| |
秘密保護法成立まで1週間 - 議員会館前の格差社会
|
|
秘密保護法案の参院での可決成立まで、残り一週間の日程となった。前回の記事で、「一人一人が自分自身の抵抗の物語を紡ごう」と勇ましいことを書いたのだけれど、そのとき思い浮かんでいたのは、辺見庸が4年前にカミュの「ペスト」を用いて講釈した一節だった。2009年2月のETV特集で放送された「しのびよる破局」。そこで、医師リウーの「ペストと戦う唯一の方法は誠実さです」という言葉が引かれた。人間の誠実さだけがペストに打ち勝つことができる。ペストという破局を前にして、人は誠実さだけで戦い抜くしかなく、ペストを克服するためにはただ誠実であるしかない。秘密保護法という、われわれを破滅と絶望に追い込む悪魔との戦いも、同じなのではないかと、そういう発想が過ぎったのだ。誠実さと謙虚さだけが、この戦いに勝ち抜く唯一の方法で、自分たち自身を守り救う道なのであり、結局それしかないのだと諦観する。後悔を残すことのないように、法案の成立を阻むべく最後まで屈服せず抵抗を貫いたことを、自らが選択した物語として刻むこと。そういう一人一人になり、デモに出た場で、他者に感動を与え、他者から勇気をもらうこと。ここにも誠実に生きようとしている市民がいるのだと、発見をすることさせること。それを積み重ねられれば、自分や他者に対する信頼みたいなものができ、たとえ法案が成立して本物の地獄に投げ込まれても、そこで粘り強く生きる力を持つことができるのではないか。
by thessalonike5
| 2013-11-29 23:30
|