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湯浅誠の「強いリーダーシップ」と「議会制民主主義」の構図
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湯浅誠は「世界」3月号の論文の中で、「強いリーダーシップ」と「議会制民主主義」の二つを、二者選択的で二項対立的なものとして捉えている。前者を否定的なシンボルとして、後者を肯定的なシンボルとして構図を描き、後者における利害調整のプロセスの意義を訴えている。前者は、安易で怠惰な「調整コスト」引き下げの産物であり、前者に頼ると、結局は「私たち」の利益は切り捨てられるのだという警告だ。再度、本文の言い回しを紹介しよう。「『強いリーダーシップ』による議会制民主主義システムの機能停止は、『私たち』の利益に反する。それゆえ、『私たち』は、調整当事者として、調整の次元に主体的にコミットし、社会的・政治的領域を貫く調整=<政治>を活性化させる必要がある」(P.45)。「『私たち』は、したがって、『強いリーダーシップ』を空想的に求めるのではなく、現実的な調整を求め、それを擁護すべきだ。なぜなら『強いリーダーシップ』の下では、現実に切り捨てられるのは『私たち』だから」(P.43)。湯浅誠は具体的な対象を指さないのだが、湯浅誠がここで「強いリーダーシップ」の範疇として念頭に置いているのが、現在の橋下徹であり、数年前の小泉純一郎であることは、文章を読めば容易に分かる。「調整コスト」を嫌う「政治的シニシズム」が「強いリーダーシップ」を求め、その政治の結果、「私たち」は不利益を蒙るという論法である。そこで、私から湯浅誠に問いたい。
by thessalonike5
| 2012-02-16 23:30
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