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本と映画と政治の批評
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再評価される幸徳秋水 - 大逆事件も名誉回復の動き進む
大逆事件の冤罪の真相が次第に究明され、幸徳秋水ら事件の犠牲者の名誉回復が進んでいる。在野の人々の長年の地道な努力によって、明治国家の恐るべき権力犯罪(テロ弾圧)の真実が浮かび上がりつつある。犯行の中心にいて指さされているのは、山県有朋、桂太郞、平沼騏一郎。一昨年、大逆事件から100年を前に、NHKのETV特集で放送があり、6名の検挙者を出した和歌山県新宮市での名誉回復の様子が紹介されていた。NHKで大逆事件を扱うのが意外で、画期的だと思い、注目して映像に見入った。また、昨年の1/24、「大逆事件百年後の意味」と題した院内集会が開かれ、福島瑞穂が挨拶、鎌田慧が講演をしている。今年も同じ集会を1/24に開催していて、参加を呼びかけるツイートを福島瑞穂が連打していた。大逆事件の真実と意味を明らかにし、刑殺された者たちの無念を晴らそうと懸命に動いている人々がいて、関係者の強い熱意を感じさせられる。インターネットの中を見ると、幸徳秋水と大逆事件について情報発信しているサイトが多い。きわめて大量の研究と解説がストックされ、一般市民のアクセスを待っている。幸徳秋水への関心の高さ、復権を願う者の多さ、その営為を続けている在野の者の多さに驚く。幸徳秋水の思想については、古典である本人の著作は別にして、ほとんどネットの資料だけで十分な知識を得られるのではないか。


【続き - 以下は有料です 転載禁止】
# by thessalonike5 | 2012-01-31 23:30 | Trackback | Comments(0)
三宅民夫が幸徳秋水の特集番組を仕切る齟齬と不快
昨夜(1/29)、NHK-ETVで『日本人は何を考えてきたのか』の第4回、『幸徳秋水と堺利彦』が放送された。一つの番組を何日も前から待ち遠しく構え、中身をあれこれと想像し、緊張して当日を迎えたという体験は久しぶりで、2007年12月の『ワーキングプアⅢ』以来だろうか。果たして、見終えた率直な感想は、菅原文太が登場した第2回と同じ爽快な感動は得られなかった。第一に、この番組の司会が三宅民夫というのは、どうしても甚だしくミスマッチで、画面に出てくる三宅民夫の顔と声が邪魔で耐えられないのである。齟齬感と違和感を掻き立てられ、気分が毒々しく害され、期待感が挫折させられ、平静に番組の進行を追えない。TBSの「世界陸上」の織田裕二と同じで、目障り耳障りで仕方なく、NHKの欺瞞への苛立ちが高じるのだ。ここに三宅民夫が割り込んでいるのは何故だろうと、制作の内幕を詮索する方向に意識が向かい、不快な政治に関心が及ばざるを得ず、視聴者として混乱させられ、クリスチーヌ・レヴィが講義する幸徳秋水論に集中することができない。局内で権力を握っている三宅民夫は、誰かの指示ではなく自分の意思でこの番組に出しゃばり、放送内容を仕切っている。本来、この番組を担当するに相応しいのは、五十嵐公利だろうし、そうでなければ松平定知だろう。反動の三宅民夫の思惑と指図と露出によって、番組は本来の価値を損なわれていた。


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# by thessalonike5 | 2012-01-30 23:30 | Trackback | Comments(3)
東電清算事業団を作れ - 国鉄方式で解体と整理と新生を
昨夜(1/27)、報ステのスタジオに玄侑宗久がコメンテーターで出演していた。原発と手を切る時だと言い、「原発を再稼働できないことは、福島に来てみれば分かる」と言った。言葉が重く響き、余韻が残り、静かな説得力を残す。官僚の息のかかっていない、汚れていない知性。その態度と言葉に新鮮さを感じる。昔は、こんな感じの、落ち着いた目をした、ヘラヘラ笑わない人物がテレビ世界にも少なくなかった。勉学の修行を積み、理想を求めた人生を送り、人と自分に常に真摯で、深い観察眼を持ち、マスコミに出ても浮かれ燥ぐことのない知性がいた。五十嵐浩司や三浦俊章ではなく、玄侑宗久が番組の解説を主担すべきなのだ。そうすれば、報道は生きて価値を甦らせ、尊敬されて人々の心に届くのだ。昨夜の番組では、ようやく、昨年の電力需給の政府試算の疑惑が取り上げられ、7/29の予測が滅茶苦茶なものだったことが明らかされた。今夏が+6.0%だっただけでなく、昨夏ですら、実は節電の必要がなかった真相が浮上し、節電を義務づけられて苦労した中小企業の者がその事実を知って憤慨する場面が映されていた。エネ庁は、需要予測の前提を無理やり過大にする不正な細工を弄し、一般家庭で業務用の大型冷蔵庫を平均1.2台も使用させたり、留守中にペットのためにエアコンをつけっぱなしにさせるなど、異常な数字に設定して計算していた。


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# by thessalonike5 | 2012-01-28 23:30 | Trackback | Comments(3)
電力館も本社ビルも売却せず - 松村敏弘と第三者委の報告の唖然
「東京電力に関する経営・財務調査委員会」が、昨年10/3に提出した報告書の中身について検討しよう。その前に、12/15に渋谷の電力館について一つの情報が新聞に出ていた。年末、マスコミは「一体改革」の宣伝と教化に躍起になっていて、この問題はテレビで全く取り上げられていない。何と、ファイヤー通りにあるPR施設の電力館が、東電によって「売却しない方針」で固められていたのである。昨年の歳末、何かと慌ただしく駆け込みの時事が続き、人々の注意が散漫になった頃、世間の注目が集まらない一瞬を巧妙に衝いて、こっそりこんな決定を下していた。驚愕の事実だ。このような情報が9月や10月に出て、マスコミで騒動になっていたら、どれほど大きな反発と非難を呼び起こしたことだろう。ワイドショーや週刊誌が猛然と飛びつき、糾弾のネタにして視聴率と部数を稼ぐ情景が目に浮かぶ。昨年5月に電力館は閉館となったが、当時のテレビ報道では、福島の事故賠償の資金策のため売却されるという説明だった。あのとき、テレビ報道は上空にヘリを飛ばし、杉並のグランドとか、湘南の保養所とか、東電の不動産物件を相場と共に紹介し、早く売却して賠償に充てろと国民世論を代弁して騒いでいた。その中で、特に資産価値の高い象徴として電力館の映像が登場した。電力館は、売却処分すべき東電の保有不動産の筆頭に挙げられていた。


