本と映画と政治の批評
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<   2011年 12月 ( 16 )   > この月の画像一覧
OWSの正論と反貧困の誤謬 - OWSは何をしようとしたのか
b0090336_1456367.jpg反貧困と反格差とは違うということは、繰り返し何度でも言わなければならない。同じではない。もしOWSの抗議者たちに日本の消費税問題について問い尋ねたら、彼らは何と答えるだろうか。現役世代と将来世代の負担を軽減するため、増税に賛成だと言うだろうか。それは絶対にあり得ないだろう。Tax The Richの標語をプラカードに掲げている彼らは、社会保障の財源は富裕層と大企業への課税でファイナンスせよと言うはずだ。GreedなBankに課税して、HealthcareとEducationに回せというのが彼らの要求であり、Greedに蓄積した資本はJobの創出と労働者への分配に使えというのが彼らの主張だ。逆進性の高い消費税で社会保障を賄おうとする政策に対して、OWSが賛成するはずがないと私は確信する。当然だろう。消費税増税をすれば、低所得者はさらに貧しくなるのである。ところが、日本の反貧困系の若い運動家たちは、なぜだか理由は全くわからないが、宮本太郞を御輿に担ぎ、宮本太郞の理論と政策に帰依し、「社会保障のための消費税増税」を推進する一派となって潮流を作っている。具体的には湯浅誠がそうであり、POSSEの川村遼平がそうである。他にも無数にいる。そして、若い連中に引き摺られて、この国の左派全体がこの方向に収斂しつつある。まさに霞ヶ関の思うツボ。左派の反貧困系が消費税増税を求めている。


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by thessalonike5 | 2011-12-27 23:30
OWS運動に励まされた2011年 - 米国人のクレドと革命
b0090336_155196.jpg昨日(12/25)、TBSのサンデーモーニングの年末特集の中でOWSが取り上げられていた。短い時間だったが、デモの参加者へのインタビューが紹介され、彼らの発言が映像で流れた。「銀行がこの国をダメにし、我々の仕事を奪っている」、「懸命に働けば何かを達成できる国だったが、今はそうでなくなっている」「上位1%の人たちがその財産を使って政府をコントロールしている」「彼らの富が増えれば増えるほど他の人たちに回るお金が減ってしまう」「市民の声よりロビー団体の声の方が強くなってしまった」「ロビー団体のカネが政治のあらゆる層にバラ撒かれている」「カネがあれば自分でルールを作れるのが資本主義」。OWSが日本のマスコミで報道される機会は幾度もあったが、このように抗議する人々の声を現場で直接拾い、背景も含めてそれを特集報道したのは初めてではないか。こうして、米国人が上のような言葉を発するのにテレビ画面で接すると、ネットで写真や動画を見るのとは全く違う生々しい衝撃が伝わってくる。意味の大きさをひしひしと感じる。今年、世界で起きた出来事の中でも、米国の反格差デモは最も重大な事件に違いないが、NHKがそれを取材して報道していない。米国と世界を揺るがしたこの運動に焦点を当てず、彼らの要求や動機を伝えていない。TBSがようやく試み、それを視聴者に届けた。


This revolution was not televized in Japan.
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by thessalonike5 | 2011-12-26 23:30
北朝鮮の今後の動向 - 鍵を握るのは軍ではなく周辺国
b0090336_15271238.jpgずっと北朝鮮問題の報道が続いている。マスコミは、脱北者や元北朝鮮の幹部とかに動向と予測を語らせていて、今は朴斗鎮が北朝鮮関連の言論をリードしている。一つの見方として悪くはないが、どうも底が浅い感じがして、もう少しトータルで学問的な見解や分析を聞きたい不足感を否めない。和田春樹の解説を聞きたいが、新聞紙上にも姿を見かけない。右翼と「家族会」に睨まれている和田春樹は、この国のマスコミでは御法度の存在になっている。この問題では言論の自由はない。昨夜(12/23)、NHKの特集番組に小此木政夫が出演していたが、特に興味の惹く視点の提供はなく、退屈な議論に終始して眠気を誘われた。単なる視聴率稼ぎだ。マーケティング・オリエンテッドの制作。最近のNHKは、昔と逆で、空疎な報道特集で視聴率を稼ぐのが巧みな商売上手な局になった。番組の冒頭、国内経済の破綻と国民生活の窮状を示す映像が流され、親を失って農村を放浪する23歳の孤児の女性の姿が出た。彼女の姿は8月にテレ朝の報ステで紹介されていて、その後が気がかりだったが、撮影(5月)から5か月後(10月)に畑の中で遺体となっていたと高橋美鈴がナレーションで伝えた。アジアプレスのサイトに詳細が載っている。報ステで放送されたときも衝撃を受けたが、同じ映像が韓国や英国やドイツで流れ、人々の胸を痛めていた。


