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本と映画と政治の批評
by thessalonike5


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検察と小沢一郎の戦争 - 事情聴取の動きと報道の世論調査が鍵
検察と小沢一郎の戦争 - 事情聴取の動きと報道の世論調査が鍵_b0090336_13343951.jpg検察側の動きがあまりに早くて驚かされる。昨日の記事を上げたとき、具体的な公共工事の嫌疑について検察から情報が漏れるのは1日か2日後だと思っていたら、直後に岩手県の小沢事務所への強制捜査が入り、数時間後には「胆沢ダム工事」という具体的な物件名まで飛び出てきた。予測のインパクトを狙ったつもりの昨日の記事の題名は一瞬で減価償却されてしまい、検察側の獰猛で凄烈な今度の捜査攻勢に驚かされる。「小沢一郎は退路を断った」と新聞は書いているが、退路を断ったのは検察も同様のようで、今朝は早くも小沢一郎への事情聴取を検討というニュースが出た。一気呵成に勝負に出ている。それは、昨日の小沢一郎の記者会見の発言が検察の予想以上に過激な内容で、検察の捜査を不公正な権力の行使だと正面から批判したためである。もしこのまま小沢一郎が代表の座を続け、そして民主党が総選挙に勝利したなら、小沢一郎の検察批判は国民に支持されたということになり、麻生政権のためにあからさまな国策捜査を発動した検察の威信は地に墜ちる。正義の立場を失い、司法権力の正統性を根底から損なう。



検察と小沢一郎の戦争 - 事情聴取の動きと報道の世論調査が鍵_b0090336_13345033.jpg検察は総力を上げて小沢一郎を代表辞任に追い込むはずで、国策捜査批判が国民世論の中で大きくならないうちに、事情聴取に踏み切り、西松建設と小沢一郎との直接の疑惑(贈収賄)について嫌疑を裏づける具体情報をマスコミに流すだろう。つまり、贈収賄の構成要件の事実を西松建設側の証言情報として出すと思われる。例えば、国沢幹雄が何月何日に小沢一郎に赤坂の料亭で会って工事受注の斡旋を依頼したとか、盛岡の事務所に菓子折(現金)を持って訪ねて行ったとか、そういう決定的な情報が出るのではないか。政治資金規正法違反で逮捕されたのは秘書の大久保隆規だが、その容疑は収支報告書虚偽記載であり、虚偽記載は単なるうっかりミスではなく動機がある。動機の中身は収賄の隠蔽工作であり、収賄の張本人は大久保隆規ではなく小沢一郎である。マスコミ各社は週末に世論調査をする。調査の質問事項は、「小沢代表は辞任すべきかどうか」を問い、Yes/Noの比率が検察の捜査への国民の支持率をあらわす。現在のところ、新聞はどれも検察支持で固まっている。テレビの方は、報道ステーションが小沢一郎に対する同情的な姿勢を若干示していた。

検察と小沢一郎の戦争 - 事情聴取の動きと報道の世論調査が鍵_b0090336_133514.jpg世論調査で「小沢一郎は辞任しなくてもよい」の意見が多数になれば、検察の国策捜査が国民の批判を受けたという結果になり、検察は小沢一郎に敗北する。民主党内は世論の支援を受けて代表擁護で一致結束し、弾圧の中での選挙勝利に向けて悲壮感が高まり選挙戦への態勢は強化される。そして国民の間の検察不信が高まることになる。検察はそれを阻止すべく、週明けの世論調査報道で検察支持が多数になるように、徹底的にこの2日間(3/5-3/6)を使おうとするだろう。もし小沢一郎が事情聴取を受ける事態になれば、民主党内の空気は一転して、代表辞任で衆議一決することになる。小沢一郎のような大物に対して事情聴取となった場合、それは単なる牽制や駆け引きでは済まず、そのまま逮捕という展開に繋がる可能性が高い。昨日の会見の主張は、「俺を逮捕するのならしてみろ」と言っているのと等しく、検察に対する真っ向からの挑戦と挑発であり、田崎史郎が解説で言っていたとおり、ロッキード事件で逮捕された田中角栄のことが念頭にあったのだろうと思われる。つまり、獄中から立候補して選挙区で記録的な得票で当選し、権力者として復活を遂げる作戦である。ただ、そのためには民主党が選挙で勝たなくてはならない。