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# by thessalonike5 | 2012-01-26 23:30 | Trackback | Comments(1)
支援機構の正体 - 理事の嶋田隆は与謝野馨の腹心官僚
先週、東電の電力料金値上げ問題がずっと新聞で報道された。朝日の紙面で経過を辿ると次のようになる。1/18(水)、1面と3面で前日(1/17)西沢俊夫が企業向け料金を値上げすると発表した記事を掲載、1/19(木)、1面に家庭向け料金値上げを5-10%の幅で政府が容認するとの記事(経産官僚のリーク)を掲載、7面に国有化と値上げをめぐる東電と政府と銀行の3者の利害と思惑を紹介、原子力村の目線で料金値上げの背景を説明している。1/20(金)、1面に「電気値上げ、新制度検討」の見出し記事を掲載、経産省が新しい制度で値上げができる仕組みを導入すると書いている。経産官僚のリーク記事だが、東電を救済して国民に不利益を押しつける露骨で不自然な制度改定であるためか、記者が要領を得た説明ができず、意味不明な記事になっている。1/21(土)、7面に「電気料値上げ、議論開始」の記事が掲載、「電気料金制度・運用の見直しに係る有識者会議」で、前日(1/20)にリーク報道した新制度が提案され、火力の燃料費増を家庭向け料金に転嫁する値上げを認可する方向となったと書いている。従来は、固定費を含めた原価計算で値上げ申請しなければならなかった手続きを緩和、燃料コストの変動を自由に価格転嫁できる仕組みに変える。以上、週後半は毎日のように官僚リークを載せ、家庭向け料金の値上げを既成事実化する広報の役割を果たしている。


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# by thessalonike5 | 2012-01-25 23:30 | Trackback | Comments(4)
天然ガス相場が急落 - 東電の「8000億円コスト増」の偽計
毎日が暴露した電力需給の+6.0%の試算について、昨夜(1/23)のNHKやテレ朝では何も取り上げられず、今日(1/24)の朝日紙面にも記事が載っていない。国を挙げての大騒動になって当然の問題と思われるし、再稼働について議論と関心が盛り上がっている現在、それに一石を投じる重大な事実が明らかになったにもかかわらず、マスコミが無視と沈黙を決め込んでいて、国民に真実を伝えようとしない。一昨夜(1/22)、NHKが報道した原子力災害対策本部の議事録の問題についても、朝日は記事にして伝えていない。テレ朝も報道せず、NHKも続報していない。これなど、本来なら蜂の巣をつついたような喧噪になって当然の事件で、週刊誌を巻き込み、真相究明の情報が入り乱れ、一週間は社会を揺るがし続けるべき驚愕の問題だ。保安院のストレステストの問題についても、朝日はずっと論評を控えたままで、マスコミ報道の議論に加わっていない。まるで、昔の新華社電かタス通信の黙殺の様を思わせる。官僚にとって都合の悪い、国民の目に触れさせたくない情報を、朝日は編集で取り除いて官僚を守ってやっていて、世間で批判が大きく広がらないように努めている。まさに官僚新聞の面目躍如。原発問題に関する官僚の失態は伏せ、月額3450円払う購読者から隠し、連日、消費税増税の扇動に饒舌な紙面を刷っている。


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# by thessalonike5 | 2012-01-24 23:30 | Trackback | Comments(2)
水力で原発を代替させよ - 火力の燃料コストは不要だ
前回(1/21)、再稼働なしでも今夏の電力不足は生じないと政府資料がコミットしていること、国が巨額の税金(5794億円)を投じて対策を講じ、安定的な電力環境を国民に保障していることを指摘した。本日(1/23)、この問題に関わる重要なマスコミ報道が飛び出し、昨年の政府の電力需給予測に捏造があった事実が暴露された。発表された政府の試算では、今夏、約1割(-9.2%)の電力不足になるという結論が示されたが、実際には、「6%余裕」が生じる試算を国家戦略室の別のチームが出していた。この別チームこそ、菅直人の直属で、経産官僚から独立して実態を調査していた特命部隊であり、政府内の事情に詳しい飯田哲也が「Bチーム」と呼んでいた民間メンバーの集団である。私は、政府発表(7/29)で示された予測に対して、自家発電(埋蔵電力)の供給量を不当かつ姑息に過小評価し、供給量の全体を小さく見積もっていると8/1の記事で批判した。さらに、政府が莫大な税金を投じて、原発全基停止後の電力環境を保障した対策やコミットについても、もともと列島の発電設備に余力があり、その裏があるから、官僚は安んじてコミットができるのだと指摘した。今回の報道は、この推理が正しかったことを証明するものだ。つまり、5794億円の対策予算など使わなくても、今夏、原発全基停止後の電力供給に何も問題はなかったのである。


