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本と映画と政治の批評
by thessalonike5


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サルコジの驕慢とG8宣言の政治裏 - ポストG8のリストアップ
サルコジの驕慢とG8宣言の政治裏 - ポストG8のリストアップ_b0090336_1451124.jpg昨日(7/8)の洞爺湖サミットでのG8宣言に対して、朝日新聞は社説の中で積極的に評価、「ブッシュ大統領の米国を日本や欧州が押し切り、国連主導の流れを確かなものにした」と言っている。国別中期目標の実施を明記した点についても、「(削減目標設定に消極的だった)米国を引き込んだのである」と意義を強調している。一方、環境NGOの「気候ネットワーク」はG8宣言に対してきわめて手厳しい内容の声明を発表、「私たちの期待に応えるものには程遠い」と言い、長期目標については「米国以外の国にとって昨年からの進展はないに等しい」と断言している。中期目標についても、「具体的なレベルも示せず(中略)何も言わなかったに等しい」と峻烈に批判。「福田首相、気候変動問題でのリーダーシップ発揮に失敗」と副題が付された声明文を発表した「気候ネットワーク」の代表は浅岡美恵で、以前、天木直人のBLOGの中でプロフィールが紹介されていた。京都大学法学部の同期生で、在学中に司法試験に合格した才女の弁護士。 



サルコジの驕慢とG8宣言の政治裏 - ポストG8のリストアップ_b0090336_14512348.jpg浅岡美恵の声明を読んで「なるほど」と頷きながら朝日の社説を読み直すと、これは何か新聞社の社説と言うよりも、外務省が国民向けにG8宣言を説明しているような「政府報道」に聞こえる。大本営発表的だ。「気候ネットワーク」は反政府系の政治団体でも何でもなく、温暖化問題を長く監視し、政策提言と市民活動を続けてきた専門家の組織である。「気候ネットワーク」と朝日新聞の感覚の差異は、状況認識と危機感の差としか思いようがない。ここまで新聞が政府にリップサービスする必要があるのか。昨夜の「報道ステーション」で英タイムズ紙の記事が紹介されていたが、昨年のハイリゲンダムから前進を達成できていないと辛口の評価が示されていた。確かに米国が「排出量半減」の仲間に入ったことは事実であり、昨年と較べれば変化はあるが、この一年間の状況の変化を考えれば、宣言文の表記にもう少し「合意」がクラリファイされるべきで、番組の中で河野明子が語ったように、「一年も時間をかけてこの程度しか動かないのか」というのが一般の見方だろう。

サルコジの驕慢とG8宣言の政治裏 - ポストG8のリストアップ_b0090336_14575100.jpgサミット取材経歴が長く、この季節には必ず現地から中継に出る嶌信彦は、福田首相がリーダーシップを発揮できなかった点について、民主党に参院を制された国会で野党対策に張り付かされ、環境問題の合意作りに向けて思うように各国の根回しが出来なかったと政府の代わりに言い訳をしてやっている。この言葉は、明らかに外務官僚から「お願い」されてテレビで言ってやっている世論操作であろう。私はそう見る。政府が国民に対して今度のG8宣言を(五分五分評価に)納得させようとすれば、中立リベラルの政治的表象を備えた嶌信彦に頼んで工作するのが最も効果的だ。確かに嶌信彦が言う一面はある。あれはガソリン国会が紛糾した4月末、山口2区補選のとき、GWを利用して福田首相がサミット準備に欧州を訪問しようとしながら、民主党による問責決議案の攻防と緊張があって、国内を離れられずキャンセルした経緯があった。結局、欧州訪問(独・英・伊)は6/1からになった。サミット本番の一ヶ月前。嶌信彦に「テレビ解説の台詞」を耳打ちした外務官僚か官邸関係者はそのことを言っているのである。

サルコジの驕慢とG8宣言の政治裏 - ポストG8のリストアップ_b0090336_1457178.jpg今回、特にサルコジとベルルスコーニが、そしてメルケルとブラウンも、欧州組が議長国日本の福田首相に対してきわめて態度が冷淡だった。米国のブッシュ大統領だけが、拉致問題の引け目もあったからか、福田首相を立てるように会議の席で気を使っていた。他の連中は、英語が堪能でない福田首相をまるで邪魔者扱いするかのように意地悪く無視していた。温暖化問題で米国を「合意」へ妥協させるためには、欧州と日本が常に結束していなくてはいけない。それがこの問題の前提であり構図のはずだ。なぜ日本に来てサミットの本番であのような邪険な態度をとるのか。私には不思議に見えたが、欧州の連中からすれば、一度痛烈なすっぽかしを食らっているのである。4月末にG8宣言を戦略調整するべく準備して、彼らは議長を待っていたのだろう。もともと日本は米国に盲従で、特に小泉政権以降は外交の主体性がない。そのうえサミットの最終調整でキャンセルを食らったものだから、それならと日本に対して非協力を貫徹しているのだ。遠い極東の日本まで来ながら、日伊首脳会談と日仏首脳会談が拒否されるのは異例の事態である。

