本と映画と政治の批評
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<   2012年 08月 ( 12 )   > この月の画像一覧
尖閣有事のシミュレーション - 地上戦となる先島諸島
b0090336_1726316.jpg今週号の週刊文春の中に、「自衛隊vs中国人民解放軍 尖閣海戦で日本は中国に圧勝する」と題した古森義久の記事がある。この記事は、米国の雑誌「フォーリン・ポリシー」に寄せた米海軍大学のジェームズ・ホルムスの論文を紹介したものだ。ホルムスは元米海軍将校。中国軍が尖閣の占拠作戦に出て、自衛隊と海戦になった場合の分析と予測が示されている。それによると、艦隻の数では中国側が優位だが、機能は日本側の水準が高く、戦闘においては日本側が地上配備した88式地対艦誘導ミサイルが威力を発揮して中国側艦艇を撃破し、この海上の局地戦で自衛隊が勝利すると言っている。射程200キロの地対艦ミサイルが勝負の決め手になるから、先島諸島の全域に大量に配置しておけと言っている。ホルムスのシミュレーションには、孫崎亨が指摘しているような戦闘機による制空権という要素がない。戦闘機ではなくミサイルが鍵になっている。ただ、議論を詳しく見ると、ホルムスは中国側の地上配備の中距離ミサイルに注目し、特に新開発の対艦弾道ミサイルが脅威だとも指摘している。この兵器は、確か、前にNHKが「エアシーバトル」を説明した番組で登場した記憶があるが、上空の衛星から標的の情報を得て攻撃するもので、米軍の「エアシーバトル」計画の策定を条件づけている脅威である。


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by thessalonike5 | 2012-08-31 23:30
有事前夜の空気の中で - マスコミが出すことと隠すこと
b0090336_1810635.jpgテレビ報道は映すことと隠すことをする。昨夜(8/28)のNHKの7時のニュース、NW9、テレ朝の報ステでは、丹羽宇一郎の公用車襲撃事件がトップで報道され、北京市東四環路上での悪質な走行妨害と日の丸強奪事件がCGで説明されていた。NHKもテレ朝も同じCG画像を使用しているように見えた。尖閣の領土問題が両国間で抜き差しならない緊迫した状況を迎えている中、きわめて深刻な外交事件の発生だが、であるからこそ、マスコミは国民への報道で細心の注意を要するはずである。ナショナリズムを煽る方向に導いてはならず、視聴者に相手国への不信や憎悪を掻き立てる報道にしてはならない。この点に関して、特にNHKのNW9の伝え方に問題があった。事件の捜査や対応について、中国当局が故意に不熱心であるかのように言い、恰も、そこに日本への不穏な政治的思惑を忍ばせているような認識を示していた。NW9のこの報道を聞くと、普通の日本人は、事件を起こした犯人と当局が裏で繋がっているのではないかとか、中国政府が事件を内々に容認して逮捕を遅らせるのではないかと邪推する心理になる。中国政府の日本への悪意を推し量ってしまう。報ステの方はこうした怪訝な見方を取らず、北京支局の記者が中国外交部を取材して得た感触(言葉)をそのまま伝えていた。三浦俊章が、ファナティックな報道にならないように自制している。


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by thessalonike5 | 2012-08-29 23:30
領土を守るための日本外交 - 安定の基礎は日中関係
b0090336_17252172.jpg読者からメールがあり、次のような質問を頂戴した。「孫崎亨氏の『戦後史の正体』を読むと、北方領土については、戦後史の正体に書いてあった、ヤルタ協定、サンフランシスコ講和条約、日ソ共同宣言から、歯舞、色丹諸島の2島しか返ってこないだろうなと思います。(略)4島すべての返還は実現不可能だと思いますが、この点についてはどうお考えでしょうか」。私は孫崎亨の本は読んでいないが、4島返還は可能であると今でも思っているし、返還の場合は4島一括であるべきだと確信している。ソ連崩壊の間際、経済が縮小再生産を続けて破滅に転がっていた時期、ちょうど日本はバブルの真っ只中で金満大国だったが、ゴルバチョフは北方領土の返還を含んだ日ソ平和条約の締結を内々に決意して訪日の時機を探っていた。実際に訪日した1991年の時点では、ゴルバチョフは失脚していて、平和条約の中身を纏める実権を失った身となり、訪日は形式だけの儀礼的なものになった。それから20年、両国の力関係が変わり、当時は想像もできなかった現在の状況になっている。当時を振り返ると、今の現実が信じられない。力関係の変化には二つの要素があり、一つは経済的な国力であり、もう一つは国際外交上の立場である。結論から言えば、この二つの力関係の中身を20年前に戻せば、4島一括返還の客観状況を作ることは可能だ。


