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本と映画と政治の批評
by thessalonike5


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共産党ブームの政治 - 3年前にネットで風を巻き起こした先駆者
共産党ブームの政治 - 3年前にネットで風を巻き起こした先駆者_b0090336_161288.jpg昨夜(7/21)のテレビ朝日の政治番組で、大竹まことと森永卓郎が共産党本部を訪問する特集が放送されていた。三宅久之とビートたけしが仕切って、右翼と新自由主義のプロパガンダで視聴者を洗脳することが目的のこの番組では、格差や貧困の問題は絶対に正面から取り上げられることはない。ちゃらけた永田町政争ネタで自民党と民主党のタレント議員に「口喧嘩」を演じさせ、浜田幸一と三宅久之の罵倒と恫喝で茶番を締めくくる。三宅久之の恫喝で発言を封じられるのは、森永卓郎であり、中国人であり、共産党であり、民主党であり、常に相対的に左側の立場の論者である。この番組は保守反動と新自由主義からの洗脳宣伝工作であると同時に、他の政治番組と同じく、マジョリティである保守層(読売・日経・文春読者)にとっての「安心理論」の提供吸入の場でもある。ここでは、視聴者にいかにも生の政治の争点と討論を見せているような錯覚を与えながら、実は本当に深刻な問題を隠蔽し、視聴者から見えないようにしている。



共産党ブームの政治 - 3年前にネットで風を巻き起こした先駆者_b0090336_1611396.jpg番組の結論は常に同じであり、「官僚が諸悪の根源」「野党は無責任」「中国は絶対悪」「福田首相は無能」である。民放のどの政治番組も基本的にこの線で主張を揃えている。そして、実際には福田首相以上に無能なブログ左翼が、政治番組を見た次の日に、まるでおさらいをするかのように、「野党は無責任」だけを捨てて、他の主張をそのまま自分のBLOGの記事に書き連ね、「小沢支持」と「政権交代」を絶叫するのである。ブログ左翼の当人たちは、マスコミに洗脳されているのは自民党支持の「B層」だと思い込んでいて、自分は立派な政治的知性を持った市民様だと思っている。本当は格差と医療の問題を国会で本格的に追及して、法制度と予算を切り替えなければならなかったこの1年間を、民主党とマスコミとブログ左翼は官僚の利権と不正の話ばかりで埋め、国民の世論と関心を塗り固め、新テロ特措法とガソリン国会の政争で時間を無駄に浪費した。結局、貧困も医療も放置された。ブログ左翼もマスコミと共犯であり同罪なのだ。

共産党ブームの政治 - 3年前にネットで風を巻き起こした先駆者_b0090336_1612231.jpgマスコミに踊らされているだけなのである。泰山鳴動してネズミ一匹。大騒ぎした問責決議案はアリバイ提出で不発に終わった。これだけ国民に不人気な内閣でありながら、解散はなく、暫定税率も廃止はなかった。新テロ特措法もすんなり通った。後期高齢者医療制度は無傷のまま存続、社会保障費2200億円削減もそのまま来年度実行される。民主党はテレビでタレント議員がポーズで官僚批判と政権批判を咆えるだけで、国会で問題を改善しようとは動かない。参院で多数を占めながら、全て政権と官僚の思いどおりに法案と予算は進行した。普通の賢い市民なら、国会運営を見ながら「何かおかしい」と思うはずだが、ブログ左翼はマスコミ報道を何も疑わず、マスコミの言うがままに、誘導されるままに官僚への憎悪を吐き散らして終わりにしている。「政権交代」のお経を唱えて終わりにしている。民主と自公が馴れ合いをやっているから、政府の法案や予算がそのまま無傷で通って、貧困問題や医療問題が改善されないのだと、そう頭を働かせて考える人間はいないのか。

共産党ブームの政治 - 3年前にネットで風を巻き起こした先駆者_b0090336_1613255.jpg共産党ブームが政治のモメンタムになりつつある現状を見ながら、このブームを一足先にネットで巻き起こしていた先駆者で功労者のことを思い出す。優秀で有能なカッシーニ。彼女がブログを始めた3年前は、これほどフォローの風が吹く環境ではなく、どうすれば主張に一般の同意や共感を得ることができるのか、それをマキシマムにできるのか、彼女はいつも思い悩んでいた。有権者へのメッセージやアプローチが的確なのかどうか、もっと工夫や改良の余地があるのではないか、自分の側に問題があるのではないかと反省し、あるいは党の運動論にも問題があるのではないかと遡及して考察をめぐらせていた。その政治と運動に向き合う思考が真摯であり、誰もが好感を持てる素直さがあり、また内面の信仰という普遍的な問題を考えさせられる模索と葛藤があり、それらが組み合わさって、読者に対する大きな魅力と説得力になっていた。今のブログ左翼にはそういう光彩を放っているものが一個もない。政権交代教の小沢信者たる自己について、これでいいだろうかと思い悩む契機が全くない。

