本と映画と政治の批評
by thessalonike5
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<   2012年 07月 ( 12 )   > この月の画像一覧
7/29の国会大包囲デモ - 朝日の報道と政治との接続
b0090336_14373441.jpg朝日が1面トップと2面に昨日(7/30)の国会大包囲のデモの記事を書き、社説でも大きく取り上げている。まるで1か月前の東京新聞と同じ扱い方と論調だ。社説では、「1960年の安保闘争から半世紀。これほどの大群衆が、政治に『ノー』を突きつけたことはなかった」と言い、報ステの報道と同様の、デモに対してきわめて内在的で肯定的な視線になっている。野田佳彦にデモの主催者と面会せよと促し、鳩山由紀夫と菅直人と同じ要求も出している。今日の朝日の紙面を見ると、これまでの反原発デモの取り組みが奏功し、示威の成果を上げ、政治(=マスコミ)を動かした図と言えよう。しかし、何となくそういう強い実感がしない。それは、朝日自身の軽さによるものだ。朝日自身の言論が、政治家の言葉と同じく軽く、往年のような重みがないから、朝日の社説が反原発デモを賞賛したとしても、それで政治を動かしたという達成感に導かれない。5月だったか、大飯再稼働の正念場のとき、朝日は再稼働に反対の論陣を社説で張った。これは社としてある種の賭けで、政権に再稼働阻止の圧力をかけ、成功し得るという情勢判断があった上での提言だったはずだが、あえなく政権に一蹴される結果となった。現在の朝日は昔日の朝日とは違う。今日のデモの記事は、東京新聞や報ステやTBSやクロ現の後追いであり、官邸前デモの「非政治色」の安易な礼讃であり、記者が自分の頭で考えて執筆していない。


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by thessalonike5 | 2012-07-30 23:30
官邸前デモに権力の契機を見ない小熊英二と社会学系
b0090336_14184162.jpg昨夜(7/26)、NHKのクロ-ズアップ現代で官邸前デモの特集が放送されていた。「普通の市民の自発的デモ」を持ち上げる内容で、これまでの民放の報道と同じ内容である。この報道が、もし1か月前に放送されていれば、デモに市民権を与え、人々の参加を積極的に促す効果のあるものになっただろうが、この時点の放送では全く意味の違うものになる。政治というのは生きもので、状況と情勢は絶えず動いている。60年安保を振り返っても、5月から6月の2か月間の激動でドラマが凝縮されている。クローズアップ現代の放送は、官邸前デモを勢いづける方向に導くと言うよりも、むしろ手じまい感の漂う、これで終わりという感じを受けるものだ。状況が変わることで、全く同じ報道の映像でも、放送の政治的意味やメッセージは変わってくる。まず、一点指摘しなければならないのは、番組(NHK)は、官邸前デモの参加者が毎週増え続けていると言っていたが、実際にはそうではないことだ。警察リークの情報では、6/15が2千600人、6/22が1万1千人、6/29が1万7千人、7/6が2万1千人、7/13が1万人、7/20が7千人という推移になっている。つまり、ピークは3週間前の7/6であり、その後は連続して減っているのだ。参加者数が増え続けているというNHKの報道は嘘であり、これはわれわれの錯覚にすぎない。


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by thessalonike5 | 2012-07-27 23:30
60年安保の自然発生性 - 官邸前デモの多様性の欠如
b0090336_15192643.jpg小熊英二の『民主と愛国』の中で、60年安保のデモについて次のように書かれている件がある。「5月19日以降、運動は一気に高揚を迎えた。国会周辺は連日のデモで埋まり、5月20日から一月間の動員数は、それ以前の1年余の動員数を上回った。6月4日には戦後最大の交通ストが行われ、各地の集会・デモの参加者は国民会議の発表では560万人に達した。(略)実際に当時の国会周辺は、各地から集まった各種のグループが掲げるさまざまなプラカードや旗で埋まり、『他声部の複雑なフーガ』の様相を呈していた。そこには学生や労組員のデモだけでなく、劇団員や作家の隊列、大学教授の請願団、ノレンを掲げた商店主のデモ隊、さらには『ムシロ旗をもった農民、ウチワ太鼓を鳴らす仏教徒、子づれの女たち』などが集まっていた。社会学者の日高六郎は、安保闘争の特徴として『参加者の多様さ』を挙げた。(略)6月3日、デモのあとの街頭を取材したラジオ局員は、『都会のよそよそしい<個人>がいない。20、30人の市民たちが、まったく自然に、目撃した事件について話し合い、討論し合っている』と報じている。(略)6月3日、日本橋でデパート労組が主催した安保研究会には、主催者の予想をこえて、若い女性社員たちが多く集まった。そして彼女たちの会話は、安保問題から『疎開児童としてなめた苦しみ、未亡人になった母の苦しみ』など、『自然に戦争体験につながって』いったという」(P315-318)。


