本と映画と政治の批評
by thessalonike5
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<   2011年 06月 ( 19 )   > この月の画像一覧
ヘラヘラ笑う石川迪夫、酒光一章、斑目春樹、佐々木毅
b0090336_14465022.jpg今年も半年が過ぎ、暑苦しい夏の季節になった。夜、コンビニで飲料水を買おうとして玄関のドアを開けると、外のコンクリートの上を小さなゴキブリが這っていて、すぐにサンダルで踏みつぶした。今年初めて見る一匹だが、このところ、本当にこの昆虫の姿を見かける機会がない。そして、ここ数年、目撃するゴキブリの体が小さくなって、体長1センチほどしかないのだ。体が小さくなっただけでなく、動きがとても鈍く、逃げ足が遅いのである。体がハエほどに小さく、ヨロヨロとのろまなので、だから簡単に踏みつぶせる。そう言えば、この3年ほどハエが飛ぶのを見たことがない。少し歩くと、今度は小さな蛾がコンクリートの上に落ちて、ヨタヨタと死にかかっていた。蛾も小さい。2センチほどしかない。蛾もゴキブリも小さく孤独に生きている。と言うより、夏が始まったばかりだというのに、もう死にかかっている。生命力がない。個体量が少ない。蚊もほとんど見なくなった。そして同じく、偶に見つけても、とても弱々しく、小さく、逃げるスピードが遅い。居住する環境が清潔になっていることは結構なことだけれど、自然が周辺から消え、生きものが死に絶えているのだ。ゴキブリも、蛾も、蚊も、息絶え絶えに、か細く、か弱く、申し訳なさそうにひっそり生きていて、絶滅寸前といった姿を見せている。夏の害虫たちの今の状態が、日本の社会の姿と重なる。


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by thessalonike5 | 2011-06-30 23:30 | 東日本大震災
菅直人は解散できない - 政治の劣化を政党の責任にする佐々木毅
b0090336_13291434.jpg昨日(6/28)の民主党の両院議員総会は、途中で主役の菅直人が退場するという異例の展開で幕となった。何人かの議員が怒号を飛ばして逃亡する菅直人を非難していたが、誰も引き留める者はなく、肩透かしのハプニングで後味の悪い結末となった。昔の自民党の両院議員総会なら、例えば、三木武夫と挙党協の抗争劇がそうだったが、どれほど激越な糾弾と面罵があっても、修羅場から標的たる当人が遁走するということはなかったし、政治家の矜持としてそれはできず、最後まで針の筵の上で責め苦に耐え抜くしかなかったものだ。仮に会場から脱出しようとしても、浜田幸一のような強面の体育会系が阻止して、物理的に身柄を押さえたはずで、だからこそ、吊し上げの私刑にも屈せず粘り強く抗弁し、世間の同情を買う作戦に出たりしていた。日本の政治は変わった。この変化を、私は政治家が礼儀正しくなったとか、ソフィスケイトされたとか、そのようには断じて思わない。本来、権力闘争は命懸けの真剣勝負で、一撃必殺で政敵を仕留めるものだ。子どもの遊びじゃない。座席に居並ぶ無表情な民主党議員たちが、まるで就職説明会に来た子羊のような学生の風情に見える。一体、彼らは何をしに両院議員総会に出席したのか。何のために総会の開催を要求したのか。吊し上げどころか、逆に解散の脅しを受けて縮み上がり、菅直人を料亭の会合に逃がす体たらくだった。