共産党ブームの政治 - 3年前にネットで風を巻き起こした先駆者_b0090336_1615128.jpgあまり問題を深く考えもせず、「あれをしましょう、これをしましょう」とワンパターンの政治的な指示と号令を繰り返す町内会のメガホンおばさんみたいなブログ左翼とか、自分の政治言説に自信がないから広告塔の有名人の名前を出して箔を付けるしかないブログ左翼とか、本当は政治などどうでもよくて頭の中はアクセス数稼ぎしか関心がないブログ左翼とか、それらは私から見てカッシーニとは雲泥なのだ。彼らとカッシーニとは親子ほども年の差があるけれど、政治的知性の面ではカッシーニの方が間違いなく上だろう。政治をよく知っている。少なくとも政党やマスコミのプロパガンダを頭から信じ込む安直さや浮薄さはなかった。共産党に対してもそうだった。カッシーニのような逸材がいない。自分が咆え叫んでいる「政権交代」のプロパガンダや民主党の政治行動に対して、もう少し内省的な視線を持つことができれば、そのBLOGは人気も出ると思うが、そこが資質の差というものだろう。簡単に言えば、カッシーニはそれだけ政治に本気だったということであり、ブログ左翼はそうではなく無責任で趣味的だということだ。

共産党ブームの政治 - 3年前にネットで風を巻き起こした先駆者_b0090336_162152.jpg志位和夫の7/11の中央委員会の報告では、昨年9月から9千人の新規党員が増え、さらに年内に2万人を獲得する目標だと言う。この勢いがそのまま続くかどうかは不明だが、共産党の党勢が伸び、それがマスコミで報道されることで確実に影響を及ぼすのは、マジョリティの保守層が自民党から民主党に投票先を鞍替えすることであり、政府が民主党の政策を取り込み始めることである。有権者も政府も全体が左へ寄る。その効果がある。それは何故かと言うと、保守層は共産党をこれ以上伸ばしたくないからであり、政府も経団連も米国も共産党の台頭は困るからである。共産党を日本の政権に近づけないため、共産党をなるべく政治の主舞台から遠ざけておくために、政策(国政の制度と予算)を左に寄せ、国民が共産党に投票しなくてもいいようにする。自民党に民主党との妥協を促し、場合によっては自民党を替えて民主党に政権を担当させる。米国と経団連と体制イデオローグが考えていることはそういうことだろう。これは、基本的に1929年恐慌の後に資本主義がケインズ政策で大幅修正して福祉国家への展開を図った動機と同じであり、すなわち社会主義政権の危機が迫れば、資本主義は新自由主義を修正する。

共産党ブームの政治 - 3年前にネットで風を巻き起こした先駆者_b0090336_1621170.jpg社会主義政権の可能性が遠くなれば、資本主義は新自由主義のネイティブへと回帰する。だから、ブログ左翼に民主党が政権を取る近道を教えてやるなら、ブログ左翼が共産党を応援することである。どうせ一日の閲読者数が2千人未満しかないブログ左翼のBLOGなど左翼系以外は見ていない。自民党に投票している保守層が見ている可能性はゼロに等しい。そうであれば、政治BLOGで「自民党政権を倒そう」とか、「政権交代しかない」などと民主党の定番プロパガンダを叫んで声を枯らす行為は、単に身内のムラの中で「おはよう」とか「おやすみ」とか挨拶を交わし合っているのと同じだ。それ以上の意味があるとすれば、左翼村の少数住民である共産党支持者に対して、共産党支持をやめて民主党支持にしろと迫り、小選挙区は共産党候補ではなく民主党候補に投票するよう迫るだけの意味しかない。閲読者2千人の小さな左翼村で、小沢信者のブログ左翼が政権交代教の布教のボルテージを上げることは、単に共産党シンパに対する説得の意味しかない。そしてそれは(2007年の都知事選のときと同じように)左翼内部の軋轢と不毛を生むだけの効果しかない。政治状況を冷静に考えれば、ブログ左翼がどういう判断をすべきかは明らかだろう。

共産党ブームの政治 - 3年前にネットで風を巻き起こした先駆者_b0090336_16134065.jpg共産党の党勢が伸びるということは、第一義的には自民党の政策が左に寄って民主党の政策に接近するということであり、危機感を感じた保守層が自民党から民主党に支持を鞍替えして、その結果、民主党政権実現の可能性が著しく高まることを意味する。昨年の参院選でも、共産党と社民党は伸び悩んだが、それは民主党が共産党の政策を選挙公約として(言葉だけ)パクったからで、民主党が新自由主義から福祉国家に路線転換したと有権者が思ったから左派票が流れたのである。左派を含めて生活苦の有権者は共産党に伸びて欲しいと思ったのではなく、福祉国家の政策が欲しかっただけだ。新自由主義からの離脱が欲しかっただけだ。共産党がマジョリティになるとは誰も思っていないし、選挙を二度三度やっても共産党が政権与党の一角を占めるとは誰も思っていないだろう。総選挙で実現するべきは福祉国家の政策を実行する政権である。現時点で政党名を具体的に言えば、それは民主党である可能性が論理的には高い。だが、民主党には新自由主義の血液が大量に流れていて、総選挙で政権を獲得しても、福祉国家の政策へシフトするという保証は全くない。民主党に改革路線から断絶した福祉国家の政策で政権運営させるにはどうするべきか。

そこから問題を考えなければならないのであり、各自が最善最適の政治行動の選択を導く必要があるのである。
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【世に倦む日日の百曲巡礼】

今日の一曲は、1983年のヒット曲で デビッド・ボウイ『Let's Dance』 を。

高校時代、クラスの女の子が大好きだったデビッド・ボウイ。最初に聞いた曲が何だったか、題名を思い出せない。そのデビッド・ボウイが久しぶりにヒット曲を出して、土曜夜に放送していた小林克也の「ベストヒットUSA」で見た。高校時代はいいと思わなかったけれど、この曲でデビッド・ボウイの才能を確認させられた。


ルックスも最高にいい。YouTubeの映像は南カリフォルニアかな。サンディエゴのあたり..?

by thessalonike5 | 2008-07-22 23:30 | 政局
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