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# by thessalonike5 | 2012-01-23 23:30 | Trackback | Comments(3)
再稼働なしの環境は政府が予算でコミット - 政府資料を検証する
1/18のストレステスト意見聴取会の問題について、新聞各社がどのように反応しているか気になって調べてみた。やはり、読売産経が1/19の社説で再稼働を急げと書いている。朝日は社説を上げていない。東京新聞は1/20の社説で、今回の保安院の「妥当」の判断に対して異議を唱えている。「その不透明な審査には、大いに疑問が残る」と言い、この専門家会合に市民の傍聴を認めなかった経産省・保安院の姿勢を批判している。正論のジャーナリズムであり、国民多数の声の代弁だ。東京新聞は1/19の社説でも、原発の運転期間を60年に延長する方針を打ち出した政府の発表に鋭く反論、「安全への決意は一体どこへ行ったのか」「原発の延命には、厳しく歯止めをかけるべきである」と主張している。東京新聞を筆頭に、地方紙の社説の方は読売・産経とは全く異なる立場になっていて、特に原発を抱える地元紙の論調はきわめて厳しい。愛媛新聞(1/21)は、「こんな手続きで理解は得られぬ」と言い、「強い違和感」を表明、「拙速な判断であり、国民の理解は到底得られまい」と断じている。河北新報(1/20)も、「これでは『見切り発車』だ」と言い、保安院の安全性軽視を指弾している。北海道新聞(1/19)は、「規制を骨抜きにする兆候」と言い、60年延長の問題と合わせて批判、国の原発規制の後退に懸念を示している。


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# by thessalonike5 | 2012-01-21 23:30 | Trackback | Comments(0)
黒木慎一と保安院の跳梁と暴走 - アクセルとブレーキの話は何処
原発をめぐる反動の政治が勢いよく回り始めた。運転期間を60年に延長、電力料金17%値上げ、それに続いて、大飯原発のストレステスト意見聴取会への市民傍聴排除とマスコミによる脱原発派の暴徒化の政治宣伝。昨夜(1/18)のテレビ報道は、この問題が大きく扱われ、特に大越健介のNW9がトップに持ってきて、「迷惑な騒動」として視聴者に印象づける情報工作が敢行されていた。冒頭に「紛糾」の映像から入り、市民が強引に会議室に入り込む様子を見せ、彼らが正常な会議の運営を妨害しているように伝え、枝野幸男の会見の発言に即して事態を意味づける報道に終始した。傍聴排除に抗議する市民に対して、その主張に耳を傾ける態度はなく、公平な視点で背景を検証することもせず、脱原発派を非常識で乱暴な政治集団の徒として悪宣伝するニュースに仕立てられている。筑紫哲也が生きていたら、1/13に福島原発事故緊急会議が出していた抗議文に触れ、この事件が突然起きたものではなく、一つの政治だった流れを整理して伝えたことだろう。冷静に考えたとき、これが九電のヤラセが問題化した半年前であれば、保安院が市民を意見聴取会の会議室から閉め出すなどするものななら、マスコミは轟然と保安院を叩いただろうし、引け目を感じるべき立場の経産相が、あのような強気の会見に出ることはなかっただろう。


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# by thessalonike5 | 2012-01-19 23:30 | Trackback | Comments(2)
東電の巻き返しの政治 - 原発運転延長と料金値上げ
今日(1/18)の朝日の1面記事は、原発の運転期間を60年に延ばす政府方針と、東電が企業向けの電気料金を17%値上げする決定の二つが並んでいる。原発官僚側の巻き返しが凄まじい。最初に「20年延長」の件だが、1/6に「原則40年」と会見した細野豪志は海外出張中で、記者会見は官僚(原子力安全規制組織等改革準備室)がやっている。細野豪志の年頭の発表が完全に否定された恰好だが、原発官僚側に立つ読売の記事では、この原子炉等規制法の「改正案は今月中に閣議決定される見通し」とある。官僚側がここまで強気なのは、何らかの根拠があるからであり、官邸を押さえたという自信が示威されている。飯田哲也は「原子力ムラ一斉反撃」と反応しているが、新聞が書かない解説を試みるなら、おそらく、この反動劇には先週の内閣改造が影響している。私は副総理の岡田克也の関与を推測する。岡田克也は強硬な原発推進派だ。先週の政治報道の中で、岡田克也の閣内の実権の大きさを伝える情報があり、通常は閣僚の発言に対して政府方針を示して適正化する官房長官の藤村修が、岡田克也に限っては例外扱いで、全ての(不規則)発言を追認する立場と関係になっている事実が紹介されていた。政府の司令塔が二本立てになっている。この権力移動の機を捉えて、東電を含む原発官僚側が一気に攻勢に出たのだろう。


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# by thessalonike5 | 2012-01-18 23:30 | Trackback | Comments(1)
辺見庸の新著『瓦礫の中から言葉を』 - 宣伝が過剰だ
先週末、週刊金曜日(1/13号)に辺見庸のインタビューが載っているという情報に接し、偶々歩いていた盛岡の大通りにあるさわや書店でそれを入手した。すると、店頭の目立つ位置に新刊の『瓦礫の中から言葉を』(NHK新書)も平積みされていて、それも一緒に購入した。地方都市の書店に入って本を買うのは楽しく、さらに、他ではなく辺見庸を一押しして並べている点もよい。東北の書店はこうでなくてはいけない、などと満足を覚えながら気温零下の凍てつく街を歩いた。週刊金曜日の記事は、辺見庸が語る新刊書の要約であり、そして商品の宣伝である。『瓦礫の中から言葉を』の中身を短く紹介しようとすれば、週刊金曜日の6頁分にすべて情報は出尽くしている。この本は、昨年4月に辺見庸がNHKの番組に出演した際のモノローグを書き下ろしたものだ。追加された内容もあるが、基本的にあのときの語りが活字になっている。正直な感想として、時期の問題もあるが、テレビの語りの方が感動の質量が大きく、今回の新書は印象に残るところが小さい。堀田善衛の『方丈記私記』とか、折口信夫の関東大震災後の詩とか、川端康成の小説とか、文学のパーツが縦横に並べられ、辺見庸らしい絶妙の説得が構成されているけれど、読者であるこちらの期待が大きすぎたせいか、共感とか感銘とか、発見とか啓発という心境に届く響きがなかった。