サルコジの驕慢とG8宣言の政治裏 - ポストG8のリストアップ_b0090336_14572966.jpgサルコジはまるで自分が今回の議長であるかのように尊大に振る舞い、日本開催の洞爺湖サミットを仕切ろうと動いている。「報道ステーション」は裏を読み、新興国に原発を売り込む戦略に沿った温室ガス削減の戦略が米仏二国で事前に組まれ、暗黙の合意ができているのだと解説を与えていた。サルコジの自信と放埒はこれで理由が説明できる。欧州組は洞爺湖サミットを適当にスルーさせ、次の機会でオバマ新大統領が登場したときに本格的な温暖化対策の協議と調整をしようという姿勢なのだろう。メルケルにもサルコジにもブラウンにもまだ十分な任期が残っている。メドヴェージェフは仲間に入ったばかりのニューフェイスだ。このメンバーで焦る必要はなく、日本に花を持たせる必要はなく、洞爺湖で歴史に残る画期的合意を達成する必要はないのだ。温暖化問題をスルーする作戦の上に、今度はG8をG13に拡大するプランを持ち出した。これは議長国日本にとっては寝耳に水だったが、サルコジは事前に根回しをしているようで、欧州組からは異論が出ず、新興国からは一部賛同する声も上がり、いつの間にか洞爺湖サミットがG8の枠組を議論する場になり、マスコミ報道もその問題に関心が奪われてしまっている。

サルコジの驕慢とG8宣言の政治裏 - ポストG8のリストアップ_b0090336_14574042.jpgこのG8枠拡大について、そもそも国連という組織があるのだから、重要な問題は国連の場で討議すればいいという意見もある。正論だろう。安保理(P5)と国連総会の間に、それとは別に現在のG8的な枠組を設けるのが理念として妥当に見える。だが、現在のサミットを国連に統合するコンセンサスをとるのは現実には容易なことではない。安保理改革でさえ簡単に進まない現在の国連で、G8的な枠組をインプリメントするのは至難の業だろう。敢えて私が参加メンバーを上げれば、次のような13名の代表の首脳会議になる。①米国、②EU+1、③日本、④ロシア、⑤中国、⑥インド、⑦アラブ連盟、⑧ASEAN、⑨AU、⑩ブラジル、⑪国連事務総長、⑫特別招待参加国。EUはEU議長と別に1名、年番で代表国を決めて、その国の代表も出席できる。アラブ連盟は事務局長が出席する。AUはAU議長が出席する。ASEANも議長が代表で出席。韓国よりGDPの低いカナダは参加メンバーの資格は不要だ。メキシコも不要。豪州も不要。その韓国とか豪州とかパキスタンとかカナダとかメキシコとかアルゼンチンとか、モンゴルとか中央アジア諸国はどうなるのだという問題があるので、⑫をワイルドカードで設ける。

サルコジの驕慢とG8宣言の政治裏 - ポストG8のリストアップ_b0090336_15434984.jpgサルコジの驕慢とG8宣言の政治裏 - ポストG8のリストアップ_b0090336_1544173.jpg
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サルコジが北京五輪開会式出席を表明したが、中国国民はチベット問題で卑劣な反中策動を展開したサルコジを許すべきではない。日中両国民が固く団結して、無礼で驕慢なサルコジを世界政治から追放するべきである。韓国の次はフランスで大統領選を前倒しさせて、アジアと世界の世論でロワイヤルを新大統領に就けよう。
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【世に倦む日日の百曲巡礼】

今日は、1986年から上演が始まったミュージカル 『オペラ座の怪人』 のテーマを。

ご紹介するYouTubeは2005年に公開された米国映画から。舞台の方は英国が初演で、米国と日本では1988年からスタート。劇団四季による長期公演が現在まで20年間続いています。このころ劇団四季がブームで、この作品も話題になり、私もすぐに「ぴあ」でチケットを取って見に行きました。

主演の怪人は 市村正親 ですよね。この曲で紅白歌合戦にも出ていました。センセーショナルな独特のイントロ。演出は浅利慶太。座席が後ろの方で、ステージから遠くて、ストーリーがよくわからなかったことを覚えています。映画になったことも知りませんでした。


オペラ座というのが、この建物が壮麗で抜群にいいんですよね。オペラ座の前に広い大きな通りがあって、それがルーブル美術館の方に真っすぐ伸びているのですが、その通りからオペラ座を展望する景観が見事で圧倒されます。通りがルーブル美術館に突き当たる手前にルーブル・コンコルドという老舗のホテルがあり、福沢諭吉が泊まったことで有名でした。私も泊まらせていただきましたが、近畿日本ツーリストのツアーデスクがあったような記憶があります。

古くてエアコンもない狭い部屋でしたが、窓から外を見ると正面にオペラ座が見えました。絶景。完璧な都市空間美に息をのみました。たしかパレ・ロワイヤルという地下鉄の駅がありましたね。洒落た場所です。円が強くなって、お行儀のいい日本人観光客が重宝されていた時期でした。考えてみれば、私もずいぶん贅沢なことをしています。パリはとにかくレストランの食事がうまいんですよね。肉も魚もパンもワインも。格差問題を政治で解決して、ぜひパリへ行きましょう。
サルコジの驕慢とG8宣言の政治裏 - ポストG8のリストアップ_b0090336_1843480.jpg

そうだ。あの頃は、パリの人たちは、デパートとかレストランのウェイトレスとかは、わかっていても絶対に自分からは英語は話さずに、わからないふりをして、わざとフランス語で訊き返してきましたよね。「エクスキューズ・ミー」とか日本人が言っても無視。英語は無視。それが、今やあの大統領。時代の流れには誰も勝てない。

by thessalonike5 | 2008-07-09 23:30 | 政局
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