本と映画と政治の批評
by thessalonike5
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<   2012年 04月 ( 12 )   > この月の画像一覧
無罪判決の詭弁 - 司法官僚の敗北と小沢一郎の勝利
b0090336_1440830.jpg小沢一郎への地裁の無罪判決について、強制起訴を有効とした点には全く納得できない。きわめて異常な判断であり、裁判官の知性良識と職業倫理を疑う。今日(4/27)の朝日の36面に「判決理由要旨」が載っていて、引用すると次のように説明している。「検察官が、公判で証人となる可能性の高い重要な人物に対し、任意性の疑いのある方法で取り調べた供述調書、事実に反する内容の捜査報告書を作成し、これらを検察審査会に送付することはあってはならない。しかし、証拠の内容に瑕疵があることと、手続きに瑕疵があることとは別の問題である。検察官が、任意性に疑いのある供述調書や事実に反する内容の捜査報告書を作成して検察審査会に送付したとしても、審査会における審査手続きに違法があるとは言えず、事実に反する内容の捜査報告書が意図的に作成された場合であっても、同様である。仮に、事実に反する内容の捜査報告書のために、検察審査員が供述調書の信用性判断を誤って起訴議決に至ったとしても、そのことから起訴議決を無効とするのは法的根拠に欠ける」。以上だが、誰が読んでも悪質な詭弁と牽強による正当化としか思えないだろう。これは、カビ毒米が混入している米でも、通常に精米された米なら食用に販売して不都合はないと言っているのと同じだ。精米方法や流通過程の形式に問題がなければ、商品として有害でなく適正だと言っている。


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by thessalonike5 | 2012-04-27 23:30
フランス大統領選から見えてくる日本の政治
b0090336_1793749.jpg4/23に亀岡の暴走死傷事故があり、ニュースのタイミングが重なったフランス大統領選は国内で大きく報道されなかった。注目したいのは投票率が80%を超えている事実だ。日本と較べて投票率がとても高い。その理由はいろいろと説明できるだろうが、私の見方では、候補者の思想と政策に幅があり、国民の中の多様な要求や立場が反映され、選挙戦で政治論争が盛り上がった結果ではないかと思われる。ここで敢えて政策論争と言わず政治論争と表現したのは、イデオロギーの要素が入っているという点を強調する意図からである。日本では、20年前の「政治改革」以降、イデオロギーの語はタブーの悪性言語となり、人口に膾炙されるときは専らネガティブなニュアンスを含んで使用されるところとなった。本来、イデオロギーのない政治などあり得ないし、政治学とはイデオロギーの研究と分析そのものなのだが、イデオロギーの存在、あるいはイデオロギー対立そのものが忌み疎まれ、感性的に拒絶され、言語もろとも日常の政治と報道の世界から排除されている。言葉に抵抗があるだろうから、敢えて「思想に幅があり」と表現してみた。「政治改革」以来、政治の世界で権勢を拡大したのは「政策」の語である。現在、政策という言葉はイデオロギーも含んだ意味になっているが、「政治改革」以前はそうではなく、もっとテクニカルでプラクティカルな限定的な意味だった。


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by thessalonike5 | 2012-04-25 23:30
石原慎太郎の政治敗北 - 尖閣をめぐる右翼側の意図
b0090336_16393886.jpg先週、大きなニュースとなった石原慎太郎の尖閣購入発言は、議論の渦を起こして悪影響を撒き散らしながらも、マスコミ報道で制止され、国民的な世論沸騰の状況を現出させることができなかった。今回は、外務官僚がかなり真面目に動き、2010年の漁船衝突事件時の過誤を繰り返さないよう、素早く政権に歯止めをかけた点を看取できる。日中国交正常化40周年の節目で、悪化した日中関係を改善すべく用意していた外交日程があり、それをぶち壊されたくない官僚側が、ぶち壊しを仕掛けた石原慎太郎と右翼に待ったをかけた政治だ。尖閣問題については、右の東郷和彦と左の孫崎享の主張が一致している。国益を守る責任外交という視点から、結論と政策が同じ方向に行き着く。反中右翼ファナティシズムの排除である。最初に反論の一撃を入れたのは、官僚と最も密着している朝日で、テレビ報道で騒然となった翌朝(4/18)に社説を上げ、妥協せず石原慎太郎を批判して流れを作った。ここから先、週後半はテレビと新聞で対応が割れ、その典型例が報ステの古舘伊知郎(賛成)と三浦俊章(反対)のコントラストだったが、週末(4/22)のTBSサンデーモーニングで決着がついた。ネット言論の狂躁も収まっている。政府の方も、4/17には藤村修が「買い取りを検討」と石原発言に迎合していたが、週後半には外務官僚のペースとなり、政権側の欲望を抑えてシューティングした。


