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本と映画と政治の批評
by thessalonike5


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候補者乱立で演出が逆効果になった総裁選 - 自民党再生計画
候補者乱立で演出が逆効果になった総裁選 - 自民党再生計画_b0090336_1444322.jpg自民党総裁選は乱立乱戦模様となり、現在5人が立候補を表明、さらに棚橋泰文と山本一太の2人が意欲を示して推薦人集めに奔走している。新聞記事では、塩崎恭久もまだ立候補を諦めておらず、世耕弘成が山本一太の出馬会見に出席しなかったのは、塩崎恭久の立候補に向けて推薦人を集めているからだと言う。他にもまだ若手の中で立候補を模索する動きがあり、総裁選は混乱と暴走の様相を呈してきた。一方で、麻生太郎の対抗馬の筆頭と目されてきた小池百合子の推薦人20人がまだ固められておらず、情勢は混沌として刻々と微妙に流動している。小泉チルドレンを含めた中堅若手の改革派の中で、「オレがオレが」と人を押しのけて目立ちたい人間が多く、一本に纏まらず、改革派の存在そのものが胡散臭い実体を曝け出す顛末になっている。「構造改革の堅持」の主張が単なる口先の標語で、自己の売名行為を正当化する看板だということが、騒動を眺めている国民にも透けて見えるようになってきた。



候補者乱立で演出が逆効果になった総裁選 - 自民党再生計画_b0090336_1518154.jpg本来、総裁選は多彩な候補者と多様な政策をファッション・ショーのように国民の前に演出して、代表選で政策論争さえできない貧相で閉鎖的な民主党との差異を際立たせ、自民党の人材と政策の豊穣を訴求するものだったが、眼前の事態はまさに逆効果で、自民党総裁の浮薄さと総裁選の空虚さのみが印象づけられている状況にある。総裁選が「タレント・オーディション」(今日の朝日新聞の2面記事)のようになり、冗談半分の賑やかしの祭り事になり、一国の指導者を選ぶ真剣さが失われている。自民党の首脳や幹部は、この状況に危機感を感じて制止に動かなければならないはずだが、森喜朗も青木幹雄も何もせず放置している。彼ら自身に重みがなく、若手の軽挙妄動に睨みをきかせることができない。これではファッション・ショーの司会者のマスコミがどれほど総裁選を華やかに演出しても、視聴者の国民は盛り上がらず、逆に興醒めする一方だ。見せられているのは売名と出世の薄汚い欲望ばかりなのだから。

候補者乱立で演出が逆効果になった総裁選 - 自民党再生計画_b0090336_15182449.jpg告示まで4日しかないこの時点で、小池百合子が推薦人を固めきれてない事態は意外だったが、この状況は小池百合子の今後にとって決して好ましい材料ではなく、党内での信望の無さを浮き彫りにした格好で、要するに小池百合子を指導者にしたい同志がいないことを意味する。改革派の統一候補として決戦投票に生き残れるかも怪しく、話題を振り撒いただけで序盤戦で消える可能性すらある。地方に基盤のない小池百合子にとって、緒戦でモメンタムを作らないと地方票への浸透は到底困難で、旋風を巻き起こして地方票を稼ぎ取る勝ちパターンでなければ、議員票で派閥の後押しがある麻生太郎や与謝野馨とは勝負にならない。現在の状況では、麻生太郎の対抗馬になるのは与謝野馨ではないかと見られている、その理由は、麻生太郎を毛嫌いする古賀誠が、同じく麻生太郎を毛嫌いする福岡の山崎拓と結託、古賀派の議員票を与謝野馨に振り向けるのではないかと予想されているからである。小池百合子が決戦投票に残れないのは確実だ。

候補者乱立で演出が逆効果になった総裁選 - 自民党再生計画_b0090336_15185519.jpg派閥のボスの個人的感情が総裁選に影響するというのも異常だが、議員票を大きく左右する三派閥のボスが同じ福岡出身で、他の二人が麻生太郎と不倶戴天の人間関係だというのは事実で、そうした動機が今回の総裁選の行方に大きく作用するのも事実である。実際のところ、昨年の総裁選で、事前の世論ではポスト安倍の筆頭だった幹事長の麻生太郎が自民党8派閥に一瞬で包囲されたのは、麻生太郎を心底から嫌悪する古賀誠と山崎拓が結託して、森喜朗と謀って速攻で福田康夫担ぎに動いたからだと言われている。麻生太郎と言い、山崎拓と言い、古賀誠と言い、太田誠一と言い、福岡は不気味に人間模様がドロドロ蠢いている感があり、福岡のドロドロが中央の政界に歪な影響を及ぼしている。総裁選の結果がどう転んでも、この三人の関係は永久に変わりそうになく、自民党が下野する以外に福岡のドロドロから中央の政治が自由になる術はない。このあたりも自民党総裁選の印象を貧相にしている原因の一つで、瑣末さと空疎さが漂って否めない。

