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内部留保をめぐる新自由主義側の反撃と詭弁 - 城繁幸と朝日新聞
城繁幸_1昨日(2/1)放送された日本テレビの討論番組「派遣切り - ニッポン失業危機を救え」についての記事をレジまぐに上げた。同じ昨日の朝、テレビ朝日のサンデープロジェクトでも雇用問題に関する討論が企画され、森永卓郎と團野久茂、奥谷禮子と城繁幸の4人が出演していた。だが、例によってと言うべきか、田原総一朗が仕切る討論は世間の常識の正論に軟着陸することはなく、経営者側の派遣切り正当化の乱暴な論理は縦横に繰り出されながら、労働者側の反論は不十分なままで、結局は、派遣村攻撃のプロパガンダを財部誠一に好きなだけ言わせて番組のメッセージにしていた。雇用情勢はどんどん悪化しているにもかかわらず、労働者の権利に対するマスコミの報道の姿勢は、1か月前の状況と較べて想像もできないほど新自由主義反動の側に後退している。まさか、この期に及んで奥谷禮子と城繁幸のプロパガンダをテレビで見るとは思わなかったが、経団連と新自由主義側の巻き返しは、実のところ朝日新聞の紙面で凄まじい攻勢となっている。



城繁幸_2レジまぐの記事の方に、日本テレビの討論番組で金美齢のヒステリックな自己責任論の暴論と湯浅誠の応酬があった件を触れたが、サンデープロジェクトでは、財部誠一によってさらに荒唐無稽な暴論が展開されていた。財部誠一は、「僕も実際に企業から聞いたんですが」と言い、企業が期間工に対して年2回の賞与各60万円を含む年間500万円の賃金を払い、派遣工にはそれに30%プラスした分を派遣会社に払っていたという情報を示し、「これだけ企業が払っているのに、解雇された1か月後に所持金ゼロで路頭に迷うのは、本人の責任かインチキかマスコミの報道の嘘だ」と言い放った。これに対する森永卓郎の反論は要領の得ないもので、見ていて痛痒を感じさせられたが、もし財部誠一が言うような賃金額が派遣労働者の一般水準であるなら、年収200万円以下の「働く貧困層」が年々増加して1000万人を超えた経済の現実をどう説明するのだろうか。非正規雇用の増大が格差と貧困をもたらせている事実は、すでに国民の常識になっている。にもかかわらず、財部誠一はそれは嘘だと言う。

城繁幸_3サンデープロジェクトの公式見解では、派遣労働者は年間500万円の年収があり、不意に解雇されても路頭に迷う心配はない境遇なのだ。もし、あのスタジオに河添誠がいたら、一体どんな展開になっていただろう。湯浅誠と河添誠がいないから、財部誠一のような男が図に乗ってどんな滅茶苦茶なことでも言うことができる。田原総一朗が言わせているのであり、田原総一朗にそのように番組を作らせ、そのように財部誠一に言わせている人間がいるのである。河添誠には、労働者を侮辱して世論を操作する暴論は許さないという強烈な意思と視線がある。その意思と視線が狂人の金美齢をさえ黙らせる。森永卓郎にはそれがないのだ。同じテレビ芸能界の仲間同士の「論争芝居」になり、真剣な反論で相手を捻じ伏せる行動に出ないのである。茶化して「あはは」のお笑いで流し済ますのだ。だから、雇用問題がテレビ番組できちんと討論されるためには、そこに湯浅誠と河添誠が出演している必要がある。日本テレビの番組の方では、読売系の放送局でありながら、笛吹雅子が湯浅誠を見る目に尊敬の眼差しが入っていた。

城繁幸_4サンデープロジェクトの出演者で、初めて見た人事コンサルティング会社社長の城繁幸は、全身が新自由主義の狂気の男で、狂気と言うより新自由主義の凶器と言うべき人間性に驚かされた。目つきが違う。政府も自民党も新自由主義と構造改革から離れて立ち位置をずらしつつあるときに、この「凶器」の言動の出現は実に倒錯的で異様に感じる。富士通で成果主義の導入を担当した人事部の小僧だったそうで、脱サラして人事コンサルタントになり、アウトソーシングと成果主義を日本に広める会社を立ち上げた。時代の潮流に乗ったつもりだったのだろうが、新自由主義がコケて商売の環境も悪くなったのだろう。構造改革路線と好景気が続いてれば、堀江貴文や村上世彰や折口雅博のように「改革」の成功者となり、時代の寵児になって億万長者になることができただろうが、残念ながら、時代の遅れてきた泡として消えざるを得ない。ただ、フジテレビや田原総一朗やビートたけしには重宝されて使われるだろう。今回のサンデープロジェクトでは、内部留保の問題に切り込み、内部留保は現金ではないので雇用維持には回せないという経団連の主張を代弁していた。