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by thessalonike5 | 2011-12-24 23:30
北朝鮮の人々の号泣の心理 - 悲しみと嘆きの真の意味
b0090336_13544945.jpg外信が伝える平壌の報道を見ていると、多数の人々が金日成広場の人民大学習堂前や万寿台の丘に集まり、金正日の死を悼んでいる写真が並んでいる。気づくのは、特に女性の防寒着の色がカラフルになり、以前よりも上質に変わった印象が漂うことだ。材質もデザインもよくなっている。靴も。7年前、米国が北朝鮮の核開発疑惑に対して脅しをかけ、イラクとの「二正面作戦」を構えたとき、極寒の中、核戦争の危機を伴う凄絶な瀬戸際外交のチキンゲームが始まった。あれも年末だったが、人々が動員されて反米集会で拳を突き上げる映像がよく紹介された。あのとき、人々の服装は男女とも真っ黒で、文革時の中国と同じ人民服の集団の塊であり、何も個性がなかったが、今回は少し様子が変わっている。特に若い女性の表情と装いに個性の萌芽がある。丹東の領事館に花輪を持って詰めかけている女性の姿などは、ほとんど現在の中国人一般の風情と変わらず、飢餓と貧窮に喘ぐ「北朝鮮人民」の面影がない。遼寧省や吉林省の経済成長と繁栄が国境の川を超えて波及し、北朝鮮領内にトリクルダウンされているのだろうか。とすれば、それは喜ばしい現象だ。が、それと同時に、あの北朝鮮の内部にさえも、どうやら格差が忍び寄っている。単なる個性の相違ではなく、豊かな者と貧しい者の差異が写真の中に看取できる。


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by thessalonike5 | 2011-12-22 23:30
田中均の正論 - 「拉致問題の解決」の定義と展望とは
b0090336_14451099.jpg週初の一昨日(12/19)、従軍慰安婦の記事を準備していたら、正午に金正日死去のニュースが流れ、そのまま報道に釘づけになった。今年は大きなニュースが多い。震災と原発の問題を直視しなくてはならないのに、次から次にいろいろな問題が起き、雑音で邪魔されて煩わしくなる。年末のこの時期は今年1年を振り返って整理し、予算や経済の問題を通して来年1年を見通す季節だが、予期せぬ事態が横から割り込み、北朝鮮問題を考える1週間になった。来年は、いわゆる拉致問題の騒動が起きて10年を迎える。小泉訪朝と日朝平壌宣言から10周年の節目だ。ブログは7年前に開設し、ずっと新自由主義批判の言論を続けてきたが、それと並行して、拉致問題に絡んだ右翼化の潮流と空気に対して抵抗の論陣を張ってきた。北朝鮮への経済制裁に反対してきた。マスコミで聖人扱いされている「家族会」の面々に向かって、歯に衣を着せず非難の声を上げていたのは、おそらく私一人ではないか。それは勇気の要ることだったし、今でも勇気が要ることだ。ネットの中を見ると、左翼系でも「救う会」の宣伝に協力している一部のBlogがあり、この問題では右翼に迎合したり積極的に加担する者が多い。「9条を守ろう」などと口先で言いながら、右翼「救う会」への奉仕と翼賛に徹し、この国を改憲と戦争の方向へ押し流す反動の一員となって憚らない。