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by thessalonike5 | 2012-04-23 23:30
石原発言の政治 - 東郷和彦の尖閣論と知識人の無言
b0090336_16351731.jpg保坂正康と東郷和彦の共著で『日本の領土問題』という新書が出ている。あるとき丸善のオアゾ店で買い、特に書評に値する価値もないので一読したまま放っておいた。第3章に掲げられた章題が「武力衝突の危険をはらむ尖閣諸島問題」というもので、東郷和彦は、昨年、船長を即時釈放しなかった菅内閣の対応を厳しく批判、日中共同での尖閣諸島でのエネルギー資源開発を提案している。「私は、民主党政権が、たとえ無様な姿であっても船長の釈放という形で事態を旧に戻さなかったら、何度目かのステップには、かならず軍艦が出てくるだろうと思った。軍艦は、当初は威嚇のために出てくる。しかし、その威嚇が効果を持つためには、万一の場合は撃つということでなくてはならない」(P.140)とある。2年前の漁船衝突事件のとき、私も同じ展開を予想したし、菅直人も同じ判断をして、事態がエスカレートしたギリギリの段階でようやく船長を釈放した。東郷和彦は、これは民主党政権が日中外交に未熟だったために起きたものだと言い、自民党政権なら即釈放しただろうと言っているが、そんな指摘は誰も信用しないだろう。タカ派の自民党政権なら、逆に東郷和彦が予想したとおりの破局に至っていたはずだ。右翼系の産経文化人ではあるが、東郷和彦は尖閣問題での日中衝突を回避すべきという立場であり、外務官僚のメインストリームの立ち位置にある。


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by thessalonike5 | 2012-04-20 23:30
福井県の専門家委の正体をめぐるNHKと朝日の報道差
b0090336_16551527.jpg関西電力の今夏の電力需給の問題について、ネットの議論は、ピーク時の不足時間の周辺に関心が集中している。関電の原発を停止したとき、昨夏と較べて5日間19時間、猛暑の一昨年夏と較べて13日71時間、この間だけが供給不足になるのであり、ピーク・マネジメントで対策が可能だという言説だ。飯田哲也らが議論を主導している。当分、この問題で論議が続くことだろう。だが、肝心な点が忘れられている。それは、関電の-19.3%という数字が議論の前提として一人歩きしていることだ。関電だけ単独で捉えれば、一昨年比-19.3%になるが、60Hz帯の中西日本全体ではこの数字にはならない。政府(国家戦略室)が昨年7月に発表した数字では、中西日本の電力不足は-8.3%となっている。この数字が議論の基本になるべきものだ。関電単独の-19.3%を前提にして、不足時間を割り出したり、ピーク・マネジメント対策を論じるのは、そもそも出発点が間違っているのではないか。電力会社からの融通分をゼロと仮定した試算であり、現実的には何の有意味性もない架空の議論だ。昨年11月の政府資料には電力会社別のブレイクダウンが示されている。関西電力は-19.3%だが、中国電力は+2.7%、中部電力も+1.5%となっていて、この2社が全体をカバーすることで中西日本の不足が-8.3%となる。再稼働を論議するときは、中西日本の数字を使う必要がある。


