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本と映画と政治の批評
by thessalonike5


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政官と癒着して税金で遊興するマスコミ - 読売新聞の説明責任
中川・読売_1コンパニオン記者の問題についてネットの中で喧騒が続いている。その多くは荒唐無稽な陰謀論で「中川失脚」の顛末を説明する牽強付会の議論であり、日本のネットの床屋政談に特有の陰謀論病がさらに重症の度を増している状況に閉口させられる。この問題がネットで盛り上がるのは、マスコミが必死で事実を隠蔽する問題だからであり、マスコミと政治の癒着の構造の根幹に触れる問題だからである。報道機関が問題に絡んでいて、読売新聞や日本テレビだけでなく、他の新聞社やテレビ局も同じ卑猥で奇異な癒着関係が常態化していて、マスコミ自身が洗い出しにくい問題だからである。これとよく似た感覚で思い出すのは3年前の野口英昭怪死事件で、あのときはテレビが必死で隠蔽工作に関わり、強引かつ執拗に事件を「自殺」に捏造して固めた。ネットが真実を追求する場となり、テレビの隠蔽工作の手口を暴露する言論空間となった。あの事件にも安倍晋三が絡んでいる。何か事件が起きて、日本のマスコミの腐敗と病巣が表に露わになるときは、必ず安倍晋三の影が見え隠れする構図になっている。



中川・読売_2a当事者はマスコミなのだ。責任者もマスコミなのだ。そして、コンパニオン記者と提灯報道という重大な政治問題なのである。日本の民主主義の根幹に関わる問題だ。匿名で投稿できるネットには、様々な意図的情報が各筋から差し込まれる。その中には真相を知っている人間のタレコミがある。今回、女性記者3名の実名が出たのは、財務省の「コンパニオン記者とヨイショ報道の豪遊旅行」の事実を知っている者からの「チクリ」による。2/18の毎日の記事が出た直後にネットに漏らされた。名指しされた3社のうち、2社は沈黙を続けていて、記者の公開情報をサイトから削除した読売新聞の対応を含め、3社は事実上、3記者の飲酒同伴の事実を認めている。公式に否定していない。会社も本人も、反論も抗弁もしていない。その後、大量のガセネタや陰謀論が続き、事実を意図的に捻じ曲げる情報や誤解にもとづく問題の整理や推理が次々に湧き出て、情報は混乱の渦を巻いて行く。ガセネタが検証されないまま既成事実を作って行く。今回の場合、読売記者が「大変なことになるわよとロイターに言った」という情報が一人歩きして陰謀論の洪水を導いた。

中川・読売_3ネットの掲示板の場合、誰が情報を発信しているか読者には正体が分からず、どの情報がタレコミでどの情報がガセネタなのかを最初の時点では判別できない。情報が掲示板に出現した瞬間には、どれもガセネタであり、どれかがタレコミである。それらが検証されないまま、確認できないまま、だらだらと無意味な情報の羅列と迷走が続き、政治的意図を持った悪質な曲解や愉快犯たちの便乗行動が続き、次第に情報の出所や時系列が不明になる。ネット特有の混濁し錯乱した「情報状態」になる。ホッブズ的な「自然状態」になり、あからさまな陰謀論が真理の知見の如く自己主張する。野口事件も同じだった。中には、真実を解明するために信用できる情報を整理して真相に迫る努力をする者もいた。中には、明らかに情報の混乱と事実の捏造を目的にして、真相糾明を妨害するために意図的に投稿をしていると思われる者(工作員)もいた。今度の「コンパニオン記者」の問題についても、真相を知っているマスコミ関係者がタレコミの提供とガセネタの撒き散らしの両方をやっていて、混沌とした中で微妙に綱引きが演じられているようにも見えた。いずれにしても、この問題の闘技場はネットである。

中川・読売_2問題の中川前財務相の記者会見の状況について、2/20の朝日新聞の社会面(37面)に検証記事が出ている。会見が行われた場所は、女性記者と飲食した「ドネイ」のある同じ高級ホテルで、このホテルで宿泊し、前夜は深夜まで女性記者と懇談し、ロシアのクドリン財務相と会談し、記者会見も行っている。会場は80席の部屋で50名ほどのマスコミ関係者が入り、現地カメラマンを除いてほとんどが日本人だったと説明されている。このような、閣僚が国際会議に出た後で記者会見をするとき、特に最近は、言葉の問題や関心の低さから外国人のプレスが入るケースは稀のように思われる。日本人だけの空間で日本語でやる。50名は大名旅行のお供であり、会見は記者たちのローマ観光を仕事の名目にする一瞬の手続きであり、単なる形式行事にすぎない。何度も中川昭一と漫遊旅行してきた連中には、中川昭一の泥酔酩酊はデフォルトであって、特に何の違和感もなく、通例のことが始まって終わる30分間だったはずだ。中川昭一は平気で、後で問題になるなど夢にも思ってなかっただろう。酔っ払って記者会見など通常であり、これまでは、前後不覚で閣議後会見しても、意識朦朧で本会議答弁しても、誰にも何も言われなかった。

