交代の是非を問う選挙だということになってしまいますねえ」という大胆な言葉。ブログの読者は「来たーっ!」と思われたのではないか。何度も繰り返し述べているように、選挙の勝敗を分けるキーはマスコミ報道によって設定される「争点」なのである。争点の設定何如で勝敗は自ずから流れが決まってしまう。勝利する側と敗北する側が事前に決められる。流れが一度出来上がると、争点において不利な立場に立った側は劣勢を容易に覆せない。そして、何度も言っているとおり、選挙の争点を公式に設定するのはマスコミ権力なのである。新聞とテレビがそれを決める。他の介入を許さない。すなわち、今度の総選挙においては、朝日新聞は「政権交代の是非」を争点として報道するということを星浩が宣言したのだ。言わずもがな、民主党を勝たせるという意味である。この発言は大きい。

星浩(朝日新聞)の争点設定 - 選挙の争点は「政権交代の是非」_b0090336_17384835.jpg星浩は、自社(朝日)の争点設定を覆せる対案があるなら、きちんと逆襲してみろと自民党に迫ったわけで、二代続けて政権放棄した自民党の責任という背景と根拠からも、この主張には世論の同意を得る確かな説得力がある。売名動機だけの幕下の小者たちが「改革継続」を声高に叫んでも、そんな小僧の戯言は争点にはならない。今後、麻生太郎と与謝野馨が本格的な政策討論でどれだけ「争点」の基軸を出せるかが問われるが、星浩の表情は自信満々で、もはやこれ(政権交代を問う選挙という定義づけ)を切り崩して、別の「争点」で世論を説得する力は自民党にも読売にも日経にもないだろうと達観している様が看て取れた。朝8時からの日本テレビの番組(徳光和夫の「ザ・サンデー」)でも、きわめて異例なことに自民党批判の政治解説が上がっていて、報道世界の中での空気が政権交代へと傾いている状況が感じられる。今後、麻生太郎と与謝野馨の討論が始まった後、TBSのみのもんたと岸井成格、そして田勢康弘とテレビ朝日の古館伊知郎がどう報道の舵取りをするのか注目される。

星浩(朝日新聞)の争点設定 - 選挙の争点は「政権交代の是非」_b0090336_17383710.jpgまとめとして、第一に、改革派(新自由主義陣営)は小泉純一郎が表に出る以外に勢力挽回の方途はなく、総裁選の展開によっては小泉新党結成の可能性もある。第二に、自民党は、麻生太郎と与謝野馨の政策討論で「争点」の新基軸を説得的に打ち出して、読売と日経にオーソライズしてもらう必要があるが、その場合でも、選挙に勝つためには麻生新政権の支持率が70%以上でなくてはならない。第三に、総裁選序盤は自民党の目論見に反して演出効果は低調であり、売名衝動に走った若手が総裁選を混乱させ、自民党総裁の権威と総裁選の伝統に泥を塗った。第四に、朝日新聞は「政権交代の是非」を争点設定すると公式に宣言、公明党は選挙の「ハーフウェイ」を宣言するに至り、総選挙における自民党の不利の状況が明らかになりつつある。ブログの関心は、この選挙で自民党と民主党のどちらが勝つかという問題以上に、この選挙を通じて日本の改革勢力(新自由主義勢力)がどうなるのか、改革政策がどう変わるのかに注目している。朝日新聞のメッセージは、改革政策の新しい担い手を民主党に託すということだろう。

星浩(朝日新聞)の争点設定 - 選挙の争点は「政権交代の是非」_b0090336_1844915.jpg

by thessalonike5 | 2008-09-07 23:30 | 政局
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