候補者乱立で演出が逆効果になった総裁選 - 自民党再生計画_b0090336_1519298.jpgリアルに政治を眺めたとき、ここまでの総裁選の政治は失敗である。売名とキャリアアップのために総裁選を利用して暴走する若手の改革派の動きは、国民にとって好感できるものではなく、特に経済が疲弊して生活に困窮している地方の有権者にとっては不快な醜態でしかない。どれほど改革派(=新自由主義)権力の牙城であり槓杆であるマスコミがそれを擁護しても、山本一太や石原伸晃の軽薄なパフォーマンスが有権者の心を掴むはずがない。石原伸晃は勘違いしている。と言うより、頭の中が5年前とか10年前のままで、「ウイングが違う」だとか「センスが悪い」などという言葉で国民を納得させられると思い込んでいるところに根本的な錯誤があるし、まるで小泉政権の絶頂期にいるような言動と挙動をカメラの前で演じている。それが容認され支持されるのは日本テレビだけだという事実に気づいてない。格差社会の極みの中で多くの国民が生活不安に呻き苦しんでいるという時代認識が微塵もない。歌舞伎役者の二世が襲名披露の前に芸能記者とふざけて燥いでいるのと同じだ。

候補者乱立で演出が逆効果になった総裁選 - 自民党再生計画_b0090336_18202619.jpg自民党改革派の若手の暴走はどこまで突き進むのか。彼らの動機は、すでに自民党を政策的にショーアップして民主党に対する比較優位性を演出するという総裁選の目的を逸脱して、自分自身の政治家としての生き残りのために総裁選に便乗して暴れるというところに行き着いている。ある意味で、彼らは行動で自民党を見限っているのであり、派閥の論理に従って「演出」の一部に参加するだけでは、最早、衆院選で当選を果たすことすらできないという焦燥感に駆られている。実際のところ、麻生太郎と与謝野馨がルックスバッドな顔を突き合わせて税制や財政をあれこれ論議しても、そんなものは国民にとって面白くも何ともなく、消費税増税の脅迫を言われて、さらに生活不安が掻き立てられるだけだ。夢がなく、選挙を前に何も政治に希望や期待を持てない。そこへ石破茂のような窮極のルックスバッドが画面に割り込んだら、視聴者は長時間の正視に耐えられず、総裁選への関心を失い、自民党への期待や支持も薄れるのは必定だ。「国民目線」と言いつつビジュアルへの配慮のない自民党の感覚を疑う。

候補者乱立で演出が逆効果になった総裁選 - 自民党再生計画_b0090336_15202733.jpgテレビは夢を売るのが商売なのだから、醜悪なものは露出してはならず、きれいなものを出さなくてはいけない。古賀派は山崎派と共同して野田聖子を推すべきだったし、津島派は後藤田正純を担ぐべきだっただろう。私が津島派の幹部だったら、田中真紀子を自民党に引き抜いて派閥の総裁候補にする。他に津島派を立て直せるシンボルはいない。本来の嫡流である田中真紀子を立てて、津島派は反構造改革の拠点になるべきで、小泉政治を否定して地方経済を守る立場に立ち返ってこそ、派閥の勢力を挽回でき、党の主導権を奪還できるのである。津島派(青木幹雄)と田中真紀子を和睦させる仲介者が必要で、本当なら、その役割を野中広務が演じなくてはいけないし、それが無理なら加藤紘一が仕掛人として動くべきだろう。自民党が生き残るためには、多数主流において新自由主義を放棄し、地方とジェンダーに活路を見出すべきで、すなわち、党は、田中真紀子派(旧津島派・主流派)と野田聖子派(旧古賀派・主流派)と小池百合子派(旧町村派・反主流派)の三派体制に再編成すべきである。そうすれば、自民党は再生する。

国民の支持を取り戻せる。キーワードはジェンダーと地方。
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【世に倦む日日の百曲巡礼】

今日の一曲は、島唄の名曲で、1993年の 大島保克『イラヨイ月夜浜』 を。

この曲、夏川りみ が歌っている youtube があって、「百曲巡礼」で取り上げようと狙っていたのですが、いつの間にか削除されていました。残念。名曲は歌手のパフォーマンスこそが命ですね。9月の沖縄の海はどんな感じでしょうか。

ご紹介する映像は昨年10月の波照間島のようです。八重山諸島の南の端。この曲、歌詞がいいですね。特に、「月んあかりん波に受け、戻し戻さりぃ くぬ浮世、大和世まで照らし給り、イラヨイマーヌ照らし給り」 の部分。心を衝くものがあります。


by thessalonike5 | 2008-09-06 23:30 | 政局
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