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本と映画と政治の批評
by thessalonike5


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募金をしよう、一人でも多くの命が救われることを祈って見守ろう
募金をしよう、一人でも多くの命が救われることを祈って見守ろう_b0090336_150997.jpg現地で救助活動の陣頭指揮を執っている温家宝に対して、日本のマスコミは心ない言葉を投げつけ、国内向けの人気取りの政治宣伝だとか、パフォーマンスだとか、国際社会からの批判をかわす狙いだとか、ネガティブな報道姿勢で罵っている。昨夏の参院選の前に中越沖地震が起きたとき、安倍晋三がほんの一瞬だけ選挙の票目当てにヘリで現地を視察したのを英雄のように称賛してやった日本のマスコミの目からは、今度の温家宝の現地陣頭指揮は、その意図や目的を疑って軽侮や批判が与えられるべき不毛な政治行為であり、そのように報道されなければならないのである。温家宝は地震が起きてから1時間半後に現地に出発している。特別機に乗ったのは地震発生から2時間12分後の午後4時40分、機内で講話を発表して、国民が一致団結して災害を克服するよう訴えた。午後7時10分に成都に到着。都江堰に入った深夜の午後11時40分に臨設テント内で国務院の地震対策本部の会議を招集、本部長として指示を出している。



募金をしよう、一人でも多くの命が救われることを祈って見守ろう_b0090336_1502056.jpgこの模様は翌日の日本のニュースでも放送された。雨が降る中を粗末なテントで、薄暗い照明の下で会議をして、何より人命救助が最優先だと厳命し、省の幹部たちに各地の被害状況の正確な把握に努めるよう指示を出していた。翌日の5/13は綿陽、徳陽、5/14は北川を回って救援活動を指揮し、被災者を励ましている。温家宝はほとんど睡眠をとっていないのではないか。被災現場で指揮中に瓦礫に躓いて転び、腕にけがをして出血しながら、手当もせずに陣頭指揮を続けたと報じられている。温家宝は立派だ。指導者はこうでなくてはならない。温家宝が胆力のある政治家だということは、昨年の訪日の際の気迫を見て初めて思い知ったが、今回、あらためて政治家としての温家宝の行動力を感じさせられた。実は、前の朱鎔基が能力抜群の大型の政治家だったため、私には温家宝が小型に見えていたのである。しかし違った。この人は努力家だ。そして意志の人だ。意志と努力で困難に挑戦して問題を解決しようとする。内面に鄧小平が生きている。

募金をしよう、一人でも多くの命が救われることを祈って見守ろう_b0090336_1504269.jpg7年前の2月10日、ハワイ沖でえひめ丸が米海軍の原潜に衝突されて沈没する重大事故が発生したとき、当時の首相の森喜朗はゴルフの真っ最中で、一報を受けた後もそのままゴルフ場でプレーを続け、ハーフを終えた2時間後に悠然とゴルフ場を出発、事故発生から5時間後に首相官邸に入った。ゴルフ場でプレーを続けたことを咎められた森喜朗は「プライベートだから」と記者に返している。イージス艦と漁船の事故が起きた今年の2月18日、防衛相の石破茂に一報が届くまで1時間半、福田首相に報告が上がるまで2時間経っている。温家宝が地震発生から1時間半後に現地に出発したということは、情報を受けたその場で現地行きを決断して政府専用機を手配したということだ。決断力と行動の迅速さが際立っている。これが政治家の指導力というものだろう。日本の政治家で、同じ場面で同じ行動ができる人間はいない。決断しようとしても、周囲の官僚の方があれこれ手続きを言い始めて手配が回らず、省庁間の連絡がどうだの瑣末な事務で足を引っ張られて立ち往生するだろう。同じ官僚大国である中国で政府をここまで強引に引っ張れる温家宝の指導力は見事だ。