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by thessalonike5 | 2011-06-29 23:30 | 東日本大震災
メンタルヘルスの政治学 - 挑戦と逆襲の絵を思い描く
b0090336_14122252.jpg昨夜(6/27)、報ステのニュースは上関原発の問題をトップで扱った。山口県知事の二井関成が、県議会で建設用地の湾を埋め立てる免許の延長を認めない方針を発言、中国電力による原発建設工事は事実上不可能な情勢となった。このニュースも重大な出来事だが、それ以上に、マスコミのテレビ報道が上関・祝島の問題を映像で大きく紹介した点が画期的だと言える。現地の映像を詳しく見るのは初めてだ。これまで、上関・祝島の問題は、ネットの片隅でしか情報を知ることのできない異端的な関心事で、まさに高江のヘリポート基地の住民運動と同じ範疇と性格の政治問題だった。そして、現地で粘り強く抵抗する住民も、そこに関心を向ける者も、多数派である右翼から「アカ」だの「サヨク」だのと呼ばれてイデオロギー攻撃を受ける対象だったのである。マスコミは決して上関・祝島にカメラを向けなかった。テレビで全国報道された意味は大きい。福島の事故によって原発をめぐる政治のシンボルが逆転し、脱原発を貫いてきた反対派住民が異端から正統に立場をスイッチした。一方、NHKのニュースは、7時も9時も内閣改造の腐った政局報道がメインで、二井関成の県議会での発言は無視して放送しなかった。どちらが国民生活にとって重い意味を持つニュースか。原発報道をめぐるNHKの極端な偏向と反動が、テレ朝と対照的に最近は特に強く印象づけられる。


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by thessalonike5 | 2011-06-28 23:30 | 東日本大震災
石原慎太郎の原発国有化論 - 「反・脱原発」のプロパガンダ
b0090336_15172860.jpg懸念していた悪い予想が的中し、報ステの新特集「原発わたしはこう思う」は、原発推進派のプロパガンダの砦となった。テレ朝の報道姿勢が変わり、脱原発の世論を潰そうとする反動側の工作拠点に切り替わっている。第1回目の養老孟司に続き、第2回目に登場したのは、まさかと目を疑ったが、この国で最も過激で狂暴な原発擁護論を吐く石原慎太郎だった。次は誰だ。大前研一か、勝間和代か、長谷川閑史か。石原慎太郎の主張も、寺島実郎と養老孟司と全く同じ論法で、マニュアルを暗記して読んでいるようである。情報工作の論点は三つ。(1)脱原発に対して、「イデオロギー」だの「原理主義」だののレッテルを貼って貶めること、(2)自らを「中立派」に偽装し、原発の現状維持が「中立派」だとする理屈で一般を説得すること、(3)新興国は原発ラッシュだと言い、世界の流れが原発推進にあるように見せかけ、日本も技術開発を持続する必要があると訴求すること。(1)はレッテル攻撃の悪質な印象操作であり、(2)はトリックによる観念操作であり、(3)はウォルフレンが言うところの「偽りのリアリティ」による騙しである。(1)-(3)をテレビで繰り返してシャワーすることで、ゲッベルスの教科書の効果が生まれ、「嘘も百回言えば真実になる」。今朝(6/23)のTBS「朝ズバ」に出た金井辰樹もこの論法を使い、「原発には中立の議論が必要だ」と言い、脱原発に対して急進で異端の表象を塗り被せていた。
 

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by thessalonike5 | 2011-06-23 23:30 | 東日本大震災
脱原発に動く関西と焦点の九州 - 自家発電のソリューション
b0090336_17184368.jpg昨夜(6/21)のNW9は、冒頭、橋下徹の会見の映像から入り、原発再稼働へと姑息に動く経産省と海江田万里を痛烈に批判する弁を紹介した。「そんなに安全だと言うのなら、海江田大臣と経産省の人間が原発の近くに住めばいいんですよ」。関西で脱原発の気運が高まっている。NW9の映像は、続いて滋賀県の嘉田由紀子の会見に移り、原発の全基停止を明確に求める知事の主張が放送された。滋賀県には関西の水瓶である琵琶湖がある。老朽化した敦賀半島の原発群から30キロの至近距離であり、福島第一と飯舘村ほども離れていない。冬に事故が起き、北西の季節風に流された放射性物質が湖を汚染すれば、滋賀のみならず京都も大阪も住民の飲料水を失う。嘉田由紀子の懸念と主張は当然だ。関電の大株主である大阪市長の平松邦夫も脱原発を宣言し、また、地元である福井県の西川一誠も運転再開には同意しないと言っている。東京のマスコミ報道ではあまり大きく扱われないので、詳細は分からないが、関西は脱原発で首長の足並みが揃っている印象があり、今なお過激な原発推進論を咆えている東京の親子とは雲泥の差だ。首都圏では、住民の間で放射能汚染への不安が日毎に高まり、線量計のバックオーダーが増える一方だが、4月頃は脱原発で威勢がよかった黒岩祐治も何も言わなくなった。
 