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by thessalonike5 | 2012-04-17 23:30
再稼働をめぐる西川一誠の老獪と橋下徹のマヌーバー
b0090336_1745336.jpg枝野幸男が「5月6日から原発が一瞬ゼロになる」と発言した件、マスコミ報道は、泊原発が停止する前に大飯原発を運転再開するのは難しいという認識を示したものだと説明している。しかし、日替わりでコロコロと発言を変える枝野幸男の習性を考えれば、この「認識」がどこまで維持されるものかは疑問だ。再稼働をめぐる枝野幸男の発言群というのは、全く言葉どおりに信用できない放縦な排泄で、国民を愚弄するだけの不愉快な口から出任せの連発でしかない。一連の詭弁騒動は、枝野幸男の政治家としての信頼を甚だしく失墜させた。後遺症は大きく残るはずで、後で振り返ったとき、致命傷に等しいダメージを受けたのではないか。思い出すのは、菅降ろしの騒動の際の原口一博の噴飯な立ち回りで、不信任案への賛否の舌を一日で転がした喜劇の一幕だ。三宅久之にも嘲笑されたが、あの失態で現在の原口一博の人物評が定まっている。原口一博の悪質な詭弁屋としての資質は、もともと国民の中で明確に意識され、不信感が溜まっていたものだが、テレビが原口一博をタレントとして珍重するものだから、その実像が隠され、共通認識として定着することがなかった。が、あの瞬間に正体が暴露された。その顛末を考えると、枝野幸男の今回の醜態は国民の印象に強く残り、自身の政治生命に決定的な悪影響を及ぼす材料になるだろう。


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by thessalonike5 | 2012-04-16 23:30
「ミサイル」劇場で狂躁する日本と北朝鮮のグラスノスチ
b0090336_17183996.jpg北朝鮮の「ミサイル」発射実験について、今回はあまりにも政府とマスコミの騒動が常軌を逸していて、狂躁の度が極端に過ぎている。2009年2月にも同じ打ち上げと失敗があったが、国内は今回と較べて静穏で、ブログの記事にもしていない。各自が3年前を思い出すべきだ。4/12の朝日の紙面記事を読むと、韓国のマスコミは、北朝鮮の「ミサイル」発射よりも、それに異常に昂奮して恐怖症の状況を呈している日本の方に注目し、沖縄への陸自部隊展開の意味を含めて詳しい報道をしているとある。軍事的に考えても、この「ミサイル」は、米国まで飛ばす大陸間弾道弾の開発途上のもので、日本の安全保障に直接の脅威となる「兵器」ではない。今回の発射目的は、あくまで米国に対する示威であり、対米交渉のカードの政治であり、このロケット・ショーが対米外交戦略の一環である事実をわれわれは知っている。であるなら、成り行きを傍観する立場でよいのだ。実際に、3年前の2009年の時点はそうだった。PAC3の沖縄配備とか、陸自部隊の石垣島と宮古島への進駐など明らかに行き過ぎで、予算の無駄遣いとしか言いようがない。政府発表とマスコミ報道では、軌道が逸れる不測の事態に備えてとか、破片が落下する場合への対処とか説明しているが、それならば、韓国の人工衛星打ち上げはどうなのだ。


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by thessalonike5 | 2012-04-13 23:30
再稼働阻止の国民意思を政治回収した橋下徹の手管
b0090336_1525794.jpg再稼働問題の政治が意外な方向に展開を始めた。今週中に四閣僚会議で政府決定を出し、枝野幸男を福井に飛ばし、北朝鮮問題で国内が沸騰しているどさくさに、そのまま関電にゴーサインを出す段取りかと思っていたら、橋下徹が異議を唱えて抵抗勢力として割り込んできた。奇妙な光景だ。昨夜(4/10)のテレビ報道はこのニュースが主役で、今朝(4/11)の朝日も1面と2面を割いて大きく報じている。ネットの中も議論が盛り上がり、北朝鮮問題を押し退けるほど関心が高い。明らかに、橋下徹が「脱原発」を代表するヒーローとして屹立し、再稼働に反対する国民の要求を回収して政府と対峙した恰好だ。脱原発の市民運動側が後込みしている間に、脱原発の政治シンボルを橋下徹に盗奪される最悪の構図となった。世論調査が出るかどうか分からないが、橋下徹の「再稼働反対」の動きが国民から高い支持を受けるのは間違いない。昨夜の報ステの報道は、橋下徹を全面的に応援する論調になっていた。永田町の空間から野党の存在が消えて久しいが、今、橋下徹が「疑似野党」となり、大阪に一つの政局を作っている。今年に入って、テレビが夜のニュースで橋下徹を映さない日はなくなり、市松模様のバックボードの前で大口を叩く会見を流さない日はなくなった。消費税、再稼働、あらゆる問題で政見主張を全国放送させていて、まさに政策論議の発信点になっている