募金をしよう、一人でも多くの命が救われることを祈って見守ろう_b0090336_1503043.jpg国連の国際防災戦略事務局(ISDR)は、「中国政府の地震への対応は非常に早く、地震発生後の4時間以内に、救援隊は被災地に到着した。中国政府の対応は素晴らしく、印象深かった」と評価の声明を出している。中国政府の対応をネガティブに歪めて報道して、視聴者に反中プロパガンダのシャワーを浴びせているのは日本のマスコミだけだ。昨日の北京市では、震災地被害者に輸血を送るために、希望者が何百人も列を作って並んでいる様子が紹介されていた。TBSの「NEWS23」の現地からのレポートでは、各地から大勢のボランティアが来て、救助活動に従事している姿が目につく点が報告されていた。中国各地の空港から大量の援助物資が成都に空輸されている映像もあった。中国の国民が被災者を助けようと動いている。トップの温家宝が先頭に立って壮絶果敢に救助活動する姿を見せているから、だから格差に喘ぎ生活に苦しみながらも、一人一人の国民が被災者のために貢献しようとするのだろう。不眠不休で活動する66歳の温家宝の健康が気になるが、しかし、政治家は人民のために働いて人民のために死ねれば本望なのだ。それが政治家だ。

募金をしよう、一人でも多くの命が救われることを祈って見守ろう_b0090336_1505650.jpg東京でキー局の報道スタジオに座っているキャスターは、相変わらず悪意に満ちた反中プロパガンダを続けているが、現地に入って取材している記者の口からは、反中宣伝の常套句はさほど聞こえて来ない。震災現場の生々しい生と死のドラマに直面して、本来の報道記者としての感性と良識を取り戻している。人の命が一挙に大量に奪われた深刻な災害であったことが、ようやくテレビの画面から伝わるようになってきた。一昨日(5/14)までの日本の報道は自然災害の報道ではなかった。テレビキャスターの言葉の中に人間の命の重さを感じたものは一つもなく、逆に、未曾有の震災に懸命に対応する中国政府に対して、意地悪く斜に構えた冷ややかな視線を送り、何か貶す理由を見つけて批判しようとするイデオロギー臭に満ちた政治報道であり、共産党独裁国家が強権を発動する邪悪な印象を日本の視聴者に刷り込もうとする洗脳報道で埋め尽くされていた。しかしながら、ネットの中では、マスコミの反中報道に扇動された者たちが、まるで勝谷誠彦の口真似をするように中国を罵倒し、被害に遭った中国の国民を侮辱している。それは決して2ちゃんねる掲示板に巣食うネット右翼だけではない。

募金をしよう、一人でも多くの命が救われることを祈って見守ろう_b0090336_151769.jpg勝谷誠彦の粗悪な反中プロパガンダを口写しして流布している一部ブロガーの中国非難では、中国政府の被害実態の発表に信憑性がないと決めつけている。だが、これは悪辣な言いがかりで、先進国でも大規模災害が発生した直後は簡単には被害の全容は明らかにならない。3年前にハリケーンがニューオリンズを襲った米国のケースがそうだった。カトリーナが上陸して住民に避難命令が出たのが8月28日。翌29日の米政府当局の発表では死者55名。それから5日も経った9月3日になって米政府は死者の数を数千人と発表、この時点でも正確な犠牲者数や被害の状況は判明していない。ブッシュ大統領が休暇先からホワイトハウスに戻ったのが水害発生から2日経った8月31日、治安と救助のために州兵1200人が現地に到着したのは水害発生から4日後の9月2日だった。中国とは比較にならない。米政府の対応は後手後手だった。ニューオリンズ市内では、車がなく逃げ遅れた低所得者が犠牲になって水に浮かび、生き残った者は屋根の上で何日も救助を待ち、市内では略奪犯がスーパーに押し入り、警官が銃で脅して退散させていた。避難民で溢れたアストロドームでは人々が水と食料品と薬を要求していた。