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by thessalonike5 | 2012-07-25 23:30
7/20の官邸前デモ - 政治からの接触と骨抜きの危機
b0090336_15501556.jpg7/20も官邸前デモに出た。この日は午後4時から大雨となり、デモが始まった後も容赦なく土砂降りが続き、最悪の状態の中での立ちんぼとなった。身一つなら傘でも雨合羽でも何とか凌げる。しかし、現場に持って行ったバッグはそうはいかない。鞄を預けるロッカーなどないのだ。足下の地面に置くしかなく、縫製の内部まで雨水が浸みこんでぐっしょりの被害だった。風呂場のシャワーを4時間かけ続けたのと同じで、財布の中の紙幣まで水を吸ってボロボロに。7/16の炎暑地獄のブルーシートの拷問といい、デモに出るということはひたすら忍耐するということであり、私生活に無理を強いて消耗と負担を引き受けるということだ。デモが終わる頃、雨が上がり、上空に北からの冷たい空気が入って一帯を包み込んだ。肌寒い秋の夜の静寂となり、濡れそぼった身体が芯まで冷え、体調を崩さないかと心配しながら帰路についた。先週と較べて、参加者の出足はかなり鈍く、解散後に散る足は素早かった。人数が減ったなと推測していたら、案の定、警察リークのカウントは前々回(7/6)の2万1千人の3分の1の7千人に落ちていた。雨が災いした点が大きい。しかし、それだけでもないと思われる。6月から官邸前デモは高齢者の参加が目立って多くなっていて、膨らんでいく人数の主要な顧客層となっていた。高齢者にとって2時間の立ちんぼとコールは楽ではないのだ。健康を考えれば、デモの皆勤は難しいのである。


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by thessalonike5 | 2012-07-23 23:30
「中立な市民デモ」の陥穽 - マスコミと橋下徹への回収
b0090336_1126040.jpg辺見庸が、『いま、抗暴のときに』の中で、デモについて次のように書いている。「それにしても、昨今のデモのあんなにも穏やかで秩序に従順な姿、あれは果たして何に由来するのであろうか。あたかも、犬が仰向いて腹を見せ、私どもは絶対にお上に抵抗いたしませんと表明しているようなものである。埴谷雄高は『デモについて』の中で、デモが『自己消費的な惰力』となって本来の目的性を失うことを戒めている。彼はデモの暴走について述べているのだが、このところのデモでは(中略)暴力よりはるか以前の自己消費と自己満足、小さな愉悦のようなものが鼻につく。まったく魅力がないのだ。なぜあそこまで『健全で穏和な市民』を装い、非暴力と無抵抗を誇る必要があるのか」(P.20-21)。「あんなものをデモンストレーションというのなら、私も昨年来、何度か有事法制反対の『デモ』なるものに参加し、かつてとの様変わりに驚き、砂噛む思いどころか鳥肌が立つようなことも経験した。いったいどんな意味があるのか。動物の縫いぐるみをまとった者や看護婦に仮装した男が先頭で踊ったり、造花を道行く人に配ったり、喇叭や太鼓を打ち鳴らしたりという『デモ』もあった。あれが今風なのだといわれても私にはわけがわからない。示威行進のはずなのに、怒りの表現も抗議のそれもさほどではなく、なぜだか奇妙な陽気さを衒う、半端な祭りか仮装行列のようなおもむきのものが少なくなかった」(P.18)。