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by thessalonike5 | 2011-12-21 23:30
金正日死去 - 金王朝の滅亡必至、日本は圧力より対話を
b0090336_1465418.jpg金正日死去の第一報を聞いて最初に感じたのは、2日間、北朝鮮がこの事実を秘匿しきったことの意外であり、偵察衛星と地上工作員の監視を潜り抜けて、他国の諜報機関に漏らさなかった首尾の見事さだ。韓国も中国も米国も、この重大情報の入手に失敗したわけで、北朝鮮の機密保全能力に驚かされる。韓国が情報を押さえていなかった証拠は、李明博の12/17-18の訪日によって歴然だ。異変に気づいていれば訪日は絶対にあり得なかった。これは韓国政府にとって失点であり、韓国の情報当局は世論の非難を浴びて責任を追及されるだろう。米国が情報を掴んでいなかったことは、同じく李明博の訪日により推測される。もし異常を探知していたなら、それが未確認であっても、必ず青瓦台と米韓連合軍司令部に急報を入れていたに違いない。同様に、中国が先に情報を握った場合でも、極秘で韓国に届けたと思われる。また、米韓を出し抜いて情報を得たということを世界に知らしめる行動に出ただろう。世界で最も強力で精密な諜報能力を持っている米国と中国、その二国が最も神経を尖らせて動静を追っている対象が金正日だったはずだが、二国の諜報は北朝鮮の防衛に阻止された。ただ、本当に2日前の突然の急死だったのかどうかは、私には疑問が残るところで、朝鮮中央放送の女性アナの雲隠れは、果たして今回の件と何も関係がないのだろうか。


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by thessalonike5 | 2011-12-20 23:30
中産層の日本国民のプロダクティビティと70年代の音楽
b0090336_14392637.jpg前回の続きだが、下からの自生的な内需拡大と景気回復を担う人格の問題、そして、再び日本の製造業を再生させることができるかという問題である。その方向を信じながら、一抹の不安を感じるのは、『男はつらいよ』の世界とはすっかり変わった感がある今の日本人の内面の問題である。テレビ報道の街頭インタビューに登場する面々、高齢者にもっと負担させろとか、消費税増税はいい政策だなどと平気で言いのけている若い世代の顔を見ながら、果たしてこの知性の者たちが、25年前のような世界をリードする優秀な日本の製造業の担い手になれるのか、あの大田区の町工場(下請零細企業)の老経営者の往年のような経済主体になれるのか、その点を訝しく思うのである。たゆまぬ研鑽と努力で技術力を高め、仲間に気を配って集団の士気を高め、改善と創意と精度を競い合い、全員で力を合わせて遠大な目標を達成するような、70年代の日本経済の労使で一般的だった人間類型。それが失われている。これほどわがままで独りよがりで、謙虚さや我慢強さや他者への思いやりを欠き、スマホをいじっているだけの者に、果たして世界一の製造業を担う資質があるのかと、そんな気分になるのである。韓国やタイの人間の方が、日本人より心が素直で、真面目で勉強熱心で、職業人としての平均的能力が高いのではないかと。