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by thessalonike5 | 2012-08-28 23:30
鳥越俊太郎ら左派はなぜ石原慎太郎を批判しないのか
b0090336_17433710.jpg先週末(8/24)、報ステのコメンテーターに鳥越俊太郎が登場し、夕刻に行われた野田佳彦の官邸会見のニュースに解説を加えていた。その主張は、8/15に出演した姜尚中と同じで、李明博を「ナショナリズムを扇動する指導者」として指弾し、厳しく断罪する内容に終始した。日本の現在の論壇で相対的に左側に位置すると思われる論者からの、熾烈な李明博批判と韓国批判がマスコミ上で続いている。彼らは、本来は政府や右翼が煽り立てる中国批判や韓国批判から距離を置き、少数派となっても大所高所から理性的な知見を提示し、自国の人々に内省と自制を呼びかけなくてはいけない使命の者たちだ。それが、マスコミでの仕事を維持したい動機のためなのか、李明博批判の全体主義に与している。姜尚中と鳥越俊太郎に言いたいが、それならば、石原慎太郎の発言は中国や韓国の人々にとってどうなのだ。石原慎太郎は、8/24の会見でも「河野洋平っていうバカが、日韓関係をダメにした」などと暴言を吐き、慰安婦問題で謝罪した河野談話を否定して韓国を挑発している。今回の尖閣をめぐる日中関係の悪化は、5月からの石原慎太郎の買収策動が発端だ。石原慎太郎という指導者が、どれほど日本の偏狭なナショナリズムを煽る愚を犯しているか、そのことで、どれだけ中国と韓国の国民感情を傷つけ、日本の国益を損なわせているか。


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by thessalonike5 | 2012-08-27 23:30
反原連と野田佳彦との8/22面会 - 仲介者は辻元清美
b0090336_16381286.jpg一昨夜(8/22)のテレビのニュースは、反原連と野田佳彦との官邸面会が中心だった。また、政府が新しいエネルギー政策を決めるために実施した「討論型世論調査」の結果や、大江健三郎らの「脱原発基本法」制定をめざす全国組織の設立など、原発関連の問題の報道で埋まった。尖閣や竹島の話題が、一時的にせよマスコミの表面から後退したことは幸いだ。野田政権は、選挙目当ての人気取りの思惑で、反原連との面会を大きな「慶事」としてマスコミに報道させる政治に動き、前日(8/21)からNHKを通じて予告宣伝、当日(8/22)はNHKの7時のニュースのトップに持ってきた。野田政権が従来の方針を変え、「原発ゼロ」の方向へ踏み込んだ姿勢を国民に印象づけ、目前に迫った選挙で原発政策が争点になったときに、民主党を有利に差別化すべく目論んだ政治と言える。この動きを主導しているのは菅直人で、9月の代表選に向けて、原発問題をテコにして党内で浮上しようとする狙いが見える。昨日(8/23)の朝日も、1面トップに「討論型世論調査」で「原発0%」の支持が最多だった結果の記事を出し、その横に反原連と野田佳彦との面会の記事と写真を配している。朝日の2面の記事には、政府が将来の原発比率として策定を目指した本命の「15%」が、パブコメを含めた世論によって撃退され、見直しを余儀なくされた事情が詳しく書かれている。