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by thessalonike5 | 2011-06-22 23:30 | 東日本大震災
養老孟司が原発維持の扇動 - 報ステが反動へ再旋回
b0090336_15581211.jpg報ステがまた悪い方へ逆戻りを始めている。今度は、朝日新聞が古舘伊知郎の足を引っ張る動きだ。これまで、報ステでは三陸の避難所にカメラを据え、ナレーションなしで淡々と被災した人々の姿を追い、生の証言を拾って撮る小さな特集を毎日続けてきた。その映像の一つ一つが素晴らしく、心を締めつけられ、同時に心を癒されてきた。取材と撮影が(NHKのヤラセ方式のように)出しゃばらず控えめで、それ以上に、登場する三陸の人々が謙虚で慎ましく礼儀正しく、人間として気高く美しく立派で、いつも感動で胸が溢れる思いだった。現場に入ったスタッフ自身が心を動かされている様子が手に取るように分かり、報道側が何も余計な手を加えず、完成度の高い珠玉のショート・ドキュメンタリーに仕上がっていた。そのシリーズの放送が昨夜(6/20)で打ち切りになった。代わりに、政局報道が前面に出て来た。この静謐で清冽なシリーズが続いている間、古舘伊知郎の姿勢が変わり、政局には目も呉れなくなり、永田町の醜悪な騒動に対して怒りと蔑みの言葉を吐き捨てていた。三陸と永田町の人間のコントラストを示す番組になっていた。どうやら、朝日本社から指令が降り、反動復活への転機が訪れたようで、昨夜から新企画が始まり、第1回目は、何と養老孟司が傲岸に出て来て、原発維持論の不愉快な妄言を並べていた。


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by thessalonike5 | 2011-06-21 23:30 | 東日本大震災
中島みゆきの原発宣教CM - 屈折し混乱する浅井慎平
b0090336_14344594.jpg村上春樹が反原発の宣言を世界に発表し、宮崎駿も脱原発の態度を鮮明にし、残っているのは小澤征爾だけかなと思っていたが、他にもいる。中田英寿と中島みゆきだ。中島みゆきの場合は、名曲である『糸』を関電の原発宣教CMに使わせていて、映像を見ると、そのとんでもなく悪質な中身に驚かされる。放送は昨年。こんな具合に、原子力村は著名文化人を取り込み、国民を洗脳して原発に漬け込む工作をしていた。このCMを制作させたこと、それがネットで論議されていることに、中島みゆきは内面の痛みを感じていることだろう。自らの不用意を後悔しているに違いない。CMを制作した代理店あるいは関電幹部は、当然、中島みゆきを直に口説いて了解させているはずだし、このCMは原発讃歌そのものであり、本人の前で企画を説明し、仕上がった完パケの映像もチェックさせているはずだ。『』は、数多い中島みゆきの作品の中でも特に一般に愛されている曲で、好みに偏りがなく、リスナーのコミットメントの度が強い。結婚式披露宴で歌われたり、BGMに使われたりする。CMの企画に賛同し、カネを受け取った時点で、中島みゆきは原発推進派の中に入った。「長い髪を三つ編みにしていた頃にめぐり逢えればよかった」などとを書くほどに、長い時代を生きてきた彼女のことだから、原発がクリティカルな政治的争点だった時代を知らないはずがない。