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# by thessalonike5 | 2012-01-17 23:30 | Trackback | Comments(0)
ETV『自由民権 東北で始まる』 - 植木枝盛の革命権と地方自治
NHK-ETVが放送しているシリーズ『日本人は何を考えてきたのか』、偶然に見た1/8の第1回が出色の出来で、中江兆民の思想的意義を浮上させた説得に大いに啓発された。その昂奮のまま、先週はルソーの「人民集会」(peuple assemblé)からOWS(general assembly)を考察する記事を書いた。NHKにもまだ人がいる。第2回の予告では、案内役で菅原文太が登場、東北の自由民権の歴史を旅して歩くという触れ込みだったので、さらに期待していたが、実に期待に違わぬ見事な作品に仕上がっていて満足させられた。菅原文太が素晴らしかった。本格的な知識人の姿だ。仙台一高出身。今の日本に最も必要な言葉を菅原文太が発していて、われわれの心情を率直に代弁している。番組の解説には、色川大吉と樋口陽一という碩学の大物二人が出演、色川大吉の監修の下で取材と編集が行われていることを窺わせ、二人の説明も当を得た過不足ないものだったが、番組に命を吹き込み、感動を与えた主役は菅原文太であり、最初から最後まで菅原文太が視聴者を魅了していた。冒頭、「自由民権のどんなところに惹かれたのでしょうか」と問う三宅民夫に対して、菅原文太がこう答える。「さあーって...」。「何度も何度も、人間は平等だ公平だと言われ続けながら、そうなってないじゃないですか、未だに」。


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# by thessalonike5 | 2012-01-16 23:30 | Trackback(1) | Comments(3)
「社会契約論」と「エミール」 - ルソー否定の「政治改革」
3年前、政権交代後の行政刷新会議の座長になった蓮舫が、マスコミの前で何度も繰り返していたのが、「予算の組み替え」という言葉だった。「組み替えるんです」、「予算は付けるものではなくて組むものなんです」と、得意顔の蓮舫の説教を何度聞いたことか。東北の震災復興のための補正9兆円は、財源がなく、「ペイアズユーゴー」で「薄く広く」の所得税増税となり、延々半年以上もかけて編成と論議がされた。整備新幹線の3兆円は、年末の一瞬に「財源の目途がついた」の一言が言われ、あっさりと来年度予算に盛り込まれた。なぜ東北の震災復興には「財源の目途」がつかず、整備新幹線にはそれがつくのか。新幹線の3兆円分を震災復興の財源に回す判断と措置をしなかったのか。組み替えなかったのか。新幹線の新規工事が不要だとは言わないが、優先順位はどう考えても震災復興だろう。函館と札幌を結ぶ新幹線計画よりも、常磐線や三陸の諸路線の復旧の方が先だし、三陸の道路や橋梁や港湾を修理するのが先なのは当たり前だ。国交省に新幹線用の財源が毎年3兆円分あるのなら、その執行を一時停止して、東北のインフラ整備に充当するのが当然だろう。そう言えば、「優先順位」という言葉も、野田佳彦から何度も聞かされた。「優先順位」のために子ども手当2.6兆円は消えたが、整備新幹線の3兆円は安泰。人からコンクリートへ。


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# by thessalonike5 | 2012-01-12 23:30 | Trackback | Comments(7)
甦るルソー - 福島と三陸に「人民集会」と「一般意志」を
単にマニフェストの政策課題の実現だけでなく、福島の原発事故や東北の震災復興についても、問題解決は切断と飛躍の政治運動でしか果たせないのではないかと、そう思えて仕方がない。民主党政権や自民党政権に任せて、今の国会に任せて、何かが本当に解決するのだろうか。政治家たちは被災地に入り、10か月間、被災者の前で同じ言葉を言い続け、マスコミはそれを宣伝報道してきた。「今日からスタートです」、「来月中には必ず纏めます」。「今日から」とか「来月まで」とか、顔が変わる度に何度繰り返してきたことだろう。1/7の鎌田靖のNHKの番組では、被災地の失業者は12万人に上ると言い、その絶望的状況を『ワーキングプア』を思わせる取材と映像で報道した。私は、もう8か月以上前から、政府は被災地から人を追い出すのが狙いであり、わざと復旧事業を先送りして遅らせているのだと言い続けた。カネを出したくないのだと、官僚はカネを出す気はないのだと。官僚と政治家は、復興予算の策定と審議を意図的に遅滞させ、これを巧妙に「薄く広く」の増税の政治に繋げた。わずか9兆円の補正に半年も時間を浪費したのは、国民に所得税増税を呑ませる「ペイアズユーゴー」の洗脳工作に時間を要したからだ。しかし、年末に浮上した整備新幹線はどうだったか。3兆円は「財源の目途がついた」と官僚(NHKニュース)が言い、1日で決まって異論が出なかった。


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# by thessalonike5 | 2012-01-11 23:30 | Trackback | Comments(5)
ジジェクの『ポストモダンの共産主義』 - 栗原百代の誤訳
今から10年ほど前、金子勝がテレビで口癖のように言っていたのが、「もう戦争か革命しかない」の悲観論だった。この激越な言葉は、時事の解説の際に財政赤字の危機的現状をを訴えたもので、当時だとまだ現在の半分の500兆円ほどだったと思うが、すでに国の借金が異常かつ膨大に累積し、この巨額の返済を平和裏に行い得た事例は過去になく、戦争か革命によってでしか解決された経験がないという警鐘だった。ご記憶の方も多いと思う。日曜の朝、TBSの番組でもこの持論が繰り返され、事態の深刻さを告げる財政学者のただならぬ語調と表情に、関口宏とスタジオが緊張に包まれる場面があった。この発言に対して、私は7年前に記事で噛みつき、経済学者たる者がこのような脅迫的な言説を吐くべきではないと批判している。経済学者の使命と方法は、常に理性で問題解決の方向を導き、冷静かつ緻密に政策理論を組み立てて提示と説得をすることだと言い、終末論で不安を扇動する態度は思考停止であり、嘗ての全般的危機論の念仏と同じく、マルクス経済学者の悪い癖だと猛然と非難した。ブログでの金子勝論は、(不幸にも)そうした悪口から始まっていて、キーワード検索をかけると、該当する過去記事が痕跡を示す。だが、7年経ち、状況が変わった。金子勝の黙示録的な予言の余韻が生々しく甦っている。