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by thessalonike5 | 2012-08-24 23:30
チキンゲームにしかならない古賀茂明の日中ゲーム論
b0090336_19234677.jpg領土問題で感情的になるなとか、ナショナリズムを煽るなと言いながら、その同じ口で、自分自身がナショナリズムの扇動に加担している者が無数にいる。矛盾した言動の無自覚な乱発がある。例えば、この8/17のきっこのTweetが典型的だ。政府が国民にナショナリズムを焚きつける危険を言っている発言は正論だ。しかし、その直後に、政府の今回の強制送還措置について、「日本国民の税金で宿泊と食事の面倒を見てやった上に帰りは自宅まで送り届けてやるってことじゃん」と非難している。この主張は、起訴して裁判にかけろという石原慎太郎や右翼やマスコミ論者と中身は同じだ。起訴していたらどうなっていたか。2年前の漁船衝突事件と同じ危機が再現したことは明らかだ。あのとき、中国は断固たる姿勢で報復をエスカレートさせ、最後はNYの国連外交の場で温家宝が船長釈放を要求、尖閣海域への艦船出動を決意するまでの事態に及んだ。戦争も辞さない構えになり、狼狽した菅直人がNYから仙谷由人に電話で指示、ようやく問題を前原誠司の手から解放させることができた。チキンゲームの失敗に懲りた前原誠司は、今回は最初から穏便な処置を選んでいる。主権の侵害は中国も同じなのだ。中国にとって尖閣は中国領なのである。今回、政府の早期収拾策を「弱腰」として叩く議論は、すべてナショナリズムの扇動行為である。


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by thessalonike5 | 2012-08-20 23:30
姜尚中の阿世と金子勝の盲目 - 知識人が不在の日本
b0090336_15213145.jpg8/15の報ステに出演した姜尚中が、竹島上陸から天皇への謝罪要求発言に至る李明博の一連の行動と言動を厳しく批判、「自国のナショナリズムを抑えないといけないのに逆に煽っている」として、指導者の資質を欠く愚行だと斬り捨てた。この姜尚中の主張が、この問題に関する日本の論調をほぼ代表していると言っていい。相対的に左側に属すると見られる姜尚中がこうした見方を示したことで、李明博の発言に対して多少とも内在的な態度で接して、反省的に日韓関係を考える契機にしようという論者はいなくなった。日本の中で、李明博の行動と言動は全否定され、包括的に無意味だと決めつけられ、全体が否定されることによって、個々の主張についても意味を拾わなくていいという結論と風潮になってしまっている。8/15の光復節の式典においては、李明博の対日批判は従軍慰安婦の問題だけに絞られ、この問題の解決に日本政府が前向きになるよう要求したが、慰安婦問題についてすら、日本では真面目に考えようと言う論者がいない。こうした日本の言論状況に対して、私は少数派として憂鬱な気分にならざるを得ない。なぜなら、李明博の発言は全て韓国国民の本音であり、国民的正論であり、発言の一つ一つについて世論調査をすれば、圧倒的多数が支持だからだ。日本と韓国の国論が二つに割れ、全く歩み寄れなくなるからだ。


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by thessalonike5 | 2012-08-17 23:30
中心が枯れて周縁に分散し始めた「金曜の官邸前デモ」
b0090336_15473963.jpg政治は生きものであり、刻一刻と状況が変わる。官邸前デモも同じで、様相は少しずつ変化し、前週と同じだったデモは一つもない。7/20のデモに出たあと、8月に入ると参加者は減るだろうと予想したが、案の定、8/3のデモの動員数は4000人(警察情報)で、2週間前の半分程度になってしまった。この前後から野田佳彦の面会が浮上し、政治の話題になって世間の関心を集めたが、8/10も動員数を挽回できず、いわゆる夏枯れ状態が続いている。主催者(反原連)の関係者からは、デモのルーティン化と隔週開催の弱音が吐かれるようにもなった。今週はお盆休みであり、8/17に動員数が急回復する条件はない。8/10のデモも警察の厳重警備で締め上げられ、官邸前の歩道空間への人の集結を阻まれて干上がらされ、メインスポットである交差点のスピーカーズ・コーナーは閑古鳥だったのだろう。官邸前に人を集めさせない警察の地道で巧妙な作戦が効を奏している。実際のところ、反原連のデモは、次第に「官邸前デモ」から「国会前デモ」へと姿を変えている。官邸前の空間は熱が冷める一方で、派生的なスポットだった国会前が盛り上がる状況になっている。そしてさらに、「金曜の反原発デモ」は、反原連主催の18時から20時のデモではなく、その後の環境省前や経産省前での抗議行動が熱を帯び、一般の注目を浴びて主役になりつつある。


