
今日(8/27)の朝日新聞の
社説では、太田誠一の事務所費疑惑が取り上げられていて、「裏付けを示し説明せよ」と見出しで主張されている。社説は福田首相の任命責任を問い、以下のように厳しく糾弾している。「
それにしても理解に苦しむのは、福田首相がなぜ、こんな問題を抱えた議員を入閣させたのかということだ。福田首相が今回の内閣改造にかなりの準備期間をかけたのも、閣僚候補に不祥事の種がないことを確かめる、いわゆる『身体検査』が理由のひとつだったのではなかったか」。毎日新聞の本日の
社説も太田農水相の事務所費問題で、同じように、「
福田康夫首相が太田農相の起用に当たって事前に十分チェックしていたのかどうかの疑問も残る。首相の任命責任も問われる場面だ」と批判している。日経新聞の
社説も太田誠一の事務所費問題に言及。「
対応によっては、首相の任命責任が厳しく問われる事態も予想される」とあり、朝日と毎日の二紙に較べると論調はトーンダウンする。自民党の大衆機関紙である読売新聞だけが太田誠一の問題を今日の朝刊の社説に取り上げていない。

福田首相を弁護するわけではないが、この問題には若干の同情を禁じ得ない。組閣の際の裏話として記事になって出回っていた記憶があるが、太田誠一を農水相のポストで強引に入閣させたのは麻生太郎である。組閣の日が8/1で、この日の午前、山形の温泉から東京に戻ってきた麻生太郎が Audi A8L に乗って公邸に入り、福田首相と1時間ほど幹事長就任の会談に及んだが、そのとき、幹事長受諾の条件として、禅譲の他に強く要求したのが自分の仲間の入閣で、特に強力に捩じ込んだのが太田誠一農水相だった。この件は、探せばどこかに証拠の断片が見つかるはずである。福田首相は、身体検査で太田誠一が不合格になっていたことを知っていたから、麻生太郎に断ったはずだが、それなら幹事長も受けないという応酬になり、やむなく受け入れざるを得なかった。二人の会談のやり取りが目に浮かぶ。会談の最中に、福田首相は森喜朗に電話をかけて、「どうしようか」と相談したかも知れない。森喜朗は「入れちゃえよ」と言ったに違いない。森喜朗にとっては麻生太郎幹事長が何より大事だったから。

そこで強く拒絶せずに、あっさり入閣させるところが福田首相らしい無責任さで、淡白と言うか、「どうなっても知らないよ」と子供が拗ねるように内側に屈折して政治家の立場と態度を放棄する。今度の組閣は、森喜朗が一切のお膳立てをした影響で、ドロドロした生臭い内幕が包み隠さず記者に漏らされて記事になった。森喜朗と麻生太郎の二人が暴露合戦の情報戦をやり、福田首相の立場は全くなかった。麻生太郎による太田誠一入閣ゴリ押しを状況証拠として証明する事実があり、それは言うまでもなく、先日の「やかましい」発言の際に、真っ先に太田誠一擁護の弁を放って、
「関西以西では、『やかましい』は『よく知っている』の意味だ」と詭弁を弄した
一件である。無理な主張だが、小泉政権時代の自民党人気や「麻生人気」を信じ込んで、状況を勘違いしたまま強弁に及んでいた。麻生太郎がなぜこれほど太田誠一を大事にするのか、入閣の世話までするのか、そこにはきっと何か特別な真相がある。二人とも九州であり、選挙区が近い。
カネなのか、
女なのか、この二人の関係を疑うと、想像に及ぶのは何か薄汚い欲望や弱味である。

太田誠一の辞任は時間の問題で、この件でも公明党は官邸に素早い更迭を迫るだろう。昨夜(8/26)の福田首相の「一政治家としてきちんと説明すべきだ」の言葉は、「早く自分で辞任しろ」の意味である。辞任となった場合、麻生太郎の幹事長としての権力が打撃を受けて一気に弱体化する。公明党と与謝野馨が政策と国会を仕切って解散までを運営する政権になる。麻生太郎を幹事長に据えるべく役割を主導したのは森喜朗と公明党で、消費税増税と社会保障削減しか言わない伊吹文明を嫌った公明党が幹事長の首を挿げ替えた
政変だったが、国会の召集時期をめぐって麻生太郎と公明党が厳しく激突している気配があり、すでに二者の間には深刻な亀裂が入っているように窺える。結局、召集時期では自民党が折れ、表面上は新テロ特措法の延長は消えてなくなった。民主党が態度を変えなければ廃案になる。召集時期をめぐる攻防は延々と続いたが、これは単に新テロ特措法の延長問題だけでなく、解散日程を決めるものであり、新聞の政界記事を読むかぎりでは、解散日程も公明党の思惑どおり年末年始の線で決着した感がある。

自民党の側に強い主張がない。自民党に選挙の戦略がなく、政治意思が曖昧なため、意思が明確で強固な公明党に押し切られる。森喜朗と福田首相の想定は、来年の春まで政権を引っ張って、「国民に人気のある」麻生太郎に禅譲して、麻生新政権をマスコミに騒がせて、支持率が上がったところで解散、議席減を最小化するという程度だった。戦略と言うにはあまりに薄弱で、単に麻生太郎に負け役を押しつけ、急場を凌ごうとしていただけに過ぎない。もっとも森喜朗には細川政権時に下野の経験があり、小沢一郎の体質もよく承知しているから、下野がマスコミの言うような政権交代には終わらず、細川政権時と同様にヌルヌルと政界再編を媒介して行くことを直観し確信している。大連立で世話役をやった水面下の小沢一郎との関係も切れていない。腹がすわっているのである。意思決定権者に強い意思がない場合、状況は周囲の動きの中で狭められて行く。すなわち、解散は年末か年始で、そこまでに禅譲(自民党総裁選)をやれるかどうか、麻生太郎が新総裁を引き受けるかどうか、麻生政権で本当に支持率が上がるかどうか、公明党が麻生政権をサポートできるかどうかとなる。