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# by thessalonike5 | 2012-01-09 23:30 | Trackback | Comments(3)
オークランド・コミューン - Marxは生き、脱構築は不発のOWS
前々回、1/4の朝日(9面)に載ったネグリのインタビューを紹介したが、その続きでOWSと社会主義の問題について考えたい。再びネグリの発言を引用すると、OWSをこうコメントしている。「今後、もし世界のどこかで新しい民主主義の革命が起きるとしたら、それは米国から始まると思っています。なぜなら革命とは、資本主義の発展が最高レベルに達した場所で起こるものだと確信していますから。マルクス自身も、当時最も進んでいた国で起きると思っていました」。この一節を読んで、普通の読者なら、ネグリの言葉遣いに少し違和感を感じてしまうのではないか。それは、「民主主義の革命」という言葉と、マルクスが期待したところの資本主義が最高レベルに発展した場所で起こる「革命」という言葉が、一般の概念では同じ内容ではないからだ。意味がズレる。例えば、昨年2月に起きたエジプト革命は、われわれの常識からすれば明らかに民主主義の革命だが、ネグリのターミノロジーの世界では、これは「民主主義の革命」ではないことになる。範疇から除外される。ここでネグリが言う「革命」には特別な意味がある。それは、ネグリの言う「新しい民主主義」が一般のデモクラシーとは意味が違うところから来ているのであり、その点に注意して推測を働かせれば、文脈を整合的に探る手掛かりとなる。ネグリの言う「新しい民主主義」は、ひとまず、一般の知識の「社会主義」の語と置き換えれば分かりやすい。作為的な造語だ。


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# by thessalonike5 | 2012-01-07 23:30 | Trackback | Comments(6)
2012年の国際政治の焦点 - 米国に注目する3つの理由
昨夜(1/4)、NHK-BSの国際ニュースを見ていたら、藤原帰一が出演していたが、その解説があまりに無内容で、視聴者をシラケさせるピント外れのもので落胆させられた。二流の新聞記者の浅薄なペーパートーク以下の代物。新年冒頭のテレビ出演で、もっと気の利いた中身のある話を披露できないものかと、おそらく(米国政治を専門と公称している)三浦俊章なども鼻白んだことだろう。鎌倉千秋が「今年の世界政治の注目点は?」と質問したのに対して、キリッとした顔で返した答えが、中東情勢と台湾情勢の2点だった。しかも、理由や根拠については特に分析も洞察もなく、頭の中がカラッポではないかと疑う安直な説明で流した。軽い。何の説得力もない。NHK-BSでは、元日の夜に、ダワーとマコーマックが対談して世界と日本を語る大型特集があった。新春企画に相応しい濃い中身で、知識人の言葉を聞けた番組だった。ダワーのNY-OWSの取材もよかったが、特にマコーマックが高江を取材して述べた沖縄論が素晴らしかった。高江を詳しく取り上げた報道に初めて接した気がするし、頭が下がる思いがする。しかし、不思議に思うのは、2人が外国人だということだ。日本の政治や社会の問題について、それを正面から見据えて掘り下げられるのは、外国の知識人しかいなくなった。日本の中に物事を真剣に考える知識人がいない。


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# by thessalonike5 | 2012-01-05 23:30 | Trackback | Comments(1)
ネグリの朝日インタビュー - 米国の革命と欧州の縮小
今日(1/4)の朝日の9面(オピニオン面)に、A.ネグリのインタビュー記事が掲載されている。タイトルは「新しい民主主義へ」。新年に読むに相応しい中身のある議論なので紹介したい。最初にOWSについてだが、こう語っている。「今後、もし世界のどこかで新しい民主主義の革命が起きるとしたら、それは米国から始まると思っています。なぜなら革命とは、資本主義の発展が最高レベルに達した場所で起こるものだと確信していますから。マルクス自身も、当時最も進んでいた国で起きると思っていました」。ネグリも私と同じことを考えていた。我が意を得たり。10/18のブログの記事の冒頭、私は、最初の革命が英国で勃発すると期待していたマルクスの革命予想について述べている。思うところは誰しも同じ。10月の時点でネグリにインタビューしても、OWSへのコメントでは真っ先にこの感想が飛び出したことだろう。知識人たる者がOWSの事件に接すれば、当然、すぐにマルクスの革命予想の問題に行き当たる。それを最初に口に出して人々の注意を向ける。マルクスの革命予想からOWSを意味づけるのが、最も当を得た社会科学の視点の提供だからだ。日本の論者の中で、ネグリと同じ見方を示した者は1人もいなかった。日本に知識人がいなくなっている事実の証左である。知識人ならば、ネグリと同じ言葉でOWSを論じなければいけない。


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# by thessalonike5 | 2012-01-04 23:30 | Trackback | Comments(3)
「脱経済成長」の言説と構図 - 朝日の元日の社説から
元日の朝日の社説は、経済成長を否定する一般論の講釈だった。「ポスト成長の夜明け」と題した11面のこの社説は、どうやら9面のカレ・ラースンの主張を意識し、それに対応したものと窺われ、元日の紙面特集を総括した上での朝日の提言が企てられている。ラースンは、「経済成長が永遠に続くと思い込んできた米国中心のシステムはもうダメになった」と言い、「いま求められているのは壮大な構想力、経済成長が止まった後にどう経済を持続させられるか」と語っている。これを受けて社説は、「戦後ずっと続いてきた『成長の時代』が、先進国ではいよいよ終わろうとしている」と言い、「成長を諦めきれずに国債を乱発した」ため、「成長を無理に追い求めたツケ」として赤字財政に苦しむ結果になったと断じている。そして、ブータンのGNH(国民総幸福)政策を評価する言辞を朝日らしいスイーピングな口調で垂れ、「ポスト成長」の認識の正当性を補強している。この議論と説得は、12/25に見たTBSのサンデーモニングの年末特集と全く同じだということが分かる。OWSを素材に使い、ブータンの国是を見せ、経済成長を否定する説教に纏めるという方法。TBSのサンデーモーニングの構成をパクったか、偶々、年末年始の特集を考えた両者のアイディアが一致したのだろう。