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by thessalonike5 | 2012-07-20 23:30
7/16の「さようなら原発10万人集会」 - 灼熱地獄の中で
b0090336_1471182.jpg来る日も来る日もデモが続く。It's been a hard Demo Days night. 7/16の「さようなら原発10万人集会」は、炎暑の中で行われ、座らされたブルーシートの上は灼熱地獄だった。今、思い出しても、あの場所での3時間は拷問の苦痛であり、同じことをもう一度やるかと言われれば、正直に首を横に振ってしまう。高齢者はどれほど身体の負担が大きかったことだろう。小さな子ども連れの参加者も多くいたが、12:30-14:30の間は木陰で休んでいたのだろうか。心配になる。率直に言って、私にとってこの経験はシーア派が自らの肉体を鎖で鞭打つアシュラーの苦行であり、ここまでの犠牲を捧げたからには、それと引き換えに原発停止の果実を得なければ割が合わないと弱音を吐く。粘り強く末長く何度でもという気分にはなれない。午前11時15分、原宿駅から会場へ続く道路は人で埋まり、渋滞して一歩も前へ進めなくなっていた。午前11時40分、第1ステージのブルーシートの前方に場所を見つけて着座したが、それにはずいぶん勇気が要った。フライパンのように焼けたビニール、さらに暑気を強くしてジリジリと皮膚を焦がす太陽光線、だんだん周囲が埋まって人と人の密着で増していく熱気。開会まで1時間以上待たなくてはいけない。後ろで、高齢者の一団が四方山話をしていて、それに耳を傾けることで何とか時間を耐え凌ぐことができた。


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by thessalonike5 | 2012-07-18 23:30
7/13の官邸前デモ - 事件とドラマと感動があった鬼門
b0090336_18205024.jpg7/13のデモ、主催者が鬼門と呼んでいる国会記者会館前に私が陣取ったのは、理由があって、いつも19:30頃に終了したときに警察と群衆が揉み合いになる現場を、今度は自分の目でしっかり確かめたいと切望したからだった。官邸前交差点の横断歩道正面の一等席。ここなら、過去(6/29、7/6)二度起きた事件が再現されたとき、真っ先に飛びこんで肉迫し、現場で何が起きているか、警察と市民と主催者の三者の一挙一動を精緻に観察することができる。そして誰よりも正確に報告することができると、そう思ったのだ。今回、警察は鉄柵を歩道と車道の間に張り巡らせ、そこに警官をびっしりと並べ、鉄柵と警官の壁を作り、蟻の這い出る隙もないほどの堅固さで道路空間をブロックし、何が何でもデモ市民を車道に出さないぞという厳重な警備体制を敷いていた。過去になかったことだ。それだけではない。歩道の塀の向こう側、すなわち国会記者会館の前庭には、これまで見たこともない数の公安刑事の軍団が待機して立ち並び、片手に小型カメラを持ち、青いPoliceの腕章を巻き、こちらを撮りながら鋭い目で歩道上を睨んでいた。総勢で30人弱いただろうか。彼らは任務を遂行しているのだが、その尋常でない視線の鋭さは、それを放たれる者にとっては明らかに威嚇である。