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by thessalonike5 | 2011-06-20 23:30 | 東日本大震災
脱原発への正念場 - デモを、アクションを、国民運動を
b0090336_13302275.jpg一昨日(6/16)の朝日のオピニオン面には、6/11の脱原発デモを主催した松本哉も登場し、高円寺・渋谷・新宿と続いたデモの意義を語っている。松本哉の発言の中身は、「デモなんかやっても効果はなく、議員事務所に直接頼みに行け」と暴言を吐いた河野太郎に対する反論となっていることが分かる。「そもそも、投票した政党や政治家に世の中を変えてもらおうという発想が間違っています。デモなどで自分の意思表示を行い、その動きをくみ取った政治家が増える、という順番でないといけません。デモは、最も直接的に政治に参加できるやり方です。選挙だと、候補者は様々な政策を示します。反原発に賛同して票を入れても、その議員がどう動くかわかりません。(略)今の選挙制度では、すぐに大量の脱原発議員を送り込むことは無理。だけど、デモに本気で怒っている人が集まれば、政治家も『やばいな』と無視できなくなり、それが政策転換に繋がっていく。『文句があることは言う』という動きを広げていくことが先決です。お任せ民主主義をやめ、本当の民主主義を取り戻す。その手段の一つにデモがあるわけです」。基本的なことを言っている。小田実的だ。「モデルは中東で起きた革命です」とも言っている。チュニジアからエジプトに広がった革命は、やはり日本の若者に小さくない影響を与えていた。


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by thessalonike5 | 2011-06-18 23:30 | 東日本大震災
中村敦夫の二大政党制批判と浜矩子の大連立批判
b0090336_1525463.jpg朝日新聞のオピニオン面(6/16 15面)に、久しぶりに中村敦夫が登場して政治について発言している。インターネットの普及が始まった原初期、15年前、中村敦夫は自らサイトを設営し主張を掲載していたが、すぐに更新を止めてしまった。6年前にSTKの運動を始めたとき、支援を求めてメールを送ったことがあった。そのときは、もう政治とは縁を切ったので沈黙するという意味の意外な返事が戻ってきて、大いに落胆させられた記憶がある。朝日の紙面記事を読むと、政治への関心が途切れた様子ではないようで、そうであるなら、Blogを使った本格的な評論と提言の活動を再開することを勧めたい。すぐに注目を集め、定番の人気サイトになるだろう。中村敦夫は次のように言っている。「自民党が原発推進、民主党が脱原発というふうに分かれていれば、国民が選択できるようになる。でも現実には、どちらにも満遍なく支持を集めるために似たような政党になっている。両方とも退場しろと言いたいね。今は、新しい考えを持った政治家や政党が登場できない選挙制度になっている。特に衆院の小選挙区制が、多様な人材を国会に送る道を閉ざしてしまった。中選挙区時代は、4、5番目くらいで新しい優れた人が当選できたので、人材はずっと豊かでしたよ」。同感だ。この部分の認識は私と全く同じである。中選挙区制は、選挙権も、被選挙権も、国民の政治参加の権利(参政権)をよく保障していた。


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by thessalonike5 | 2011-06-16 23:30 | 東日本大震災
イタリアの国民投票結果を歪曲報道するNHKと大越健介
b0090336_16262727.jpg昨夜(6/14)の報ステは、相馬市の酪農家の自殺問題がトップニュースで、かなり長い時間を割いて取材映像を流した。堆肥小屋の壁に白墨で書かれた遺書の言葉が生々しく、さらに実姉による原発と政治への批判が強烈で、番組のメッセージを伝えていた。この事件について、ネット上に報道各社の記事があるが、報ステで放送された情報に較べるとどれも短く軽い。30頭の乳牛を飼育していた54歳の酪農家は、経営を拡大するべく堆肥小屋を増設したばかりで、そこに原発事故が起きて原乳を出荷できなくなったため、資金繰りが苦しくなり、廃業を余儀なくされていた。酪農家仲間の声が取材され、皆、同じように自転車操業を続けていて、体力のない者から落後せざるを得ないこと、JA福島から農家に補償の仮払いがあったが、国・東電による正式な補償が決まらなかった場合は、JAに返済するよう義務づけられている事情が紹介された。この事件は、またしても、NHKの7時と9時のニュースでは一言も触れられなかった。しかし、このニュースで想起させられたのは、NW9で続けて取材されている南相馬の同じ酪農家のことである。経営と立場がきわめてよく似ている。南相馬の酪農家の方は、確か中3の長男がいて、地元の中学校が再開されないため、家を離れて親戚のいる福島か郡山の学校に転校して暮らしていた。


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by thessalonike5 | 2011-06-15 23:30 | 東日本大震災
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