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# by thessalonike5 | 2012-01-03 23:30 | Trackback | Comments(5)
THIS REVOLUTION WILL NOT BE PRIVATIZED
"The Revolution Will Not Be Televised"、「革命はテレビで放送されない」。OWS関連の情報をネットで探索していると、この標語がプラカードに掲げられていたり、象徴的なフレーズとしてサイトで発信されている。NY金魚さんに解説をお願いしたいと思いつつ、検索で幾つかの情報に行き当たった。私は全く知らなかったが、これはシカゴ生まれの黒人音楽家であるギル・スコット・ヘロンが作ったラップの代表曲で、1974年にリリースされたこの曲は、60年代の公民権運動後の黒人の怒りをあらわす象徴的な作品だった。歌詞を紹介したサイトもある。1949年生まれのギル・スコット・ヘロンは、昨年5月にNYで死去していて、Occupy Chicagoは、彼に捧げる意味で、"This Revolution Will Not Be Privatized"の標語を掲げて運動した。「この革命は商売にはされない」という意味だろうか。こうしたメッセージをボードに掲げて運動している者の姿には、日本では見られない緊張感があり、ラディカリズムが漂っている。辺見庸は「テレビこそ意識だよ」と言ったが、われわれの場合は、テレビが映す世界と自己の意識とが即自無媒介にべちゃっと結合してしまっていて、テレビの情報を操作する者の意のままに動かされ、その宇宙から逃れることができない。彼らは、そうした即自無媒介な結合を拒絶して、テレビが見せる世界と自己との間に一つの空間を作っている。


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# by thessalonike5 | 2012-01-02 23:30 | Trackback(1) | Comments(3)
OWSの正論と反貧困の誤謬 - OWSは何をしようとしたのか
反貧困と反格差とは違うということは、繰り返し何度でも言わなければならない。同じではない。もしOWSの抗議者たちに日本の消費税問題について問い尋ねたら、彼らは何と答えるだろうか。現役世代と将来世代の負担を軽減するため、増税に賛成だと言うだろうか。それは絶対にあり得ないだろう。Tax The Richの標語をプラカードに掲げている彼らは、社会保障の財源は富裕層と大企業への課税でファイナンスせよと言うはずだ。GreedなBankに課税して、HealthcareとEducationに回せというのが彼らの要求であり、Greedに蓄積した資本はJobの創出と労働者への分配に使えというのが彼らの主張だ。逆進性の高い消費税で社会保障を賄おうとする政策に対して、OWSが賛成するはずがないと私は確信する。当然だろう。消費税増税をすれば、低所得者はさらに貧しくなるのである。ところが、日本の反貧困系の若い運動家たちは、なぜだか理由は全くわからないが、宮本太郞を御輿に担ぎ、宮本太郞の理論と政策に帰依し、「社会保障のための消費税増税」を推進する一派となって潮流を作っている。具体的には湯浅誠がそうであり、POSSEの川村遼平がそうである。他にも無数にいる。そして、若い連中に引き摺られて、この国の左派全体がこの方向に収斂しつつある。まさに霞ヶ関の思うツボ。左派の反貧困系が消費税増税を求めている。


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# by thessalonike5 | 2011-12-27 23:30 | Trackback(1) | Comments(3)
OWS運動に励まされた2011年 - 米国人のクレドと革命
昨日(12/25)、TBSのサンデーモーニングの年末特集の中でOWSが取り上げられていた。短い時間だったが、デモの参加者へのインタビューが紹介され、彼らの発言が映像で流れた。「銀行がこの国をダメにし、我々の仕事を奪っている」、「懸命に働けば何かを達成できる国だったが、今はそうでなくなっている」「上位1%の人たちがその財産を使って政府をコントロールしている」「彼らの富が増えれば増えるほど他の人たちに回るお金が減ってしまう」「市民の声よりロビー団体の声の方が強くなってしまった」「ロビー団体のカネが政治のあらゆる層にバラ撒かれている」「カネがあれば自分でルールを作れるのが資本主義」。OWSが日本のマスコミで報道される機会は幾度もあったが、このように抗議する人々の声を現場で直接拾い、背景も含めてそれを特集報道したのは初めてではないか。こうして、米国人が上のような言葉を発するのにテレビ画面で接すると、ネットで写真や動画を見るのとは全く違う生々しい衝撃が伝わってくる。意味の大きさをひしひしと感じる。今年、世界で起きた出来事の中でも、米国の反格差デモは最も重大な事件に違いないが、NHKがそれを取材して報道していない。米国と世界を揺るがしたこの運動に焦点を当てず、彼らの要求や動機を伝えていない。TBSがようやく試み、それを視聴者に届けた。


This revolution was not televized in Japan.
# by thessalonike5 | 2011-12-26 23:30 | Trackback | Comments(2)
北朝鮮の今後の動向 - 鍵を握るのは軍ではなく周辺国
ずっと北朝鮮問題の報道が続いている。マスコミは、脱北者や元北朝鮮の幹部とかに動向と予測を語らせていて、今は朴斗鎮が北朝鮮関連の言論をリードしている。一つの見方として悪くはないが、どうも底が浅い感じがして、もう少しトータルで学問的な見解や分析を聞きたい不足感を否めない。和田春樹の解説を聞きたいが、新聞紙上にも姿を見かけない。右翼と「家族会」に睨まれている和田春樹は、この国のマスコミでは御法度の存在になっている。この問題では言論の自由はない。昨夜(12/23)、NHKの特集番組に小此木政夫が出演していたが、特に興味の惹く視点の提供はなく、退屈な議論に終始して眠気を誘われた。単なる視聴率稼ぎだ。マーケティング・オリエンテッドの制作。最近のNHKは、昔と逆で、空疎な報道特集で視聴率を稼ぐのが巧みな商売上手な局になった。番組の冒頭、国内経済の破綻と国民生活の窮状を示す映像が流され、親を失って農村を放浪する23歳の孤児の女性の姿が出た。彼女の姿は8月にテレ朝の報ステで紹介されていて、その後が気がかりだったが、撮影(5月)から5か月後(10月)に畑の中で遺体となっていたと高橋美鈴がナレーションで伝えた。アジアプレスのサイトに詳細が載っている。報ステで放送されたときも衝撃を受けたが、同じ映像が韓国や英国やドイツで流れ、人々の胸を痛めていた。