城繁幸_5現在、派遣切りを正当化する資本の側が仕掛けてきている争点は幾つかある。(1)貯金と人生設計をしていなかった派遣労働者の自己責任論、(2)人員募集は多くあるのに求職者が集まらないミスマッチ論、(3)グローバル競争の時代だから「雇用調整弁」の派遣切りは仕方がない論の三点で、これらは日本テレビの番組でも討論された。それ以外の重要な争点に、内部留保をめぐる問題があり、すなわち、(4)内部留保は現金ではないので労働者の雇用維持には役立てられない、がある。トヨタを例にして、この問題が城繁幸と森永卓郎の間で論争になった。城繁幸は、「内部留保の中身は有利子負債と同じだ」などと訳の分からない説明をしていたが、エコノミストである森永卓郎は、この意味不明な「説明」を捉えて適切な反論をしなかった。資本剰余金と利益剰余金、すなわち「純資産」である内部留保が「流動負債」であるはずがないだろう。トヨタの場合、15兆円の内部留保のうち現金は2兆円しかないと言うが、問題はむしろ残りの13兆円がどのような「資産」になって使われているかなのである。利益剰余金を現金で寝かせておくバカはいない。

城繁幸_6それは当然の話だ。問題は内部留保が何に化けているかであり、それを厳密に見なければならない。実は、日経新聞に続いて朝日新聞が1/30の紙面で内部留保について大型の特集記事を書いていて、内部留保を雇用維持に回せという世論に対して反論する記事になっている。その結論は、日経新聞や城繁幸と同じで、「内部留保の中で現金はわずか一部だから雇用には回せない」というものである。朝日も日経以上に経団連新聞になった。左派の読者に左派の言説を否定し洗脳する新聞。これは、会計の基礎知識を持たず、内部留保という概念に親しくなく、それを専ら共産党だけが言ってきた政治的事実を知っている一般市民の盲点を衝いた、新自由主義反動の側のきわめて作為的で策略的な世論工作の一手である。肝心な点を言おう。雇用維持のために内部留保を使うにおいては、別にそれが(現時点で)現金である必要はないのだ。朝日新聞の記事には、いかにもそれが設備投資に回り、あるいは製品在庫になっているように書いているが、トヨタが在庫を持つはずがないのは誰でも知っている。また、トヨタの利益剰余金を設備投資に回していたら、新工場がそこら中に建ちすぎて設備過剰になってしまう。

城繁幸_7殆どの利益剰余金は債券投資に回っていて、資産運用されているのである。あるいは不動産投資(土地買収)に回っているのだ。だから、大事なことは、トヨタを始めとする企業の財務諸表を洗い直して、内部留保がどの資産に化けているのかを具体的に暴露することである。つまり、私が言いたいことは、内部留保の殆どの分は、現在は現金になっていなくても現金化できるということであり、トヨタの15兆円の内部留保を現金化すれば、すなわち債券資産を売却すれば、2兆円どころではない数倍のキャッシュに化けるだろうと言っているのである。その反論が専門家によってされなければならない。朝日新聞の1/30の記事は非常に面白くて、この内部留保は誰のものかと設問して、新自由主義者の公認会計士に「基本的には株主のもの」と答えさせている。これが朝日新聞の公式見解だと読者に言っているのだが、この見解と定義は、1/9に国会答弁した与謝野馨経済財政担当相の考え方と真っ向から対立する。与謝野大臣は、「何兆円の内部留保を持っているところが(派遣労働者の)職を簡単に奪うのはどうか」と述べ、「企業は従業員のものであり、下請けのものであり、消費者のものである。決して株主だけのものではない」と国権の最高機関で公式に断言した。

内部留保が誰のものかという設問こそ、企業は誰のものかという定義の中身になる。政府より、閣僚より、はるかに新自由主義的な朝日新聞、恐るべし。

城繁幸_Z

by thessalonike5 | 2009-02-01 23:30
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