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by thessalonike5 | 2012-07-15 23:30
ノンセクトのセクショナリズム、脱イデオロギーのイデオロギー
b0090336_11413363.jpg一昨日(7/10)、デモの主催者の一人から電話があり、Twitterで主催者を名乗って発言している者は、20名いる運営委員会にも顔を出していない者で、主催者の多くはそのTweetの内容に問題を感じており、悪影響を懸念していると言っていた。事実はそういうことなのだろう。首都圏反原発連合というのは、いろいろなグループの寄せ集めで、たんぽぽ舎や脱原発杉並なども入っている。官邸前の現場でスタッフの運営を見ていても、およそ、あのような排除の論理の毒を吐きまくって人を挑発する天狗小僧が混じっているようには見えず、現場の表情とTwitterの言動との間のイメージのギャップに驚かされた。しかしながら、これまでのところでは、同じ主催者の中から、ネット上でその事実(内情)を伝えて一般に説明する者が現れなかった。デモの意義や方針をめぐる主催者からの情報発信は、ほぼ当該の者のTweetに限定されていて、彼らが首都圏反原発連合を代表する形となってきた。推察するなら、おそらく、これは政治だったのだ。簡単に言えば、Twitterを使ってこの運動を乗っ取ろうと策したのであり、自分たちの思想性を主催者のものとして布教し、先に外部に支持者を増やして既成事実化し、反左翼を主眼とするシングルイシュー原理主義を、今後、全国で起こる反原発デモの中核思想として一元化しようと目論んだのだろう。


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by thessalonike5 | 2012-07-12 23:30
7/6の官邸前デモ - 警察の政治、主催者の原理主義
b0090336_13152963.jpg長谷川幸洋が、7/6のデモについて「警察の勝ち」だと言っている。他人事の目線ではあるが、客観的に政治戦として見たとき、この評価と判定は当たっているだろう。警察は、まず道路反対側の歩道を立入禁止にし、次に内閣府下から官邸前に続く坂道の歩道を通行禁止にし、さらには地下鉄国会議事堂駅の出口を閉鎖し、デモが行われている官邸前周辺の路上に人が進入できないように完全封鎖、現場は前回(6/29)とは全く違う風景になっていた。後ろへ追いやられた人の列は、はるか外務省まで長く伸び、一部は憲政記念館にまで達していたという情報もある。私自身は早い時間に到着して、交差点角に至近の位置にずっといたため、後方の様子を窺い知ることはできなかったが、前回よりも警察の規制が厳重になり、歩道の列をコーンとバーで仕切って分断しまくっていたらしい。さらに上空に飛ばすヘリにも許可を出さず、今回はIWJによる空撮映像が提供されなかった。また、デモ終了時に、官邸前交差点の手前40メートルの地点で、路上に広がって前進を試みた人々を警察がブロックし、解散も速やかで、前回のように警察車両を縦列させたバリケード線まで群衆が詰め寄る図もなかった。したがって、6/29のデモを翌日紙面で空前の出来事として興奮して伝えたような報道も7/3にはなく、そうした記事の証明として添付するに相応しい、圧倒的群衆の集結を図示する俯瞰写真も得られなかった。


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by thessalonike5 | 2012-07-10 23:30
デモを報道しないNHK - NHKの「倫理・行動憲章」違反
b0090336_16521733.jpg7/6の官邸前デモについて、政治戦のポイントはNHKが取材して報道するかどうかにある。先々週(6/22)、テレ朝の報ステが小特集の枠を組んで大きく紹介した。この報道は非常に内容がよかった。先週(6/29)、TBSのNEWS23が大きく取り上げ、サンデーモーニングでも意義を評価する姿勢を示した。ここに至って、官邸前デモは社会現象となり、国民的関心事として存在を確立している。会社のお昼休みに、同僚で昼飯を食いながら話題にできる素材となり、デモを騒音扱いして無視する野田佳彦が悪役で、懸命に声を上げる官邸前の市民が正義という一般的構図が、マスコミ報道を通じて通念となる事態となった。昨日(7/4)の朝日の社説は、「反原発デモ - 音ではなく、声をきけ」の題が掲げられ、官邸前のデモだけでなく、6/30-7/1の大飯現地のデモを高く評価する論調となっていて、朝日の社論が再稼働に反対する市民と全く同じ地平に立っている視点を示している。社として市民デモを支持する論陣を張った。こうなると、マスコミの対応として次の焦点になるのが、国民の受信料で経営しているNHKである。順番としては、今週はNHKが取り上げてよいタイミングだ。関連する一つの好材料として、報ステの最近の視聴率が上昇しているという事実がある。再稼働反対の姿勢が明確な番組を国民が支持していて、古舘伊知郎を自らの代弁者として選んでいる。


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by thessalonike5 | 2012-07-05 23:30
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