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# by thessalonike5 | 2011-12-24 23:30 | Trackback | Comments(1)
北朝鮮の人々の号泣の心理 - 悲しみと嘆きの真の意味
外信が伝える平壌の報道を見ていると、多数の人々が金日成広場の人民大学習堂前や万寿台の丘に集まり、金正日の死を悼んでいる写真が並んでいる。気づくのは、特に女性の防寒着の色がカラフルになり、以前よりも上質に変わった印象が漂うことだ。材質もデザインもよくなっている。靴も。7年前、米国が北朝鮮の核開発疑惑に対して脅しをかけ、イラクとの「二正面作戦」を構えたとき、極寒の中、核戦争の危機を伴う凄絶な瀬戸際外交のチキンゲームが始まった。あれも年末だったが、人々が動員されて反米集会で拳を突き上げる映像がよく紹介された。あのとき、人々の服装は男女とも真っ黒で、文革時の中国と同じ人民服の集団の塊であり、何も個性がなかったが、今回は少し様子が変わっている。特に若い女性の表情と装いに個性の萌芽がある。丹東の領事館に花輪を持って詰めかけている女性の姿などは、ほとんど現在の中国人一般の風情と変わらず、飢餓と貧窮に喘ぐ「北朝鮮人民」の面影がない。遼寧省や吉林省の経済成長と繁栄が国境の川を超えて波及し、北朝鮮領内にトリクルダウンされているのだろうか。とすれば、それは喜ばしい現象だ。が、それと同時に、あの北朝鮮の内部にさえも、どうやら格差が忍び寄っている。単なる個性の相違ではなく、豊かな者と貧しい者の差異が写真の中に看取できる。


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# by thessalonike5 | 2011-12-22 23:30 | Trackback | Comments(0)
田中均の正論 - 「拉致問題の解決」の定義と展望とは
週初の一昨日(12/19)、従軍慰安婦の記事を準備していたら、正午に金正日死去のニュースが流れ、そのまま報道に釘づけになった。今年は大きなニュースが多い。震災と原発の問題を直視しなくてはならないのに、次から次にいろいろな問題が起き、雑音で邪魔されて煩わしくなる。年末のこの時期は今年1年を振り返って整理し、予算や経済の問題を通して来年1年を見通す季節だが、予期せぬ事態が横から割り込み、北朝鮮問題を考える1週間になった。来年は、いわゆる拉致問題の騒動が起きて10年を迎える。小泉訪朝と日朝平壌宣言から10周年の節目だ。ブログは7年前に開設し、ずっと新自由主義批判の言論を続けてきたが、それと並行して、拉致問題に絡んだ右翼化の潮流と空気に対して抵抗の論陣を張ってきた。北朝鮮への経済制裁に反対してきた。マスコミで聖人扱いされている「家族会」の面々に向かって、歯に衣を着せず非難の声を上げていたのは、おそらく私一人ではないか。それは勇気の要ることだったし、今でも勇気が要ることだ。ネットの中を見ると、左翼系でも「救う会」の宣伝に協力している一部のBlogがあり、この問題では右翼に迎合したり積極的に加担する者が多い。「9条を守ろう」などと口先で言いながら、右翼「救う会」への奉仕と翼賛に徹し、この国を改憲と戦争の方向へ押し流す反動の一員となって憚らない。


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# by thessalonike5 | 2011-12-21 23:30 | Trackback | Comments(3)
金正日死去 - 金王朝の滅亡必至、日本は圧力より対話を
金正日死去の第一報を聞いて最初に感じたのは、2日間、北朝鮮がこの事実を秘匿しきったことの意外であり、偵察衛星と地上工作員の監視を潜り抜けて、他国の諜報機関に漏らさなかった首尾の見事さだ。韓国も中国も米国も、この重大情報の入手に失敗したわけで、北朝鮮の機密保全能力に驚かされる。韓国が情報を押さえていなかった証拠は、李明博の12/17-18の訪日によって歴然だ。異変に気づいていれば訪日は絶対にあり得なかった。これは韓国政府にとって失点であり、韓国の情報当局は世論の非難を浴びて責任を追及されるだろう。米国が情報を掴んでいなかったことは、同じく李明博の訪日により推測される。もし異常を探知していたなら、それが未確認であっても、必ず青瓦台と米韓連合軍司令部に急報を入れていたに違いない。同様に、中国が先に情報を握った場合でも、極秘で韓国に届けたと思われる。また、米韓を出し抜いて情報を得たということを世界に知らしめる行動に出ただろう。世界で最も強力で精密な諜報能力を持っている米国と中国、その二国が最も神経を尖らせて動静を追っている対象が金正日だったはずだが、二国の諜報は北朝鮮の防衛に阻止された。ただ、本当に2日前の突然の急死だったのかどうかは、私には疑問が残るところで、朝鮮中央放送の女性アナの雲隠れは、果たして今回の件と何も関係がないのだろうか。