中川・読売_5責められたり咎められた経験がないのである。会見場の記者の質問の音声を聞いても、隣に座った白川方明の表情を見ても、平素の会見の映像と何も変わった様子はなく、家来である彼らが殿様である中川昭一の泥酔行動に馴れきって、異常とも何とも感じてない状況がよく分かる。シラフでシャキッとした態度で会見に臨んだ方が、記者たちには意外で緊張が走ったことだろう。これまでの映像の中で、中川昭一に異変を感じている態度を示していたのは、ロシアの財務相のクドリンだけである。よほど酒の臭いが強烈だったのだろう。クドリンは上体を引いて顔が固まっていた。昨年のワシントンでも同じことをやっているのである。テレビで紹介された本会議答弁の醜態はローマの泥酔会見よりもっと酷くて、机の上に置いた原稿が読めなくなり、専門用語の識読ができなくなり、手が震えている。明らかにアルコール漬けで脳が麻痺していると推測できるが、そんな大失態の事実をマスコミは国民に報じなかった。映像を伏せていた。国権の最高機関に対する冒涜で、国家と国民の尊厳を蹂躙する政治家の行為だが、マスコミは原因も責任も追及せず、国民の目から中川昭一を隠して放免してやっていた。ローマの日本マスコミは国際会議の取材と報道に来ていたのではない。

中川・読売_4財務省が機会を与えてくれたリッチな団体観光旅行を満喫していたのである。今回の問題が事件になったのは、APが写真付きで「居眠り疑惑」を記事に書いたからである。このAPの記者は外国人ではなく日本人だ。APもAFPもロイターも、日本に関する報道は日本人記者が発信している。これまで特に、日本の経済関係の情報は外信本社が注目して日本で記事を書かせていて、現在の中国のように、日本の金融や産業の動きは世界が注目する価値ある情報だったのである。G7会議後の日銀総裁の発言は、やはり取材で拾って世界に配信する必要があったのだろう。記者会見が終わったのが現地時間の2/14午後4時過ぎで、日本時間の2/15午前0時過ぎになる。AP通信の「居眠り疑惑」記事が出て、NHKが2/15の朝の7時のニュースで現地撮影の生々しい映像をそのまま放送したため、国内で関心と世論が起こり、それがネットの掲示板に雪崩れ込み、Youtubeで映像が上がり、その動きに国内と海外のマスコミが反応して騒動が大きく広がって行った。NHKの朝の7時のニュースでなぜ中川昭一の酔いどれ映像が流されたのか。それは謎で、土日の深夜だったから編集体制が整ってなかった可能性や、NHKの報道の頭も麻痺していた可能性や、逆にNHKの報道関係者が機転を利かせた可能性が考えられる。

中川・読売_7映像を撮ったカメラマンが現地人だったという点も大きいだろう。「団体観光客」である日本マスコミの一員が撮影していれば、間違いなく編集で醜態部分をカットして日本に送信したか、放送時に編集するように日本の報道担当に注告したはずだ。現地カメラマンだから真実をありのままに撮った。そして、世間を騒然とさせた2/18の毎日新聞の「女性記者同伴」の衝撃記事に繋がる。中川昭一の首が落ちたのを見届けた後、毎日新聞は「コンパニオン記者」が慣例化した財務省外遊団の腐敗堕落を暴露し、マスコミと政官の癒着を糾す行動に出た。毎日新聞がコンパニオン記者を政官に献上していない前提を踏まえた上での筆誅だろう。団体観光は楽しみながら、それでも「コンパニオン記者」の酷さは見るに見かねるところがあり、告発する時機を窺っていたようにも見受けられる。中川昭一が大臣に就任して以降、コンパニオン記者帯同の外遊が恒例化していた事実を指摘したのは毎日新聞である。G7に出張した報道記者については、発信した記事に署名があり、各紙の記者の名前を確認できる。日経新聞?河浪武史、朝日新聞?安川嘉泰・山川一基、読売新聞?越前谷知子、毎日新聞?藤好陽太郎、産経新聞?上野嘉之、東京新聞?桐山純平、ブルームバーグ?下土井京子。

中川・読売_6読売新聞は、記者が中川昭一と「ドネイ」で昼食の席を囲んだ事実は認めながら、G7取材の一環だったと言い、記者は酒には口をつけていないと言い、記者は中川昭一が酒を飲んだかどうかは見ていないと主張している。ワインを3本も注文して、40分間も一緒に食卓を囲みながら、中川昭一が飲んだところを見てないと言うのなら、誰がワインを3本も空けたのだ。読売新聞には説明責任がある。記者の公開情報を自社サイトから素早く削除した点も姑息で不審であり、報道機関として疑惑について正面から国民に説明をすべきだろう。毎日や日スポの記事にあるように、記者が中川昭一の「お気に入り」であり、玉木林太郎が大臣に同伴させるべく記者を呼び、記者がそれに応じたとすれば、またそうした関係が外遊の度に恒例的に繰り返されていたとすれば、まさに「外遊コンパニオン記者」的な事実が存在すること以外の何ものでもなく、政治と新聞社の醜悪で卑猥な癒着であり、わが国の民主主義の根幹を揺るがす問題と言える。報道者の使命と倫理を裏切り、伝えるべき真実を国民に伝えず、権力に身を売って税金の浪費に加担していた責任は重い。国民に対する背信行為であり、ジャーナリズムの尊厳に泥を塗る言語道断の所業である。読売新聞と日本テレビの責任はきわめて重い。

野口英昭怪死事件のときと同じように、今度もマスコミは問題を隠蔽し、酒は飲んでないと事実を捏造し、中川昭一の不祥事と辞任劇で済ませて、自らの恥部である「コンパニオン記者」の実態を揉み消すのだろうか。

中川・読売_Z

by thessalonike5 | 2009-02-22 23:30
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