検察と小沢一郎の戦争 - 事情聴取の動きと報道の世論調査が鍵_b0090336_13351272.jpg検察が事情聴取に踏み切るかどうか、ここが勝負の分かれ目のポイントであり、検事総長は麻生首相の判断を仰ぐはずだ。ここでもし麻生首相が森喜朗に相談したときは、選挙後の大連立を睨み、司直の手が自分にも伸びる事態を恐れて「それはやめとけ」と逡巡するだろう。決断ができず、時間を延ばしているうちに報道の世論調査が出て、小沢支持が多数になってしまえば、検察は敗北して事情聴取はできなくなる。昨日の会見には、鳩山由紀夫が傍にぴったりくっついていたが、もう一人の幹部の菅直人の姿が見えなかった。大連立騒動のときは、菅直人が精力的に収拾に動き、乱心したバカ殿の小沢一郎の辞任を撤回させ、民主党の一致結束の体制を守りきった。報道が写真撮影するときは、必ず3人が1枚の絵に収まるように配置を考えていた。昨夜から今朝の報道を見ると、興石東や山岡賢次や岡田克也のコメントはあるが、菅直人が記者の前で語っていない。民主党の支持者としては不安を感じる材料ではないか。左派の重鎮の一人であり司法の専門家でもある江田五月の見解に注目したが、3月4日の日誌はこの件に関して深く触れていない。国策捜査批判もない。参院議長としての立場もあるのだろうが、この沈黙の意味を考えさせられる。少なくとも菅直人とは連絡を取り合っているはずだ。

検察と小沢一郎の戦争 - 事情聴取の動きと報道の世論調査が鍵_b0090336_13352367.jpgネット上では、今度の問題をパチンコと民間賭博の比喩で説明して、誰でもパチンコは見逃されているのだから、小沢一郎だけが摘発を受けるのはおかしいという声が上がっている。だが、これは、時速60キロ制限の道路を80キロで走行して、ネズミ捕りのパトカーに検挙された事例と同じで、他の車も速度違反で走っているのに、なぜ自分だけが検挙されなければならないのだと交通警察に食ってかかる主張と同じだ。あるいは、他のどの車も駐車違反をしているのに、なぜ自分の車だけが標的にされて切符を切られるのだと苦情を言うのと同じだ。違法行為は違法行為であり、取締の不公平を理由にして当人が犯罪を正当化することはできない。「不公正な捜査」を批判して正論の立場を得るのは第三者であり、現実に捜査の対象になった小沢一郎ではない。この点が小沢一郎の弱いところであり、世論が検察批判に同調できないところである。捜査が公正か不公正かも重要な問題だが、最も大事なのは、公共工事の便宜を提供して見返りに現金を授受した事実があったかなかったかであり、規正法と企業献金と政治団体の問題は瑣末な法解釈の次元の問題でしかない。さらに、パチンコと民間賭博の比喩が問題の説明として適当でないのは、パチンコなら誰でもできるが、公共工事の受注を斡旋して見返りを受ける行為は権力者だけにしかできないという事実が見逃されている点である。

検察と小沢一郎の戦争 - 事情聴取の動きと報道の世論調査が鍵_b0090336_13353473.jpgこの問題は、したがってパトカーのネズミ捕りやパチンコの見逃しと同等に扱うことはできず、その「違法性」は決して一般人の道路交通法や刑法の賭博罪規定と同じ見地から判断することはできない。それはスリカエだ。この問題はまさに「政治とカネ」の問題であり、権力を持った政治家が地位を利用して不当に利益を得る行為が問われている問題である。松岡利勝がナントカ還元水で不法な事務所費を計上して税金から裏金をせしめたり、赤城徳彦が同じように実家を事務所にして事務所費をせしめていたのと同じ政治家の不法行為であり、松岡利勝や赤城徳彦を批判する者は、同じ論理と立場で小沢一郎を批判しなければならないのが当然だろう。他の人間も同じことをやりながら見逃されているではないかという論理に依拠すれば、松岡利勝や赤城徳彦も同じであり、不運にも不正が発覚した彼らに同情しなければならない帰結に陥る。自民党の金権腐敗体質を批判する立地を失ってしまう。重要な点は、小沢一郎が野党の党首でありながら、東北地方では最大の権勢を持った与党の権力者で、経世会時代そのままの手法で公共工事の受注には自分の事務所を通させ、斡旋の見返りに土建会社から献金を受けていた事実である。見返り(工事受注)がなければ土建会社が政治家に献金することなどあり得ない。献金は工事費用に含まれて最後は国民の税金で払われる。今回の問題は、まさに経世会的な政治と業者の癒着である。

代表を辞任しなければ混乱が広がるだけだ。

検察と小沢一郎の戦争 - 事情聴取の動きと報道の世論調査が鍵_b0090336_13354580.jpg

by thessalonike5 | 2009-03-05 23:30
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