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# by thessalonike5 | 2011-12-20 23:30 | Trackback | Comments(0)
中産層の日本国民のプロダクティビティと70年代の音楽
前回の続きだが、下からの自生的な内需拡大と景気回復を担う人格の問題、そして、再び日本の製造業を再生させることができるかという問題である。その方向を信じながら、一抹の不安を感じるのは、『男はつらいよ』の世界とはすっかり変わった感がある今の日本人の内面の問題である。テレビ報道の街頭インタビューに登場する面々、高齢者にもっと負担させろとか、消費税増税はいい政策だなどと平気で言いのけている若い世代の顔を見ながら、果たしてこの知性の者たちが、25年前のような世界をリードする優秀な日本の製造業の担い手になれるのか、あの大田区の町工場(下請零細企業)の老経営者の往年のような経済主体になれるのか、その点を訝しく思うのである。たゆまぬ研鑽と努力で技術力を高め、仲間に気を配って集団の士気を高め、改善と創意と精度を競い合い、全員で力を合わせて遠大な目標を達成するような、70年代の日本経済の労使で一般的だった人間類型。それが失われている。これほどわがままで独りよがりで、謙虚さや我慢強さや他者への思いやりを欠き、スマホをいじっているだけの者に、果たして世界一の製造業を担う資質があるのかと、そんな気分になるのである。韓国やタイの人間の方が、日本人より心が素直で、真面目で勉強熱心で、職業人としての平均的能力が高いのではないかと。


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# by thessalonike5 | 2011-12-15 23:30 | Trackback(1) | Comments(15)
「プレカリアートの憂愁」と消費税論議 - 近代社会の拒絶
辺見庸の『水の透視画法』の中に、「プレカリアートの憂愁」と題した印象的な一文がある。辺見庸が、大学で客員教授をしていたときの教え子と4年半ぶりに再会、そのときの体験が描かれている。教え子は中堅の広告会社に入社したが、鬱の症状を発して退社、今は新築マンションのモデルルームへの道順を示したプラカードを掲げて駅前に一日中立つ仕事をしている。その前は、模擬試験や通信添削の採点、交通量調査、郵便物の仕分け等々、正規の入社試験に採用されず、安い日当や時給のアルバイトを転々として暮らしている。若者はハンカチに包んだ小箱のようなものを大事に持ち歩いていて、その中には、3年間一緒に暮らし、前夜に死んだシマリスの亡骸が入っていた。彼が辺見庸に言う。「ぼくら、いったんプレカリアートとしてアンダークラスに組み込まれたら、袋小路から抜け出すのは不可能にちかいんですよ」。「いま、いったい、何に怒ればよいのですか」。「自殺多いでしょ。あれって変種のテロじゃないですかね」。「大恐慌、きますか。きたら、ガラガラポンですよね」。こういう時代を経験したことがあるかと問う若者に、辺見庸がつぶやいて返す。「価値観の底が抜けているのに、そうではないように皆が見事に演じている世の中は初めてだな」。そして、この再会と対話の感想を最後に締めくくる(共同通信社 P.39-41)。


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# by thessalonike5 | 2011-12-14 23:30 | Trackback(1) | Comments(4)
左派埋没で本格論議が消えた中での消費税政局と対立
昨夜(12/12)、テレ朝の報ステで消費税増税の世論調査が発表され、賛成が40%で反対が50%の結果が出たが、五十嵐浩治が朝日らしい佞悪な増税推進のプロパガンダを吐く場面があった。「これだけ自分の懐が痛む増税なのに、賛成が40%もいるということは驚きだ」と言い、「国民も増税が必要だとよく理解している」と言うのである。私は数字を見ながら、五十嵐浩治と全く逆の感想を持った。よくもこれだけと呆れるほど、NHKから民放まで、ありとあらゆるマスコミが消費税増税の翼賛報道で埋め、朝から晩まで消費税増税正当化の説教を散布しまくっているのに、よく国民はそれに洗脳されず、50%の国民が増税反対の意思を堅持しているものだと感心させられる。マスコミの消費税報道の中で、これを公平中立に伝えている局や社があるだろうか。キャスターやコメンテーターの中で、消費税増税の賛成論と反対論をイーブンに紹介している中立派がいるだろうか。どの報道も、結論は最初から決まっていて、視聴者を賛成派へと強引に押し流す宣伝工作でしかない。特に、政府が「税と社会保障の一体改革」で既成事実を固めた今年は、その傾向が露骨で、マスコミの中で消費税増税反対論が生息していないのである。反対論は単に感情論のレベルに存在が矮小化され、経済や政策の議論として地位を認められていない。


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# by thessalonike5 | 2011-12-13 23:30 | Trackback | Comments(0)
古市憲寿の「若者は生活に満足」の勘違いと世代間援助
週刊エコノミストの11/29号を読んでいたら、古市憲寿の『20代の若者は現在の生活に満足-格差や貧困に当事者意識ない』と題された記事が載っていた。この号の週刊エコノミストは、表題が「国債ドミノ暴落」と大きく出ていて、その関連情報を収集すべく購入したのだが、国債特集の記事は甚だしく無内容で、何の知見も分析もなく、日経はおろか朝日の経済面以上の中身もなかった。看板に偽りありで、大失敗の買い物。最近の購読で、エコノミストや東洋経済の商品に満足を覚えた試しがない。中身はスカスカのくせに表紙や目次のマーケティングだけは達者で、消費者の購買意欲にミートした仕立てになっている。売ることだけは熱心で上手だ。そういう人間が編集をやっている。私の実感として、日本に経済誌のジャーナリズムが消滅していて、需要は旺盛にあるのに供給がない。購買して後悔した経験が積み重なり、懲りたため、結局、エコノミストや東洋経済に手を伸ばさなくなった。以前は、最新号の表紙や目次情報を必ずチェックしていたが、最近はその習慣がなくなった。編集部にも問題があるが、記事を書いている人間に問題がある。外資やメガバンクやそのシンクタンクの人間、まともに経済学を研究したとは思えない彼らの国債論とは、要するに1%が1%の仲間内で論じ合っている浮薄な雑談以上のものではないのだ。


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# by thessalonike5 | 2011-12-12 23:30 | Trackback | Comments(2)
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