太田誠一の事務所費問題の影響は大きい。間違いなく自民党の支持率が下がる。続けて麻生太郎や別の人間の醜聞が発覚すれば、さらに支持率は下がり、自民党は追い込まれ解散と自滅選挙を余儀なくされる。8/25付の
夕刊フジに政治評論家の小林吉弥が議席予想を出していて、それによると、自民党は100議席以上を失い(305→194)、公明党と合わせても過半数を大きく割る結果(自公で221議席)となる。年末年始まで4ヶ月しかなく、事態がこのまま進めば、小林吉弥の予想は現実のものになる。おそらく福田首相にはそれなりの戦略があり、例えば訪朝と拉致被害者の帰還もその一つで、山崎拓の北京での北朝鮮との交渉も大詰めを迎えているのだろう。ただ、福田首相は決断が遅いという欠点があり、時間を無駄に潰す性格を持っている。一週間二週間を簡単に見過ごして無駄にする。そうすると、解散までに本格的な戦略を準備できないまま、ズルズルと時間を潰す可能性があり、自民党議員は超逆風に身を曝して選挙区で戦いに臨まなければならなくなる。そこまで至れば、創価学会の集票など何の当選の役にも立たない。となれば、現職の小泉チルドレンたちは別のことを考え始める。

座して死を待つより討って出て死中に活路を開くは兵法の常道。党執行部にも頼らず、麻生人気にも頼らず、創価学会にも頼らずに、票を稼いで当選する方法。それは一つしかない。小池百合子を担いで
改革新党を立ち上げ、自民党の泥舟を脱出する博打を打つことだ。竹中平蔵が全面的にサポートする。改革推進、バラマキ反対、消費税増税即実施、法人税減税、議員定数半減、道州制施行、憲法改正。この新党が立ち上がれば、産経も読売も日経も歓迎するだろうし、朝日も志向する
政策が同じなので大歓迎するだろう。自民党支持者は改革新党に投票を変えよと呼びかけ、改革新党と民主党が競う保守二大政党制を待望するようになるだろう。産経と読売と日経は自民党と改革新党の新二大政党制を呼びかける。マスコミは必ずこの新党を応援する。小泉チルドレンの現職たちが改革新党の衣を纏って立候補する。選挙戦は民主党と自民党と改革新党の保守三党の三つ巴となり、本来なら民主党に入るべき票が改革新党に流れる。無論、選挙が終われば自民党と連立か合流、小泉純一郎と中川秀直が仕切る新派閥として割拠する。自民党が負けない方法の一つがこれである。ブログが指南するウィニング・ストラテジー。

改革新党で50議席取れれば、自民党が
194議席(-111)の惨敗でも、改革新党との連立で過半数を確保して政権を維持できる。選挙で投票するのは国民である。国民はマスコミが風を吹かせた方に投票する。新自由主義の政策(聖域なき構造改革/三位一体の改革)のために所得が減り、負担が増え、生活苦に陥っていたのは3年前も同じだった。それでも、否、それだからこそ、改革が経済をよくして国民の生活をよくするとマスコミが言うから、どの新聞もテレビもそう言うから、国民はそれを信じて、小泉自民党に一票を入れたのである。投票するのは同じ国民だ。二度騙された人間は三度騙される。何度でも死ぬまで騙され続ける。さて、農水相辞任は時間の問題と言いながら、太田誠一はこれほどまでに麻生太郎に重用・厚遇される「同志」である。麻生新政権誕生の暁には、財務相か経産相、あるいは総務会長か政調会長になって政権中枢に鎮座する身だったに違いなく、そうなると、麻生太郎の総理総裁は確実なのに、「盟友」の太田誠一の方は、政治とカネの問題で失脚したまま無役で謹慎という事態になる。これは太田誠一にとっては辛く厳しい渡世だろう。何とか辞任せずにうやむやにできないか、ジタバタすることも予想される。
麻生太郎が辞めろと言えば素直に辞め、開き直れと言えば最後まで悪あがきを続けて、福田政権に致命傷を負わせるのではないか。最後はやはりカネだろうが。

【世に倦む日日の百曲巡礼】
今日の一曲は、西田ひかる が歌う 『Where The Boys Are』 を。
オリジナルはコニー・フランシスで1961年のヒット曲。プレーンなタレント歌手の印象が強かった西田ひかるだが、よく聞くと、歌は上手だし、何より English の発音が素晴らしい。上智大学比較文化学部卒。南沙織、アグネス・チャン、早見優、才媛ぞろいのソフィアのお嬢さまでしたか。この曲は
伊東ゆかりがカバーして日本で有名になった。
邦題は『ボーイ・ハント』。ボーイ・ハント、この言葉は、分類すれば(死語ではなく)古語のカテゴリーだろうか。現在の日本語の表現では、逆ナンパ(逆ナン)がおそらく該当する。しかし、並べると二つの言葉の間に漂う雰囲気が相当に違う。いわゆる時代に錨付けられた言葉。両方とも。