募金をしよう、一人でも多くの命が救われることを祈って見守ろう_b0090336_1512262.jpgマスコミの反中報道や2ちゃんねる掲示板では、現在、中国で義捐金詐欺が横行している事実がクローズアップされ、中国叩きの材料に挙げられている。まるで災害時の義捐金詐欺が中国だけの悪弊で、中国だからこうした犯罪が起きているとでも言いたげな口調である。しかし義捐金詐欺は日本でも起きていた。ネット右翼やマスコミ右翼に洗脳された一部の人間は、その事実を忘れているか、意図的に無視している。4年前の新潟県中越地震のとき、日本赤十字社や共同募金や自治体を騙り、電子メールやビラを使って市民に義捐金を呼びかけ、全く無関係の口座に振り込ませようとした義捐金詐欺の犯行が横行した。テレビの報道番組でも何度も視聴者に注意が呼びかけられていた。中国で今回発生している義捐金詐欺は、4年前の新潟県中越地震のときの義捐金詐欺から手口を学んだものの可能性がある。私はそのように疑うが、いずれにしても、義捐金詐欺を中国だけの固有の病理のように言い立て、恰もそれを中国国民の本来的な後進性や佞悪性の証左であるかのように誹謗する手法は、きわめて不当で悪質な詐術であり、中国の国民を無用に傷つける醜悪な反中プロパガンダであると言わざるを得ない。ネット右翼や一部の扇動者に騙されてはいけない。

募金をしよう、一人でも多くの命が救われることを祈って見守ろう_b0090336_1513457.jpg中国政府が地震発生から72時間経った後に日本からの援助隊を受け入れた問題についても、古館伊知郎以上に奇妙な歪曲をして捉えようとする動きがあるが、もう少し現場の感覚に内在して実情を見る必要があるだろう。今回の件は、報道機関が書いているが(私もそう思ったが)、胡錦涛主席の直接の判断と指示である。これは外交なのだ。最初に受け入れを断ったのは、国務院(政府)の地震対策本部の指揮官である温家宝である。一分一秒を争って被害者救出に全力集中している最中に、外国の救援隊の接待をしている暇はなく、外交マターに時間と労力のリソースを振り向けたくなかったのである。温家宝が判断して拒絶した。しかしそれを胡錦涛主席が説得して覆している。日本との外交の重要性を説いて温家宝に納得させたということだ。この政治は実に興味深く、そして胡錦涛と温家宝の二人の指導者の信頼関係の強さを感じさせる。中国は初めて外国からのレスキュー部隊を受け入れることになった。胡錦涛主席に援助隊受け入れを進言して説得したのは、崔天凱大使か、唐家旋か、いずれにしても外交部の動きだろう。一昨夜のNHKの「7時のニュース」の影響もあるかも知れない。この政治には味がある。人間が政治をしている。中国にとっての中日友好の国是の重さがある。

募金をしよう、一人でも多くの命が救われることを祈って見守ろう_b0090336_15275734.jpgわれわれ日本人は、せめてわずかでも救援の募金をして、そして救出作業を見守って、一人でも多くの人間の命が救われることを祈ろう。海を隔てた隣の国で起きている悲惨な災害なのである。被災者は1千万人という気の遠くなるような数で、多くの人が死に、かけがえのない家族を失い、心も体も傷つき、家と財産を失って路上に放り出されたのである。その痛みを自分のものとして想像することだ。苦しみ悲しんでいる中国の人々を嘲ったり、謗ったり、中傷したりするのはやめよう。救援と復興に一丸になろうとしている中国の人々に、政治目的での無用な挑発や愚弄や侮辱はやめよう。日本の恥である2ちゃんねる掲示板で狂騒している反中ネット右翼と呼応するのはやめよう。日本人の誠実な言論の態度をネットの中に取り戻そう。そして、いくら募金をしたからと言って、それを根拠に、横暴な反中プロパガンダを鼓吹発散する権利や資格があると思い込んで自己を正当化するのはやめよう。募金はあくまで善意でするものであって、相手への思いやりの気持ちがなければ何の意味もないのだから。

募金をしよう、一人でも多くの命が救われることを祈って見守ろう_b0090336_15123695.jpg

【世に倦む日日の百曲巡礼】

1968年のビートルズの『ヘイ・ジュード』を。

5月12日は「震災節」とか、そういう名前の国の記念の日になるだろう。
そして歴史に詳しく書かれて記憶される。
北京五輪の3ヶ月前、国家主席による10年ぶりの訪日の直後。
そのときの日本の国内の反応がどうだったかも記録されて歴史になる。
日本のマスコミだけでなく、日本のネット言論がどうだったかも。



田舎にいたころ、台風の災害で山が崩れて何人も犠牲者が出て、
その後、地元のラジオ局の番組でこの曲がかかったのを印象深く覚えている。  

by thessalonike5 | 2008-05-16 23:30 | 震災とプロパガンダ
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