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by thessalonike5 | 2012-08-14 23:30
デモと選挙 - シングルイシューの政治の錯覚と陥穽
b0090336_9414344.jpgウェーバーの『職業としての政治』の結語にさしかかるところで、シェークスピアの『詩篇』の一説が引用されている。「そも二人の愛の成りしは、恰も春のことなりしが、其のころ、われは、春を迎ふるには、常に物語の歌もてせり。かの妙音鳥(フィロメル)でふ鳥は、夏の初めには歌ひ奏づれども、漸く月日経て真夏となれば、其笛の音を止むるを例とす」(岩波文庫 P.104)。この詩の紹介のあと、次の文章が続く。ウェーバーのペシミズムと言われる有名な箇所だ。「いまわれわれの前にあるのは、花咲き乱れる夏の初めではなく、さしあたっては凍てついた暗く厳しい極北の夜である。(略)やがてこの夜が次第に明けそめていく時、いまわが世の春を謳歌しているかに見える人々のうち、誰が生きながらえているだろうか。また、諸君の一人一人はその時どうなっているだろうか」(同 P.104)。このウェーバーの警句と予言を自然と思い出していた。「夏の初めには歌ひ奏づれども、漸く月日経て真夏となれば、其笛の音を止むるを例とす」なのだそうだ。そして、雪も凍てつく極北の夜へ向かうのだ。ミュンヘンのある学生団体のために、ウェーバーが講演を行ったのは1919年1月のことだった。第1次大戦が終わった直後、したがってロシア革命の熱気と興奮に欧州とドイツが包まれていたときである。同じ1月、同じミュンヘンで武装蜂起が起きている。


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by thessalonike5 | 2012-08-08 23:30
8/3の官邸前デモで見た広瀬隆 - 面会の二つのシナリオ
b0090336_1845376.jpg8/3(金)も官邸前デモに出た。今回は少し出遅れ、17時に国会記者会館前に辿りついた。警備の警官が増えている。18時の本番前、国会記者会館の正門に広瀬隆の姿を見つけた。一人で来ている。そして、私が立ちんぼしているすぐ近くの、ある関電を批判するプラカードを持った参加者のところへ行き、プラカードを指差しながら何か熱心に話しかけていた。おそらく、市民で関電にカネを払って原発を止めようという、7/16の代々木公園で提案したアイディアに関係する話をしていたのだろうが、「再稼働反対」のコールの轟音で掻き消されて聞き取れない。そうしていると、知事選に敗北して東京に戻って来た飯田哲也のスピーチが始まった。飯田哲也の挨拶がスピーカーから流れるのを、広瀬隆がデモの人混みの列に加わって市民の一人として聞く。私は、何とも広瀬隆に申し訳ない気分になった。心中、複雑だっただろう。中には、広瀬隆がすぐ傍にいるのに、知ってか知らずか無視してか、無神経に飯田哲也の話に拍手を送っている者もいた。あるいは、飯田哲也が登壇する情報を聞いていたから、交差点角のスピーカーズコーナーではなく、市民に埋もれる国会記者会館前の場所を選んだのだろうか。知事選ですっかり板についたのか、政治家的な抑揚の挨拶が終わった後、飯田哲也は今井一を伴って市民の列に顔見せし、握手をして回って国会記者会館前の駐車場に入った。
 

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by thessalonike5 | 2012-08-06 23:30
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