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by thessalonike5 | 2012-04-11 23:30
大飯再稼働の政治 - テレビ報道の自粛とネットの無風
b0090336_1548969.jpg再稼働についての緊急世論調査が、早ければ日曜(4/8)にも出るかと予想したが、1社からも発表がなかった。3/30(金)に野田佳彦が消費税増税の閣議決定と法案提出を官邸会見したときは、4/1(日)に毎日が世論調査をネットで速報した。国民の関心がきわめて高い問題であり、またマスコミ各社も批判的な論調が一般的な再稼働については、待ってましたと世論調査が続出し、政府を叩く報道で埋まるかと思いきや、期待が外れて狼狽している。それどころか、日曜のテレビの報道番組は、例外なく再稼働問題を外す編成にシフトしていて、素早い報道管制の手に舌を巻く始末だった。通常、平日にあれだけ大騒動が続けば、週末のテレビ報道はその特集を大きく組み、スタジオのコメンテーターに議論させるはずだ。そして、週初の世論調査の発表へと繋げるのが慣例だ。ところが、テレビが完黙して無視を決め込んだ。NHKの日曜討論は、北朝鮮の「ミサイル」発射問題。テレ朝の報ステSundayは、国民新党の問題と福島競馬場の特集。日テレのバンキシャも、北朝鮮の「ミサイル」と南海トラフ。申し合わせたように再稼働問題の報道を自粛している。TBSのサンデーモーニングも、番組前半に組むメインのトピックスから外し、後半の「先週起きた出来事」の中でサラリと触れるという淡泊ぶりで、いつもの関口宏の姿勢からは考えられないような些末な扱いだった。
 

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by thessalonike5 | 2012-04-09 23:30
「決められない日本」の言説の欺瞞 - 先送りの中身
b0090336_18111043.jpg今週初め、4/2と4/3の2日間、大越健介がワシントンから中継放送する企画があった。その論調は「決められない日本に苛立つ米国」というもので、TPP参加や辺野古移設を決断できない日本に対して、同盟国である米国が苛立ち、日米関係が軋んでぎくしゃくしているという警告を発し、日本国民に反省を促すというメッセージだった。あまりに露骨で徹底した植民地奴隷根性ぶりに、テレビを見ながら気分が悪くなったし、こうして思い出すと不快で精神が萎え、番組の内容を復元して整理する作業すらできない。批判記事を書くことができないまま、2日も3日も経ってしまった。他の視聴者の感想はどうだっただろうかと、Twitterで「大越 ワシントン」を検索すると、反発と非難のTLが轟々と流れていて、これを確認してようやく安堵させられた。媚米という言葉は、大越健介のこの態度を表現するためにあるのだろう。この放送の直後、岩上安身が、5月の野田訪米時にTPP参加が電撃発表されると観測を上げた。情報の真偽は定かではないが、事実だとすると大越健介の報道と平仄が合う。明らかに、この2日間のワシントン中継は、事前に計画的に組まれたもので、政府の指図でシナリオが書かれている。日程から作為が読み取れる。つまり、3月は消費税増税があり、3/30に閣議決定して法案提出し、官邸会見をした。次はTPP論議の番なのだ。


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by thessalonike5 | 2012-04-05 23:30
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