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by thessalonike5 | 2011-12-15 23:30
「プレカリアートの憂愁」と消費税論議 - 近代社会の拒絶
b0090336_1621418.jpg辺見庸の『水の透視画法』の中に、「プレカリアートの憂愁」と題した印象的な一文がある。辺見庸が、大学で客員教授をしていたときの教え子と4年半ぶりに再会、そのときの体験が描かれている。教え子は中堅の広告会社に入社したが、鬱の症状を発して退社、今は新築マンションのモデルルームへの道順を示したプラカードを掲げて駅前に一日中立つ仕事をしている。その前は、模擬試験や通信添削の採点、交通量調査、郵便物の仕分け等々、正規の入社試験に採用されず、安い日当や時給のアルバイトを転々として暮らしている。若者はハンカチに包んだ小箱のようなものを大事に持ち歩いていて、その中には、3年間一緒に暮らし、前夜に死んだシマリスの亡骸が入っていた。彼が辺見庸に言う。「ぼくら、いったんプレカリアートとしてアンダークラスに組み込まれたら、袋小路から抜け出すのは不可能にちかいんですよ」。「いま、いったい、何に怒ればよいのですか」。「自殺多いでしょ。あれって変種のテロじゃないですかね」。「大恐慌、きますか。きたら、ガラガラポンですよね」。こういう時代を経験したことがあるかと問う若者に、辺見庸がつぶやいて返す。「価値観の底が抜けているのに、そうではないように皆が見事に演じている世の中は初めてだな」。そして、この再会と対話の感想を最後に締めくくる(共同通信社 P.39-41)。


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by thessalonike5 | 2011-12-14 23:30
左派埋没で本格論議が消えた中での消費税政局と対立
b0090336_1671677.jpg昨夜(12/12)、テレ朝の報ステで消費税増税の世論調査が発表され、賛成が40%で反対が50%の結果が出たが、五十嵐浩治が朝日らしい佞悪な増税推進のプロパガンダを吐く場面があった。「これだけ自分の懐が痛む増税なのに、賛成が40%もいるということは驚きだ」と言い、「国民も増税が必要だとよく理解している」と言うのである。私は数字を見ながら、五十嵐浩治と全く逆の感想を持った。よくもこれだけと呆れるほど、NHKから民放まで、ありとあらゆるマスコミが消費税増税の翼賛報道で埋め、朝から晩まで消費税増税正当化の説教を散布しまくっているのに、よく国民はそれに洗脳されず、50%の国民が増税反対の意思を堅持しているものだと感心させられる。マスコミの消費税報道の中で、これを公平中立に伝えている局や社があるだろうか。キャスターやコメンテーターの中で、消費税増税の賛成論と反対論をイーブンに紹介している中立派がいるだろうか。どの報道も、結論は最初から決まっていて、視聴者を賛成派へと強引に押し流す宣伝工作でしかない。特に、政府が「税と社会保障の一体改革」で既成事実を固めた今年は、その傾向が露骨で、マスコミの中で消費税増税反対論が生息していないのである。反対論は単に感情論のレベルに存在が矮小化され、経済や政策の議論として地位を認められていない。


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by thessalonike5 | 2011-12-13 23:30
古市憲寿の「若者は生活に満足」の勘違いと世代間援助
b0090336_1430285.jpg週刊エコノミストの11/29号を読んでいたら、古市憲寿の『20代の若者は現在の生活に満足-格差や貧困に当事者意識ない』と題された記事が載っていた。この号の週刊エコノミストは、表題が「国債ドミノ暴落」と大きく出ていて、その関連情報を収集すべく購入したのだが、国債特集の記事は甚だしく無内容で、何の知見も分析もなく、日経はおろか朝日の経済面以上の中身もなかった。看板に偽りありで、大失敗の買い物。最近の購読で、エコノミストや東洋経済の商品に満足を覚えた試しがない。中身はスカスカのくせに表紙や目次のマーケティングだけは達者で、消費者の購買意欲にミートした仕立てになっている。売ることだけは熱心で上手だ。そういう人間が編集をやっている。私の実感として、日本に経済誌のジャーナリズムが消滅していて、需要は旺盛にあるのに供給がない。購買して後悔した経験が積み重なり、懲りたため、結局、エコノミストや東洋経済に手を伸ばさなくなった。以前は、最新号の表紙や目次情報を必ずチェックしていたが、最近はその習慣がなくなった。編集部にも問題があるが、記事を書いている人間に問題がある。外資やメガバンクやそのシンクタンクの人間、まともに経済学を研究したとは思えない彼らの国債論とは、要するに1%が1%の仲間内で論じ合っている浮薄な雑談以上のものではないのだ。


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by thessalonike5 | 2011-12-12 23:30
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