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領土を守るための日本外交 - 安定の基礎は日中関係
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読者からメールがあり、次のような質問を頂戴した。「孫崎亨氏の『戦後史の正体』を読むと、北方領土については、戦後史の正体に書いてあった、ヤルタ協定、サンフランシスコ講和条約、日ソ共同宣言から、歯舞、色丹諸島の2島しか返ってこないだろうなと思います。(略)4島すべての返還は実現不可能だと思いますが、この点についてはどうお考えでしょうか」。私は孫崎亨の本は読んでいないが、4島返還は可能であると今でも思っているし、返還の場合は4島一括であるべきだと確信している。ソ連崩壊の間際、経済が縮小再生産を続けて破滅に転がっていた時期、ちょうど日本はバブルの真っ只中で金満大国だったが、ゴルバチョフは北方領土の返還を含んだ日ソ平和条約の締結を内々に決意して訪日の時機を探っていた。実際に訪日した1991年の時点では、ゴルバチョフは失脚していて、平和条約の中身を纏める実権を失った身となり、訪日は形式だけの儀礼的なものになった。それから20年、両国の力関係が変わり、当時は想像もできなかった現在の状況になっている。当時を振り返ると、今の現実が信じられない。力関係の変化には二つの要素があり、一つは経済的な国力であり、もう一つは国際外交上の立場である。結論から言えば、この二つの力関係の中身を20年前に戻せば、4島一括返還の客観状況を作ることは可能だ。
by thessalonike5
| 2012-08-28 23:30
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